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クビアカツヤカミキリの生態 どんな虫?

こんにちは樹木医のポリネーターです。
今回はクビアカツヤカミキリ(以下クビアカ)の生態についてです。
クビアカはサクラの害虫として知られ特定外来生物に指定されています。カミキリムシ好きの私にとってはとてもカッコいいと思うカミキリムシですが、桜が好きでもある私は桜を極端に衰弱させ、ひどい時は枯らしてしまうので、あまり増えてほしくないカミキリムシです。

首(前胸)が赤いのが特徴で、左がオス、右がメスです。触覚の長さが違うので区別がつくと思います。

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早ければ1年、長くても3年で羽化するようで幼虫期間はばらつきがあり、大体の個体が2年のようです。つまり、ぽつぽつ成虫が見つかるようになれば、少なくともその2年前くらいに卵が生み付けられていたと考えられます。ちなみに個体差が激しいので、以下にもう1つ写真を… 上の3頭がオスで22mm〜38mm。下がメスで27mm〜36mm(私の持っている標本の中で最小と最大と間が標準サイズ)

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基本的にカミキリムシの仲間は2次成長しませんので、オスよりメスの方が大きいのですが、大きいオスを見ると2次成長しているのかも?と思える大きさです。

幼虫は桜だけでなく梅、桃などの樹木に被害をもたらします。今回は桜での観察です。

今回は成虫から産卵までを紹介します。その後、終齢幼虫の変わった生態を紹介して終わります。

成虫のメスが単独でいる時はだいたい交尾済みで産卵中です。オスは何故か下向きが多く触覚を広げ、触覚に全集中して何かを感じています。きっとメスのフェロモンか仲間の匂いかだと思います。これは私の観察での考察ですが、捕獲すると白いジャコウのような香りのする液体を放出します。天敵に襲われた時に逃げ出すためにそのような匂いを出すと考えられます。また、その匂いを出させてしまうと近くにいたクビアカも急に飛んで逃げていきます。そして、この匂いが付いた虫捕り網を広げてクビアカに近づくと逃げ出すのが早いので、この白い仲間の匂いと言うのはきっと仲間に危険を知らせるための警戒臭でもあると考えられます。

成虫の活動時期は6月下旬頃から7月下旬頃まで、その前後は場所やその年の天候などによるとは思いますが、晴れた日の日中が活発に動き回る時間帯です。また、夜間にも活動の報告があります。ただ、アカアシオオアオカミキリのように樹液に来るようなことはあまりないようです。私にとって夜の活動の様子は課題であります。

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交尾は長く15分以上交尾していました。交尾中はあまり移動はしません。写真はメスが産卵中でそのメスにマウントをしています。交尾後マウントをしたまま産卵させ程よく産卵したらまた交尾をして産卵させます。考察すると、数百個〜千個も卵を産むと言われるクビアカなので、1度の交尾で最後まで自分の遺伝子を残せないのではないか、他のメスを見つけるより1匹のメスの産卵数の全て自分の遺伝子で卵を産ませた方がオスとしては自分の遺伝子が後世に残りやすいからの行動かとも思われます。ちなみに15分交尾、産卵30分、再び交尾20分と言うようなサイクルでした。

卵は樹皮のくぼみに生み付けられます。

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極小です。ここから孵化した幼虫は樹皮を食い破って形成層を食い、樹皮下を食い進みます。幼虫は木の中でぬくぬくと育ちます。恐らく卵から孵って樹皮を破って木部に到達するまでが一番死亡率が高いと思います。(幼虫期はデータがないので飛ばします。)そして翌年もしくは翌々蛹になります。

さて、このクビアカですが、特定外来生物に指定される前、交尾は目撃されるものの産卵行動は不明のままでした。そんな講義を聞き、「動画あります」と講師にその動画を提供いたしました。その動画が全国色々なところで流れているとか。。。

YouTubeに動画を投稿する能力を最近得たのでその時の動画をアップして見ました。ついでですが、交尾行動も付け足してあります。

YouTubeへ。。。→https://youtu.be/ByNAhJ5kDlg

産卵行動のみ付け足し忘れで加工していません。→https://youtu.be/TAZEdC1dDNM

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