2014 京都府立大学 公共政策学部 推薦入試 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」



問一
活動人口とは、自分の住むまちやコミュニティにおけるマネジメントを主体的に担う活動をする人たちのことである。こうした活動をする人々の重要性は、まちづくりを行政に任せきりにすることなく、住民がまとまり連帯することにある。なぜなら、人口が減少し税収が減る中では行政の対応には限度があり、孤立化した市民が社会に生きにくさを感じたり、誰かとつながっていたいと感じる人たちが増えてきている現状があるからである。(199字)


問二
人口減少やそれに伴う税収の縮減によって、「いたれりつくせり」の行政サービスを望むことができなくなってきた。それゆえ、行政と住民の関係は変容を求められている。つまり、行政にまちのことを任せきりにするのではなく、行政とともに地域に住む人々が主体的にまちづくりのマネジメントを担う必要が出てきている。また、住民と住民の関係も、現代社会では個人単位の生活が当たり前となり、他の住民とのつながりが失われた。その結果、他者との関係性が希薄な無縁社会というあり方が社会問題を引き起こした。しかし、震災などの経験を通じて、住民どうしのつながりが見直されるようになってきた。それでは、このように住民と行政、住民と住民との関係性の変化が生じてきているなかで、人々の「いいあんばいのつながり」とはどのようなものになるだろうか。
 課題文でも指摘されているように、人々は江戸時代にあったような半ば強制的な互恵関係や相互監視を含むような強固な結びつきを望むわけではない。したがって、まったく関係を持たないのではなく、「ゆるい」けれども、確実な結びつきをもったコミュニティの形成が筆者のいう「いいあんばいのつながり」になると考える。たとえば、地域の課題を考えるタウンミーティングを開催したり、コミュニティにおいて多様な人々が集まることができる場を設けたりすることで、人々のゆるやかな連帯を生み出すことができると考える。(593字)



図1から近年は、各世代間において投票率に差があり、年齢層が上がるほど投票率が高くなる傾向が見られる。20代の投票率は他の年齢層と比べて最も低く、60代の投票率と約二倍の差が見られる。したがって、若年者層の投票離れの傾向がうかがえる。図2においては、2015年以降、総人口が徐々に減少する一方で、高齢化率が上昇し、総人口に占める高齢者の割合が増加することが推測されている。また、19歳以下の人口減少も認められるため、いわゆる少子高齢化が進行することがわかる。少子高齢化現象と若年者層の投票離れの傾向は、政治や政策決定にどのような影響を与えるだろうか。
政治への影響としては、政治家が当面の選挙に勝つために、高齢者の既得権を守ることで得票数を伸ばそうとすることが考えられる。なぜなら、今後、総人口に占める高齢者の割合が増加することに加え、若年者層の投票率が低下しているからだ。つまり、高齢者の生活保障と救済を政策として打ち出し、政治家が得票を狙うことが考えられる。その結果、政策面においては高齢者の優遇を狙い、年金や医療などの社会保障給付の抑制が反対されたり、勤労世代からの所得移転をできる限り拡大させようとするなどの政策への影響が考えられる。その結果、若年者層ならびに将来世代と高齢者層との社会保障負担などにおける世代間格差が生じることなどが政策決定上の問題になると考える。(585字)



問一
ある社長の教え


問二
筆者は大手メーカー社長との会談における経験から、突発的な状況や何もない状況など必要に迫られたときに、量的なもの、質的なもの、時間の経過をとらえる術を備えておくことが求められると述べる。こうした術や能力を身につけておくことは、私たちの生きる力としても重要だと考える。なぜなら、日本では大きな自然災害が近年多発していることや、東日本大震災などの経験から、急を要する判断や生き抜くための力が必要だと考えられるからだ。
たとえば、今夏、大型の台風が来たときに、私の居住地区を流れる川の氾濫警報が出された。私の家族はすぐに非難する行動には出なかった。しかし、私は普段見ている川の水位を考慮して、報道されている降水量から一時間以内に増すであろう川の水位を計算し、確実に氾濫することを確かめた。そこで、家族にこの計算結果を伝え、全員で非難区域へと移動した。結果として川は氾濫し、道路は浸水して歩くこともままならない状況であった。
以上の経験から筆者が述べるように、その場において状況を確認し、判断のために必要な数量を自分で作ることができることは、生き抜くためにも重要な能力だと考える。したがって、こうした力を発揮するためには前提として、物事を普段からよく観察しておくことや、身に付けた知識を知識として持っているだけではなく、実践的に用いる発想や訓練を行うことが必要だと考える。(579字)


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