2012 北里大学 看護学部 一般入試 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


 通常、老いとは自由に動かすことのできる身体や健康の喪失として理解される。しかし、老いとは単純にそうした喪失のみを指すのではない。というのも、老いたからこそ発揮される力があるからだ。それは、それまでに培われた経験や知識を活かして幸せを創る力である。それゆえ、老いとはそうした力を得ることでもある。
 現在、日本では少子高齢化が進んでいる。筆者の主張に見られる老いに対するこうした肯定的なとらえ方が、少子高齢化社会のなかで、老人と共生をしていくうえで不可欠なものだと考える。というのも、老いることを能力や機会の喪失とだけ見なしてしまうと、老人は社会的弱者としてのみ扱われてしまうからだ。そうなると、社会のなかで老人が生きる希望はなくなってしまうだろう。なぜなら、老人というだけで端的な弱者として扱われ、人としての尊厳ある生き方が妨げられると考えるからだ。
 したがって、私も課題文のように老いは単なる喪失ではなく、それまでの経験を存分に生かして幸せを創造するあり方だと考えたい。老いたからこそ、培われた経験や知識を活かすことができると考える。たとえば、私も何かに悩んだり困ったりしたときには、祖父母に相談することがよくある。祖父母らの経験に裏打ちされたアドバイスによって実際に救われたことが何度もあった。
 このように、老人は若年者の悩みや葛藤を受容し、適切なアドバイスを与えることができる。それゆえ、ここに老人との共生が成立し、少子高齢化社会においても老人が意義のある存在となる。以上より、老いの持つ「幸せを創る力」を社会において評価していくことが重要だと考える。そのためにまずは、老いに対する否定的な側面のみに目を向ける考え方を改めていく必要があると考える。(576字)

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