生産管理スペース


本Noteは2023/2/18にTwitter上で行われた”生産管理スペース”のスクリプトです。
※一部、Note向けに加筆・修正を加えております。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。大変楽しいスペースでした。
生産管理とはこういう仕事だ。というのを生産管理の中の人が語るだけで、生産管理についてネガティブな印象を与える意図はございません。

本スペースは、以下の内容で開催されました。


  1. 自己紹介、スペースの目的

  2. 経営学と生産管理

  3. 生産管理とは

  4. 生産管理の各機能紹介

  5. 終わり

1.自己紹介、スペースの目的

はじめましての方ははじめまして。いつもお世話になっている方はお世話になっております。
Twitterで主には生産管理について愚痴をこぼしている見解を述べている花粉という者です。今回は製造業、メーカーにおける一職種である生産管理という仕事について個人的な見解を述べていきたいと思います。
私はメーカーにて生産管理を約6年やっております。
今回の意図は、最近、自分の仕事へのモチベーションがかなり落ちてきており、自身がどのような思いでこの仕事を選んだのか、そもそもきっかけとは何だったのかということを頭と気持ちの整理を兼ねて、振り返ることです。
内容としては大変拙いもので、個人の体験ベースで当たり前、むしろなんの裏付けもないようことばかりで有益なことは極わずかかと思いますが、ご興味ある方はお付き合いいただけると嬉しいです。

2.経営学と生産管理

私は私立大学の経営学部を卒業後、メーカーに入社、生産管理に配属されています。この配属は私が希望しての配属です。
生産管理を目指したきっかけですが、経営学を通じて生産管理を学んだこと、コンビニでのアルバイト時に、震災や大雪で物流がマヒしたときにモノが当たり前にあるすごさに気づき、新卒時の就職活動では生産管理としてメーカーを、またSCM分野にも興味があったため、物流業界も志望しておりました。
おそらく生産管理を勉強したということが少し珍しいかなと思うので、少し説明していきたいと思います。
経営学における生産管理の位置づけですが、まずは経営学とは何かということを開設したいと思います。
経営学で最初に教わることは、企業の目的は“利潤の追求”であるということです。人の生活をよくするためでも、環境を守るためでもなく、お金儲けです。お金を儲けることが”目的”でありその”手段”が”人の生活を便利にするモノを作ること”とかになると思います。
企業で働く人にお給料を払うため、よりよい製品を作る研究開発費などを稼ぐためにもお金が大切なのは当たり前ですね。
ただ、お金のためなら何でもよいというわけでもありません。昨今、SDGsという言葉が騒がれているように単なる良いものが売れる、支持されるというわけでもなくなってきています。
品質や性能はもちろん、地球にやさしいかとか雇用の創出などです。
僻地に工場を建てることは雇用の創出につながるし、土地は安いし、斬った木は木材として活用できるし、僻地であれば工場排水や煙などによる人への影響も少ないし、僻地に工場を建てるメリットも納得ですね。私も僻地に近い地方都市の工場に勤務しておりますが、見事に何もありません。
このように経営学はお金を儲けるためにはどうするのが最適かというのを突き詰める学問かと思います。安く買って高く売るですね。

経営学にはヒトモノカネの3要素があります。昨今は情報や時間、知的財産という言葉も加わり6つの要素を経営資源と呼んでいるようです。
生産管理は中でも”モノ”を管理するための分野です。一口に”モノ”と申し上げましても有形・無形のものがありますが、本Noteでは製造業においてカネを使った購入した”モノ”、設備(”モノ”の一部ですが、混同を避けるために”設備”とします。)やヒトを使用して付加価値を与えたモノ、この2点を”モノ”と呼び、前者を”外製品”、後者を”内製品”と呼びたいと思います。
経営学というとマーケティングや組織論、モチベーション、行動経済学などが有名ですが、生産管理は”モノ”という分野にフォーカスしている経営学の一分野なんですね。昨今は”SCM”という言葉も流行っており、物流や購買機能も”モノ”に対して働きかける機能と言えますね。
 

3.生産管理とは

生産管理とは言わば”必要なときに必要なモノを必要なだけお客様に納める、お客様から購入する仕事”です。でもこれはホントに一部で、実際は生産活動における細々したことを何でもやる部署です。
必要以上のモノはお客様はお求めになりませんし、必要以上にモノがあっては置き場もなく、サビや品質不具合、災害などで製品が使用できなくなるリスク、キャッシュフローの悪化に繋がります。
過去にもツイートしましたが、お客様のご要望と、自工程の生産能力、自社の資産を比較し、過不足なく納め続ける算段を立てる、そのために生産周りの手はずを整える。
生産活動を滞りなく継続させるために我々は存在しており、その生産されたモノをお客様の指定された時間に、指定された製品を、指定された数量、指定された姿(ダメージがないなど)、指定された場所にお納めする。いわば生産活動の出入り口を管理する幅広い仕事と思いますね。

4.生産管理の各機能紹介

一口に生産管理と言っても機能は多岐にわたります。
受注、生産計画、部品管理、出荷管理、荷姿、工場内物流、工場外物流、工程内物流管理、新規プロジェクト管理、グローバル展開されている会社だと世界の工場での台数振り分けをする生産計画管理などの機能を有しているところもあるかもしれません。

私は生産管理歴が次の4月で丸6年になります。経験としては受注、出荷、生産計画、部品管理を経験しており、生産管理という仕事におけるモノの出入り口は経験してきているかなーというところです。
私が経験してきた範囲に限りますが、各機能について解説していきたいと思います。
私の好きな金言で”生産管理は100点取って当たり前”、”生産管理は減点方式”というというものがあります。
約6年やって、減点されなかった日はないと思いますね。失敗ばかりです。

4.1受注について

受注とはお客様の窓口となり、どの製品が、いつ、何個必要なのか?などを聞き込み、社内に展開します。
電話でやりとりするところもあるかもしれませんが、基本的にはEDIなどデータベース上でやり取りするときがほとんどです。
ですが稼働情報をPDFで展開されるお客様がいるので、その際の具体的な台数情報や日程、いつ配信されるのか、品種の内訳などを聞きこんだりすることもあります。
ほかには新規の立ち上げや打ち切りなどの情報、異品や異数などの情報や輸送事故など発生した際にお客様への挽回納期などや情報共有の役目もあると思います。
お客様の情報が正しいということは理解していますが、それをただ流し続けることは正しいこととは思いません。
ですが、受注の仕事をやってみて、受注には受注の大変さがあると気づきました。 正直、受注は私には向いていない。

4.2生産計画について

次に生産計画について。
先の受注から降りてくる情報をもとに、どの製品をいつ、何個作ればよいのかを立案します。私が生産管理を面白いと思えた仕事であり、こんな生産計画作って意味があるのかと生産管理という仕事を見直すことになった機能です。
生産計画担当は”生産管理の花形”と言われるような仕事ですが、その生産計画は単なる数字や部品番号の羅列ではありません。
その生産計画をもって生産管理をはじめとしたいろんな部署を動かすことになるので、周りの方の協力なくしては生産計画は成立しません。
また間違った生産計画はお客様をはじめ周りの方々に多大なご迷惑をおかけし個人、ついには会社の信用を失いかねないので、それだけ責任と誇りが持てるポジションだと思います。
生産計画はパズルといわれることはありますが、正解があるというよりかはいろんな要素を組み合わせて1つの答えを作り出すということがパズルといわれる由縁かもしれません。自分が”これだ!”と思った生産計画、挽回計画がバチっとはまり、自分の思い描いたゴールにたどり着いたときは、大袈裟ですが自分が工場を動かしているという実感を得られた時かなと思います。
生産計画担当1年目の時は毎日吐きそうになりながら会社に行っていました。やはり自分のミスが生産ラインやお客様にご迷惑をおかけしてしまうので。
しかし人間とは怖いもので、慣れてくるとその緊張感を味わいたいがためにたまにはトラブルでも起きないかなとかこの程度のトラブルは朝飯前みたいな不謹慎なことを思ってしまうようです。

4.3部品管理について

最後に部品管理についてです。
先の生産計画に合わせて、必要なものを必要な時に必要なだけそろえる仕事です。
私は最初の担当が部品管理だったのですが、部品管理していた時代は、正直なところ何が面白いんだろうと思いながら仕事していました。
自分の意志を介在させづらいというか、計画に足りなければ怒られるし、多すぎても怒られる。
その責任はコントロールできていない人(部品担当)が悪いというなかなか理不尽な扱いを受ける個所かなと思います。購入までに時間がかかる部品だとなおさら増産、減産などの対応が厳しくなります。
ただこの経験があったからこそ、生産計画を変えるときに部品の有無や部品のLT(LeadTime)を加味した生産計画、サプライヤーの特徴などを生産計画立案時点で織り込めたので、経験としてはやってよかったです。
また花粉は部品を気にしてくれる、部品の話も通じるから助かるよ~と部品Grからも現場からも言ってもらえたのはうれしかったですね。 

5.終わり

ざっくり解説してきましたが、振り返ってもホントに一部しか説明できていなくて、この仕事のここが大変なんだよ〜みたいな苦労話もたくさんあります。
生産管理はどの機能も板挟みになることがやはりつらいところかと思います。
受注はオーダーの増減次第で計画屋にやいやい言われるますが、かといって出来ないとはお客様にいえないので作ってもらおうと必死です。
生産計画は受注や生産能力、在庫などを加味して常に最適な生産計画を立てなければならないのですが、急な変更だと現場や部品管理からクレームがくる。
部品管理も計画計画が増やせ!と言えば増やさざるを得ないですし、急に受注(=生産計画)が減り部品が不要になっても製品にはできないからなんとか減らせるところから減らせ!とサプライヤーとドンパチする。
よく言えば”人の間を取り持つ”、悪く言えば”板挟み/調整弁”といったところでしょうか。

就活当時、あまり人と関わらない仕事がいいなーと思ってこの仕事に就きましたが、日々の人間関係構築が大変重要だし、ほんとにぶつかることが多くて人間関係が生命線な仕事だと思います。
この仕事はメンタルをやむ人もいますが、自分がなんとかしなきゃと思える責任感がつよくほんとに優しい方だと思います。いつもお疲れ様です。

納車日に車がある。発売日に商品がある。不良品の大体がすぐに届く。製造業では毎日部品が納入される。こうした皆様の当たり前を支えるために、我々生産管理が微力ながらお手伝いさせていただいているということを少しでもご理解いただければと思います。
振り返るとホントに色々な経験をさせてもらったし、こんなにこの仕事についてアツく語るとは思いませんでした。ご拝読いただき、ありがとうございました。
※質問は緊張で消し飛びました。申し訳ございません。

花粉

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