2018年度 北里大学 看護学部 一般入試 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


 筆者によれば、日本の新幹線がこれまでに乗客の死亡事故を一度も起こすことなく、驚異的な定時運行能力を持って運用されてきたのは、時間に厳密であることが日本に特有の「文化」であるからだ。さらに、時間に厳密であるほうが「いいに決まっている」という価値観は、それ以外の価値観や考え方を許容しない点で、判断停止であり、日本の「文化」の限界であると主張されている。つまり、時間に厳密であることを是とする日本の文化が、日本が高速鉄道の輸出において苦戦する原因となっているのである。それでは、こうした日本の「文化」の限界を超えて、日本が高速鉄道の輸出においても成功するためには、私たちは自らの文化とどのように向き合うべきだろうか。
 私は自分たちが身を置く文化を相対的に見る視点を得ることが必要だと考える。というのも、多様な文化や価値観があることを知り、日本人の文化や価値観を相対的に見ることができれば、他の文化のあり方を許容し、日本の技術を私たちとは異なった仕方で運用する方法を見出すことができると考えるからだ。たとえば、私自身も高校において交換留学生と共に過ごす機会を得ることによって、自分たちの考え方や行動規範などが彼らとは全く異なることを知ることができた。したがって、多様な異文化のなかで、自己の文化を見ることができれば、自己の文化が特権的なものではないことを確認できたり、自己の文化を反省的に見ることができると考える。そのためにも、外国人とコミュニケーションを積極的にとったり、海外の文化に触れることや、海外旅行や留学も含めて、多様で異質な他者を発見していくことが重要だと考える。
 以上より、時間に厳密である私たちの文化とは異なる生活様式や文化のあり方を知ることによって、新幹線の運用の仕方やマニュアルも、新幹線を販売する先の国の文化に適合させることが可能だと考える。(777字)

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