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警察学校ってきついの?①(明日からお前は猪木の真似をすれ)

警察学校について一言で言えば、きついです

でも警察署の勤務よりはマシです。

各都道府県によって違うと思うんですが、入校の日、警察学校に一歩足を踏み入れた瞬間、そこはもう自分の知っている平和な日本とは別世界です。「俺は北朝鮮にでも紛れ込んでしまったのか。」と思うような人権無視の生活が始まります。

学校に到着し、「今日からお世話になる○○です。」というと教官が軽くチェック。付近には制帽を目深にかぶって目つきが一切見えない警察官がたくさんいます。受付をすませた瞬間、こいつらが怒鳴りつけてきます。「走れ、オラ!」「荷物は左手で持てや!」意味わからないですが、とにかく指示された寮までひたすら走ります。

正門から寮まで500メートルくらいだったと思いますが、いたるところにそいつらが配置されていて怒鳴りつけてきます。逃げ込むように寮の部屋に入ります。そこで同じ部屋で寝泊まりする部屋員8名が初めて顔を会わせることになります。こんな感じで始まります。嘘じゃないです。

ちなみに荷物を左手で持つのは右手で敬礼をするからです。警察学校内の廊下ですれ違う時はお互い敬礼をしなければなりません。そのため、荷物は常に左手で持つのです。警察学校では常識ですね。

怒鳴りつけてきたやつらは一期上の先輩で警察学校の学生だと後でわかるんですが、初日から毎晩のように敬礼や声出しの練習を夜遅くまでさせられます。本当に毎晩恐かったですね。

昼間は教官から同じように敬礼や声出しの練習をさせられます。(冗談抜きで)殺されるかもしれないという雰囲気のプレッシャーに耐えます。これは公務員だから、と中途半端な気持ちで警察官になった者達を選別する意味があったと思いますね。警察学校自体もそういう場所でもあると思います。

そして何とか1週間後の入校式に間に合わせるわけです。入校式には県警本部長やマスコミ、親が来るので警察官らしい入校式を見せつけなければなりません。全力で返事をして、鬼のような形相で声を張り上げて歌います。高校や大学の式と同じ雰囲気では駄目なんです。今になって理解できますが、当時は苦痛だけでした。

入校式が終わると本格的に学校生活が始まります。自動販売機を使って良くなったのは入校してから1か月後、売店を使って良くなったのは入校から2か月後でした。甘いものは別に好きじゃないけど、その時期は何故か無性に食べたかったですね。土日の外出の時に近所のスーパーで甘いものをたくさん買ってきて夜中にこっそり食べてました。

たばこは3日目くらいで許可されました。なぜかたばこにはゆるい警察学校。男社会だからかな。よくわかりません。約15年前当時は校内の廊下の灰皿の周りで吸うことができました。現在は敷地内全面禁煙になってることでしょう。最初の一か月、土日は外出はできましたが、朝から16時半までの時間制限付きです。外泊は1か月後から許可されました。

警察学校の二日目、教官室に初めて入った時、担任教官や何人か教官がクスクス笑っています。教官への要件を終えると、教官が「明日からお前は猪木の真似をすれ。」と言ってきました。猪木というのはもちろんあの有名なアントニオ猪木のことです。自分は別に猪木には似てないけどアゴが少し長いのでこう言ってきたんです。

当時は自分もプライドが高かったので「嫌です。」と言って教官と10秒くらいにらみ合いましたね。「俺の言う通りにしてればお前は人気者になれたのに。せっかくお前をスターにしてやろうと思って言ってやったのに。つまんねー奴だな。」と言われました。

当時はすごい腹が立ちました。警察では上司との関係ほど重要なものはないと当時から分かっていたら喜んでやっていたでしょう。ただ間違いなくスベってたでしょうね。もともとそういうキャラじゃないですから。
(警察学校ってきついの?②に続く)




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