2019 佐賀大学 教育学部 学校教育課程 小中連携教育コース 一般入試(後期日程) 小論文 模範解答


資料Bによれば、元来、制服は組織や集団において一体性を生み出すツールとして用いられている。したがって、学校の制服もそれを着ることによって生まれる秩序や、学校運営上必要とされる一体性をもたらすという教育的意義を有すると言える。また、資料Aからは、制服が生徒の在学する学校への帰属関係や、生徒としての立場を示す役割を持つとされ、制服は社会における身分を示すという意味で教育的意義を持つと言える。
こうした制服の意義に対して、資料Bによれば、制服は生徒たちに画一的であることを強いる要因にもなりうるという問題点が指摘されている。その結果、資料Dでは、生徒の服装や行動のあり方を規定する校則が近年は増加していることに加え、かつて以上により洗練された管理教育が遂行されていることが述べられている。また、資料Eからは、画一的な制服では性的多様性に配慮し得ないことが問題視され、制服における服装について選択性が取られる学校も出てきていることがわかる。
以上のような問題点も踏まえた上で、学校の制服は今後いかにあるべきだろうか。資料Cから明らかなように、我が国の学校における制服着用の制度は、一つの文化や慣習となっている部分は確かにある。しかし、グローバル化が進行し、多様性が認められることが推奨される時代にあって、制服が画一化の象徴となり、教育における後進性を示す点は否定できないと考える。というのも、欧米の学校では私服での生活が一般的であり、学校における一体性が私服での生活によって損なわれるものでないことは明らかだからだ。したがって、一律に制服を着ることを強制するのではなく、着用についても選択を可能とするような柔軟な運用を行うことが重要だと考える。他方で、制服を着用することで得られる経済的なメリットもあるため、制服を廃止するのではなく、制服も着用してよいことにするのが肝要だと考える。(787字)

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