2010 北里大学 看護学部 一般入試 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


課題文によれば、斜線的継承とは親以外の血縁や血縁以外の身近な人間が、子どもたちに親からでは伝わることのない文化や知識を伝達することである。 
 私は斜線的継承が新たな文化や知識の創発にとって重要だと考える。なぜなら、親からの直線的継承だけでは、限られた知識や価値観しか獲得できないからだ。また、親から受け継ぐ知識や文化以外にも他の要素を受け入れることによって、自分の価値観を相対的に見ることが可能だろう。その結果、多様なものの見方があることを知り、それを受け入れ、他者に寛容な人間を育てることにもなる。
 たとえば、私の家族に障害者はいないけれども、親戚や近所の家族には私と同じ年の障害者がいる。親戚や近所の家族は、私と障害のある子らを同等に扱い、遊ばせた。幼いころから彼らとつながり、遊んできた私にとって、彼らの存在はごく自然であり、彼らが障害者であるという意識もこれまで持ったことはない。その結果、私は他の障害を持つ人間とも何の違和もなく付き合い、自然に手を差し出すことができる。もしも私が両親との関係しかなければ、障害者との付き合い方に躊躇や不安を持ったかもしれない。こうした親戚や近所の家族とのつながりから得られた私の経験こそが、両親以外の他者からの斜線的継承と言えるだろう。
 親からだけでは伝わることのない新しい価値観やものの見方を得られる点に斜線的継承の意義がある。しかし、斜線的継承が成立するような人間関係の自然な構築は現代社会では難しくなっている。課題文にもあるとおり、核家族化が進み、隣人との接触や交流も都会では少なくなってきているからだ。そこで私は、学校や自治体において、家族以外の他者とつながりを持つことができる仕組みを作るべきだと考える。近隣の人々とのつながりを作ることが、斜線的継承への第一歩になるだろう。(762字)


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