2018 群馬大学 教育学部 文化社会系 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


 筆者によれば、車内はかつて公共的空間であったが、最近ではその意味が変容し、私的空間から公共的空間へ移動するための空間、遷移的な意味の空間になっているので、車内での化粧ももはや日常的光景になっているとされる。
 なるほど、ある空間を公共的空間とするか、私的空間とするかは、時代や文化によって異なるだろう。車内という空間についても、それが持つ意味は当然変容しうる。しかし、筆者が言う変容は現実に起こっているのだろうか。少なくとも、ここで筆者が挙げる化粧などの例だけでは、そのように主張するのに十分でないと考える。なぜなら、車内空間が公共的なままで、そのなかでどのようにふるまうか、また、どのようなふるまいが許容されるのかに関する認識が変化したと考えても、筆者の挙げる例を説明することができるからである。筆者も認めるように、車内では依然として他人に迷惑をかける行為は許されていない。しかし、他人に迷惑をかけない範囲であれば、化粧をすることも、音楽を聴くことも、眠ることも許容されている。これは車内が「遷移的な意味の空間」という特殊なものだからではなく、単に公共的空間でどのようにふるまうべきかについての認識が変わったからだと考えられる。実際われわれは、車内に限らず、たとえば駅や飲食店などの待ち合わせ場所に早く着いた場合にも、上記のことをおこなっている。(572字)


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