2017 大阪府立大学 地域保健学域 看護学類 一般入試(前期) 小論文 模範解答
問題I
問1:視覚と聴覚は、映像・音響・レンズなどの技術によって拡張しカバーできる器具が発達しているのに対して、嗅覚は間接的なメディアで比喩的に伝えることしかできず、嗅覚を補助するメカも一般化していないということ。(100字)
問2:香りは、それぞれが個別的で具体的であって、具体的な物から離れて普遍化・抽象化することが難しく、たとえば「甘い」香りというような抽象的な軸で括ることができないので、同じ括りのなかでの強度の数値化ができないから。(104字)
問3:香りが電波に乗らないことで、テレビの画面越しに伝わるのが、匂いという生き物の本質を考える場面で大事な要素を欠いた、現実にはありえない光景になり、嗅覚を取り除かれたこのような疑似体験ばかりをしていることによって、画面に広がる光景について貧弱な想像力や感受性しか持てなくなるということ。(141字)
問題II
問1:貧困や無政府状態、コミュニティの力量不足、水供給システムの不適切なマネジメントなどのために、水資源を確保し、安定供給するのに必要な井戸や堰などの取水施設、もしくは貯留施設などの社会基盤(インフラ)施設の整備が不十分なうえに、水を浄化して配る仕組みがない、あるいはうまく機能しておらず、安全な飲み水を恒常的に利用できない状態。(162字)
問2:下痢、コレラなどの水系消化器系伝染病や、乳児の死亡につながる。(31字)
問3:安全な水を十分に利用できない地域では、衣食住の環境や、車などの移動手段、道路、エネルギー供給といった社会の基盤的サービス全般が不十分な場合が多いので、どのくらい水を使っているかは、総合的な生活福祉水準を示す指標、すなわち健康で文化的な人間らしい生活を営めているかの指標になるということ。(143字)