2015 上智大学 総合グローバル学部 総合グローバル学科 推薦入学試験(公募制) 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」
 

SARSが発生した場合に、行政府の長として私は三つの緊急対策を行う。第一に、SARSの発生が確認された段階で、その発生の事実と具体的症状、さらに予防策を都道府県内に周知することである。これはいたずらに人々の不安を増長させず、市民が感染予防に適切な対応や行動を取れるようにするためである。そのために、行政府内の保健衛生部門と連携を取る。そのうえで、SARSが飛沫感染することに対して有効とされる予防対策について各種メディアを通して指導・指示する。
 第二に、感染の拡大を阻止する対策を行う。たとえば病院にはSARSの感染患者を隔離治療するよう要請する。他方で、自身の行政区内へのヒトの移動を制限する。これには人を媒介とした感染の可能性を鑑み、SARSの10日間の潜伏期間を考慮する必要がある。したがって、発生確認から少なくとも10日間は、医療従事者や専門の行政官以外に、一般の人間の行政府内外への移動について自粛を求める声明を発表する。
 第三に、感染が流行した場合の対策を講じておく必要がある。なぜなら、第一、第二の対策にもかかわらず残念ながら、感染が流行する可能性も考えられるからだ。行政府内での感染流行が発生してしまった場合には、治療にあたる当の医療従事者も感染する事態がありうる。こうした困難に対しては自身の行政府のみでは対応が難しい。したがって、医療従事者確保のために他の都道府県への応援要請をあらかじめ行う。
 以上のような対策に加え、SARSが新型肺炎であれば、既存のものではない新たな医療薬が必要になる。しかし、一行政府においてこの新薬を準備するのは難しいだろう。したがって、これには中央政府特に厚生労働省等へ協力を要請し、新薬配備を早急に行いたい。
 予想される困難や行政府の限界を考慮したうえで、以上の対策を講じることで、SARSに対する現実的な対応が可能だと考える。(762字)

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