2018年度 上智大学 公募制自己推薦入試 総合人間科学部 社会福祉学科 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


1.
資料より6か国に共通する特徴としては、総じて「高齢・遺族」関係支出と「保険・医療」関係支出の割合が高いことが挙げられる。日本について見た場合、6か国の対国内生産比における社会支出の割合は、我が国はアメリカよりは割合が大きいものの、ヨーロッパ諸国に比べると小さくなっている。また、我が国の「高齢・遺族」関係支出の割合は、フランスに次いで二番目に大きいことがわかる。さらに、「保険・医療」関係支出の割合は、諸外国と同程度の割合を占めている。加えて、「障害、業務災害、傷病」関係支出ならびに「家族」関係支出の割合は、アメリカに次いで二番目に低いことが明らかである。以上より、日本の社会支出における特徴は、「高齢・遺族」関係支出や「保険・医療」関係支出の割合は、他国と比較して相対的に高い一方で、「障害、業務災害、傷病」関係支出ならびに「家族」関係支出の割合は他国に比べて低いことが挙げられる。(393字)




2.
我が国において「高齢・遺族」関係支出や「保険・医療」関係支出の割合が、他国と比較して相対的に高いという特徴を示す要因の一つとして、高齢化社会の進展があると考えられる。というのも、今後我が国では総人口が減少するとともに、総人口における高齢者の占める割合が増加することが予想されており、目下この傾向が進行している状況にあるからだ。その結果、我が国における高齢化の進展は、他国と比して年金・医療・介護などの社会保障給付費を増大させる要因となると考えられる。したがって、我が国において「高齢・遺族」関係支出や「保険・医療」関係支出の割合が他国に比べて高いのは、高齢化の進展によって、高齢者関連の社会支出が増加しているからだと言える。
 他方で、「障害、業務災害、傷病」関係支出ならびに「家族」関係支出の割合が他国に比べて低いという特徴を生じさせる要因としては、いまだ障がい者福祉政策の充実化や労働環境の改善施策、女性の社会進出支援等が他国に比べて十分に展開されていないことを反映していると考えられる。たしかに、我が国では障がい者福祉の重要性が高まり、働き方改革や女性の社会進出の課題に加えて、それに伴うワーク・ライフ・バランスや子育て支援などへの関心が高まっている。しかし、これらの課題や関心の高まりに対する国家による政策が他国に比べて実現されていないと考える。特に日本では、仕事とともに育児や家庭生活の両立などが難しいことから、他国に比べて女性の社会進出が進んでいないことが社会における課題となっている。というのも、育児休業給付や子育て支援政策に対する社会支出が十分ではないからだと考える。以上より、関連する社会の課題に対して十分な政策が実現されていないことが、「障害、業務災害、傷病」関係支出ならびに「家族」関係支出の割合が他国に比べて低い要因であると判断することができると考える。(787字)


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