2016 埼玉県立大学 推薦入試 小論文 模範解答 (本文全訳付き)

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2016 推薦入試 小論文 模範解答

Ⅰ.
問題1
(1)ウ (2)オ (3)イ (4)カ (5)ク (6)エ


問題2
厚生労働省は、介護分野へより多くの外国人労働者を受け入れることも検討している。私は、これについて賛成である。なぜなら、我が国では今後少子化高齢化が進行し、労働力が不足し、総人口における高齢者の割合が増加することが予測されているからだ。労働者が不足すれば、介護職等に就く人も減少し、さらに今後高齢者の割合が増加する状況において、高齢者のケアや介護の担い手が不足することになる。したがって、外国人労働者をより積極的に受け入れ、十分な日本語教育の充実化や、介護資格認定のためのサポートを行い、介護分野において外国人にも参入してもらい、日本で協働できる体制を整備する必要があると考える。(289字)

―本文全訳―
情報によると、介護職員の資格認定は、介護分野における深刻な労働力不足に対処するために、緩和されることになりそうである。
 厚生労働省は現行の資格基準を緩めるか、新たにより簡易な資格基準を作るつもりであると、その情報では言われている。厚生労働省はまた、介護分野へより多くの外国人労働者を受け入れることも検討している。そうした手段をとおして、厚生労働省は、介護分野における介護者の範囲を拡大することを目指しており、介護分野ではおよそ100万人以上の労働者が、2025年度までに必要とされることが予想されている。
 現行の体制では、介護職には、介護福祉士のような3つの資格がある。他の資格は、訓練時間によって二つの段階に区分されている。一つは、130時間の介護職員初任者研修課程を修了した者に対する資格であり、もう一つの資格は、450時間の研修課程を修了した者に対する上級資格である。
 厚生労働者は、より短期間で資格認定を得られるように、介護職員初任者研修課程を修了する者への資格認定要件を緩和したり、より短期間での新しい資格を作ろうとしている。
 未経験の人々を対象としたそのような簡易な資格を創設することによって、厚生労働省は、高齢者や子育てを終えた女性などを含む、より広い範囲の人々が、介護分野へ参入することを認めようとしている。専門家による新しい特別な委員会も、この問題を議論するために今月中に発足する予定である。
 他方で、厚生労働省は、日本で学んでいる外国人学生が、介護福祉士やそのほかの資格認定を受けるならば、彼らが日本で働くことを認めることについて検討している。
 現行の体制の下では、日本における労働目的の在留資格を持つ外国人は、大学教授のような特別な専門職に限られている。情報によれば、厚生労働省は、関係各省庁との緊密な協力関係において、介護福祉士やそのほかの資格を得る外国人は、日本へ滞在することができるように、出入国管理及び難民認定法の改正について議論するつもりである。
 海外からの介護福祉士候補者は、経済連携協定のもとで2008年度から実際に受け入れられてきた。しかし、政府はそうした外国人を、たった3つの国からしか受け入れておらず、日本で介護職員として働き続けている人々の数は、約700人しかいない。
 厚生労働省は、外国人対する専門的な職業訓練体制を導入することも検討しており、こうした職業訓練体制は、農業、林業、漁業、製造業といった産業で実施されており、介護福祉分野へも同様に導入することを検討している。



問題1
3、7

問題2
回収されたイトカワの微粒子から、「宇宙風化」の影響も測定することができる。宇宙風化の程度と、岩石中に含まれるヘリウム、ネオン、アルゴンの量を利用して、イトカワの表面が宇宙空間にさらされていた期間を決定することができるからだ。その結果、イトカワから回収された微粒子が宇宙線などの放射にさらされていた期間は、せいぜい800万年であるとされる。イトカワ表面の微粒子が比較的短期間しか宇宙風化を受けていないことは、イトカワが100万年に数十cmのペースで浸食されていて、新たに露出した表面が絶えず風化作用を受けていることを示している。したがって、イトカワの一生は非常に短く、数億年後には消えてなくなってしまう。
(296字)

―本文全訳―
長さ500メートルの小惑星からすくい取られた微粒子は、日本科学者チームの報告から、地球上で最もよく見つかるタイプの隕石の組成に近いことが明らかになった。
そのサンプルは、日本の小惑星探査機「はやぶさ」が、地球を出発してから7年の歳月をかけて、その小惑星の表面から採集された。幅200mの地球近傍小惑星は、イトカワ(25143)としてしられており、月以外の地球外天体の表面からサンプルが持ち帰られたのは、これが初めてだった。
この特定の小惑星が選ばれたのは、研究者たちが分光学的な類似から、地球に飛来する隕石の大半を占める「普通コンドライト」と呼ばれる隕石が、イトカワと同じタイプのS型小惑星に由来しているのではないかと推測されていたからだった。S型小惑星とは、ケイ酸塩鉱物を多く含む(Siliceous)、石質の(Stony)小惑星のことである。

火星と木星の軌道の間にある小惑星帯は、さまざまなタイプの小惑星から構成されていて、S型小惑星はそのうちの1つにすぎない。それにもかかわらず、(地球に飛来する隕石の大半がS型小惑星に由来していると推測するの)その理論には理由がある。S型小惑星は小惑星帯の中でも地球に近い内側の軌道でよく見られるため、科学者たちは、その破片がはじき飛ばされたりして、地球に飛んでくることが多いと考えてきたからである。けれども、小惑星については、大型望遠鏡や近くを通過する惑星探査機を使った間接的な調査しかできず、これまでこの推測の正当性を十分に証明することはできなかった。
ワシントン大学(米国シアトル)の天文学者Don Brownleeは、イトカワの研究チームのメンバーではないが、「これまで推測にとどまっていたS型小惑星と普通コンドライトとの関係が、ついに直接裏付けられたのです」と述べている。
小惑星の過去と未来
科学者たちは、イトカワの微粒子から、「宇宙風化」の影響も測定することができた。宇宙風化とは、宇宙線や太陽風、微小隕石の作用によって、小惑星の表面が変質する過程のことである。この宇宙風化の程度と、岩石中に含まれるヘリウム、ネオン、アルゴンの量を利用して、小惑星の表面が宇宙空間にさらされていた期間を決定することができる。
その結果は驚くべきものだった。東京大学の長尾敬介が率いる研究チームによると、イトカワから回収された微粒子が宇宙線などの放射にさらされていた期間は、せいぜい800万年であるというのだ。表面の微粒子がこのように比較的短期間しか宇宙風化を受けていないことは、イトカワが100万年に数十cmのペースで浸食されていて、新たに露出した表面が絶えず風化作用を受けていることを示している。
「これは、全く予想外の結果でした」とハワイ大学マノア校(ホノルル)の隕石研究者Alexander Krotは言う。「イトカワの一生は非常に短いのです。数億年後には消えてなくなってしまうでしょう」。

重要な発見はもう1つある。イトカワから持ち帰られた微粒子中の鉱物は、初期に、熱変成するほどの高温になっていたことが明らかになったのだ。東北大学の中村智樹らによれば、小惑星から回収された微粒子は、約800℃の高温で長期間にわたって加熱されていたように見えるという。

この熱を供給したのは、小惑星の内部にあるアルミニウム26の放射性崩壊だったと考えられる。実際、半減期の短いアルミニウム26は、太陽系の誕生から数百万年間の主要な熱源だったとされている。しかし、イトカワのように小さい小惑星に、岩石が変成するほどの熱を発生させられるほど大量のアルミニウム26が含まれていたはずがない。「温度が800℃まで上がるには、小惑星の直径は20km程度あった必要があります」と中村は言う。このことはつまり、現在のイトカワが、より大きな母天体の一部であったことを示唆している。中村は、「母天体が衝突によって破壊され、その破片の一部が再び集まって、現在の形になったのでしょう」と言う。

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