見出し画像

弁護士業界の有料広告競争の行く末

弁護士業界と広告

 今、検索エンジンで「法律事務所」や「相続」、「離婚」、「交通事故」、「債務整理」などと検索すると、様々な法律事務所がリスティング広告を出稿していることがわかる。
 弁護士業界は人数が多くなってきており、競争が激しくなってきていると言われている。確かに、広告などをせずに黙っていてもお客様が来てくれるかと言ったら、来ないことの方が多いだろう。特に、東京都では積極的に法律事務所の存在をアピールしなければ、存在すら認知されない場合もある。そのため、法律事務所が広告を出稿していることは理解できる。
 しかし、反面、自分が法律事務所を利用する側だったらどうだろうか。
 確かに、広告を出稿されて、様々な法律事務所の情報が入りやすい世の中にすることで、法律問題に困っている人が適切な判断をできるようになるというメリットはある。しかし、広告出稿の費用は、当然、弁護士費用の額に影響してくるのではないだろうか。
 弁護士業界で競争が激しくなった結果、広告費が増大し、広告を目にしたお客様は、広告を基にして、広告費を多く掛けている事務所に依頼をする。そして、お客様は、広告などが要らなかった場合に比べて、高額の弁護士費用を支払うことになる。
 これは、先ほど述べた広告出稿のメリットを上回るデメリットではないだろうか。

有料広告全廃

 以上のことから考えると、有料広告は一切禁止してしまうことが国民全体の利益に適うのではないだろうか。
 もっとも、有料広告を全廃したところで、ホームページのSEO対策などに多額を費やし、ホームページを上位に表示させることによって同じような効果を生み出すというのは、現在同様に続くだろうから、大きい効果が上がるとは思えない。
 しかし、お客様のために最も良いことは「質の高いサービスをできる限り低価格で行うこと」であることは間違いないところ、広告は、そのことに逆行するものであるから、全廃するのが筋であると考えられる。
 結局、広告はお客様目線から考えれば「無駄」でしかなく、広告が無くなることでその分、弁護士費用が低下するのであれば、そっちを選ぶ人が多数なのではないだろうか。
 広告を沢山出稿して、多額の広告宣伝費を掛けてお客様を集め、広告宣伝費を回収するために弁護士費用を高額にするなんてことはあってはいけない。
 有料広告について今一度考えてみる必要があるのではないだろうか。

 最後に、先日、ショッピングセンターに買い物に行ったところ、日弁連の広告が出ていた。「いつでもどんなところでも弁護士」という文字と有名な女性俳優さんの写真で構成されたポスターだった。
 このポスターを貼り出すことで何につながるのだろうか。そのポスターを見て、「弁護士に相談しよう」と思う人はいるのだろうか。
 このようなポスターよりも、個々の法律事務所が広告を出稿した方がよっぽど、見た人が「弁護士に相談しよう」と思うのではないか。
 個々の法律事務所の広告規制うんぬんよりも、まずは、日弁連の広告出稿について考えるのが先だろうなと強く感じた。

 弁護士費用に関して、広告宣伝費の話も含んで書いてあるコラムがありますので、よろしければ以下のコラムもどうぞ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?