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持続可能な市政運営に向けた改革 安芸高田市 石丸市長 施政方針 令和5年

# 安芸高田市 石丸市長 施政方針 令和5年2月 (基本的な考え方編)

# 持続可能な市政運営に向けた改革

### 演説の内容は何?

- 毛利元就入城500年と市制20周年を迎える節目の年
- 「20年後の危機」を回避するための財政改革の必要性
- 公共施設の削減と上下水道料金の見直し
- 市役所の人材育成強化と組織力向上
- 変化を通じた新たな可能性の追求

### この演説に至った背景は?

- 少子高齢化による財政悪化の見通し
- 2040年頃に予想される財政の行き詰まり

### 演説の"キモ"はどのようにある?

- 「安芸高田市を「続ける」ためには「変える」しかない」という認識
- 抜本的な改革の必要性と変化への積極的な姿勢

### どうやって有効性を裏付けしている?

- 具体的な数値目標(公共施設の30%以上削減など)の提示
- 全国初、中国地方初、県内初の取り組みの実績

### 得をする人、団体は?

- 長期的視点で見た将来世代
- 改革を通じて強化される市役所組織

### 損をする人、団体は?

- 公共施設の削減により影響を受ける地域住民
- 上下水道料金の値上げにより負担が増える利用者

### 現役世代にどのように影響する?

- 行政サービスの効率化による利便性の向上
- 財政改革に伴う負担増の可能性

### 今後議論はどのように発展する?

- 具体的な施設統廃合計画の策定と住民との合意形成
- 市のコンパクト化に向けた長期的なビジョンの議論
### 同じような方針を目指して実行した世界の事例は?

- デンマークの自治体再編:2007年に実施され、公共サービスの効率化を目指した
- 日本の平成の大合併:市町村の数を減らし、行政の効率化を図った
- オーストラリアのビクトリア州:1990年代に地方自治体の数を大幅に削減
- ニュージーランドのオークランド市:2010年に周辺自治体を統合し、大都市圏を形成
- カナダのトロント市:1998年に6つの自治体を統合し、メガシティを形成

### 本質的でなく無駄だと思われる部分はないか?

- 毛利元就入城500年や市制20周年の記念行事:財政難の中で必要性が疑問
- 「世界で一番住みたいと思えるまち」という抽象的な目標設定:具体性に欠ける

### 見落とされている重要な前提条件はないか?

- 人口減少を前提としているが、人口流入策や出生率向上策の検討が不十分
- 地域経済の活性化や新たな産業創出による税収増加の可能性が考慮されていない

### 代替できる他の施策案は?

- 近隣自治体との広域連携による行政サービスの共同運営
- ICTの積極的活用によるデジタル化推進と行政コスト削減
安芸高田市の石丸市長が発表した施政方針について、その内容と問題点をお伝えします。

まず、施政方針の内容についてです。今年は安芸高田市にとって二つの大きな節目の年となります。毛利元就が郡山城に入城してから500年、そして市制施行から20年を迎えます。市長はこの機会を利用して、市民の一体感を醸成し、市の発展につなげたいと考えているようです。

しかし、演説の中心となっているのは「20年後の危機」を回避するための財政改革の必要性です。市長は2040年頃には財政が行き詰まる可能性があると警鐘を鳴らしています。その対策として、公共施設の総延床面積を30%以上削減することや、上下水道料金の見直しを提案しています。また、市役所の人材育成強化と組織力向上にも言及し、「360度評価」の導入拡大を挙げています。

市長は「変化を通じた新たな可能性の追求」を強調していますが、これは具体的にどのような変化を指しているのか、やや不明確な印象を受けます。

この演説に至った背景には、深刻な少子高齢化による財政悪化の見通しがあります。市長の説明によると、2040年頃には人口動態の変化により地方交付税が23億円減少し、扶助費が15億円増加すると予測されています。つまり、合計38億円もの財政的な裁量が失われる可能性があるのです。

演説の「キモ」は、「安芸高田市を「続ける」ためには「変える」しかない」という市長の認識にあります。市長は抜本的な改革の必要性を訴え、変化に対して積極的な姿勢を示しています。しかし、「変える」ことで失われるものについての言及が少ないのが気になるところです。

市長は改革の有効性を裏付けるため、具体的な数値目標を提示しています。例えば、2034年度までに公共施設の総延床面積を30%以上削減するという目標です。また、全国初、中国地方初、県内初の取り組みの実績を挙げていますが、具体的にどのような取り組みなのかは明らかにされていません。

この改革によって得をする可能性があるのは、長期的視点で見た将来世代です。また、改革を通じて強化される市役所組織も恩恵を受けるでしょう。しかし、損をする可能性がある人々もいます。公共施設の削減により影響を受ける地域住民や、上下水道料金の値上げにより負担が増える利用者です。これらの人々への具体的な対策や配慮についての言及が少ないのが気になります。

現役世代への影響としては、行政サービスの効率化による利便性の向上が期待できます。一方で、財政改革に伴う負担増の可能性も否定できません。市民生活への具体的な影響についての説明がもう少し欲しいところです。

今後の議論の展開としては、具体的な施設統廃合計画の策定と住民との合意形成が重要になってくるでしょう。また、市長が言及した「市のコンパクト化」に向けた長期的なビジョンについても、より詳細な議論が必要になると思われます。

市長の演説は、厳しい財政状況を踏まえた改革の必要性を強調するものでした。しかし、改革によって生じる痛みや、それをどのように緩和するかについての具体策が見えにくい印象です。また、「変化」や「新たな可能性」といった抽象的な表現が多く、市民にとってはイメージしづらい部分もあったのではないでしょうか。

今後は、より具体的な施策の提示と、それに伴う影響の詳細な説明が求められるでしょう。また、市民との対話を通じて、改革の方向性や進め方について丁寧な合意形成を図っていく必要があります。安芸高田市の将来像をどのように描き、それをどう実現していくのか。市長のリーダーシップと市民の協力が試される重要な時期に入ったと言えるでしょう。
続いて、安芸高田市の施政方針について、世界の事例や問題点、見落とされている点、代替案などの観点から分析してみましょう。

まず、安芸高田市が目指している方針と似たような取り組みを実行した世界の事例を見てみます。デンマークでは2007年に大規模な自治体再編を行い、公共サービスの効率化を目指しました。271あった自治体を98に統合し、行政コストの削減を図りました。日本でも平成の大合併として知られる市町村合併が行われ、3,232あった市町村が1,718まで減少しました。

オーストラリアのビクトリア州では1990年代に210あった地方自治体を78に削減しました。ニュージーランドのオークランド市は2010年に7つの自治体を統合して大都市圏を形成し、行政の効率化を図りました。カナダのトロント市も1998年に6つの自治体を統合してメガシティを形成しています。

これらの事例から、安芸高田市の方針は世界的な潮流と一致していると言えますが、同時に統合や効率化に伴う課題も予想されます。例えば、サービスの低下や地域の特色の喪失などが懸念されるでしょう。

次に、この施政方針の中で本質的でなく無駄だと思われる部分について考えてみます。毛利元就入城500年や市制20周年の記念行事は、確かに市民の一体感醸成には有効かもしれません。しかし、厳しい財政状況の中で、こうした行事にどれだけの予算を割くべきか、慎重に検討する必要があるでしょう。

また、「世界で一番住みたいと思えるまち」という目標設定は、確かに夢があって魅力的に聞こえます。しかし、具体性に欠け、実現可能性や進捗の測定が難しいという問題があります。より具体的で測定可能な目標設定が望ましいでしょう。

見落とされている重要な前提条件としては、人口減少対策が挙げられます。施政方針では人口減少を所与のものとして扱っていますが、人口流入策や出生率向上策についての言及が不足しています。人口減少を食い止める努力も並行して行う必要があるのではないでしょうか。

また、地域経済の活性化や新たな産業創出による税収増加の可能性についても、十分な検討がなされていないように見受けられます。歳出の削減だけでなく、歳入を増やす方策についてもより深い議論が必要でしょう。

最後に、代替できる他の施策案について考えてみます。一つの案として、近隣自治体との広域連携による行政サービスの共同運営が挙げられます。完全な合併ではなく、特定の分野でサービスを共同化することで、コスト削減と質の向上を両立させる可能性があります。

もう一つの案は、ICTの積極的活用によるデジタル化推進と行政コスト削減です。オンライン申請の拡大やAIの活用などにより、人件費の削減と住民サービスの向上を同時に実現できる可能性があります。

以上のように、安芸高田市の施政方針には世界の潮流に沿った部分がある一方で、いくつかの課題や改善の余地も見られます。市民の生活に直結する重要な方針であるだけに、より具体的で実効性のある計画の策定が求められるでしょう。また、市民との対話を通じて、様々な意見を取り入れながら、よりよい市政運営を目指していくことが重要だと考えられます。

■注意
要約等の過程で誤りが生じることがあります。

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