【サッカー解説・新時代】裏解説の登場とtwitterでの反応まとめ
1. 戦術的視点の広がりと"裏"解説の登場
これまで日本では、サッカーの楽しみ方として、「特定のチームを応援し、熱狂的に盛り上がる」といったスタイルが大部分を占めていたと思う。
しかし、ロシアワールドカップを大きなきっかけとし、「戦術的視点でサッカーを楽しむ」というスタイルがあることを日本のサッカーファンが気付き始めた。
そして、以前から戦術的視点でサッカーを見てきた人たちがクローズアップされ、より多くの人たちが戦術分析的な発信(ツイート、記事、ブログなど)に対して興味を持つようになってきた。
それに呼応するかのように、これまでのサッカー中継での解説スタイルにとらわれない「新しい解説スタイル」の試みが2018年後半に続々と登場。
それが、「裏解説」である。
2. これまでの解説との違い
裏解説と呼ばれる「新しい解説スタイル」は今では複数登場しているが、一番代表的と言える「戸田和幸さんの裏解説」と「テレビ中継の解説」の違いを知ることで裏解説の特徴がわかりやすくなる。
小澤一郎さんによる「オモテとウラ」の解説者の試合中の発言の比較記事がとてもわかりやすい。(※是非読んでください!!)
解説を文字にするとその違いは明らかであり、裏解説がただの「副音声」ではなく、「新しい解説スタイル」であることがよくわかると思う。
これまでのテレビ中継での解説(特に日本代表戦)では、盛り上がり重視、一方のチーム目線のみ、といった色合いが濃く、また、実況&解説という形式がお決まりであった。
当然ながら人によって実況・解説に求めるものは異なり、これまでのスタイルで満足している人もいる。一方で、そのスタイルに満足していなかった人が一定数いたことは確かである。
必ずしも「裏解説」=「戦術的解説」ではないものの、これまでの解説との差別化の方向性として、ピッチで起こっている事象をより深く掘り下げていく解説、であると言える。そしてこれが、ロシアワールドカップで刺激されたサッカーファンたちのニーズを満たすものになりつつある。
3. 代表的な裏解説の紹介
今回のアジアカップで配信されてている代表的な3つの裏解説を紹介したい。
【戸田和幸さんの裏解説】
赤髪モヒカンで2002年ワールドカップに出場し、近年は解説者として知名度を高めている戸田さん。
新生日本代表となった9月から裏解説の試みを開始。始めは無料配信だったものの、その反響を踏まえ、新たな解説スタイルの定着を目指して10月には有料配信にトライ。有料でも高評価が多かったため、満を持してアジアカップは日本戦全試合のパックという形で有料配信に。(初戦のみ無料)
※日本が敗退しても決勝まで配信
購入すると”非公開のFacebookグループ”に招待され、Facebookライブの配信で解説を聞くスタイル。
特徴的なのが、試合中の解説のみでなく、試合後のレビューはもちろんのこと、試合前のプレビュー(対戦国の前試合のレビュー)、アジアカップ全試合を見た上での各チームの特徴や大会の展望なども発信されている。
さらには、非公開グループの中で購入者同士が感想や意見を交わすことも自然発生しており、一方的な配信ではなく、オンラインサロンのような状態になっている。
【岩政大樹さんの裏解説】
日本代表経験もあり鹿島のCBとして有名であった岩政さん。
こちらも戸田さんと同じく、9月の新生日本代表の試合から裏解説を開始。
こちらはLINE LIVEによる配信。
戦術的な解説を意識しつつも、永島聖羅さんをアシスタントに据えることで、初心者でもわかりやすい解説・言語化をより意識したものになっている。
【五百蔵容さんの裏解説】
あの「砕かれたハリルホジッチ・プラン」の著者である五百蔵さん。
ロシアワールドカップでもニコニコ生放送で裏解説をやっており、アジアカップでも再び配信。タッグを組むのは、作家である中村 慎太郎さん。
こちらも戦術的な解説を特徴としている。
4. 裏解説へのサッカーファンの反応
では、裏解説はどのように捉えられているのか、twitterで反応を調べてみた。
それぞれの裏解説で少しずつ特徴が異なりつつも、全体的には好印象の感想が多いように思える。
さらに、裏解説を見比べる人も出てきている。
人によって感じ方も違うし、求めるものも違う。それぞれが自分に合うコンテンツを探せるようになってきたことをプラスに捉えるべきだろう。
また、裏解説ならではの問題もある。
現状では、試合映像の配信の権利はテレビ局にしか無く、裏解説のみではコンテンツとして成り立たないものであるということ。
そして、それが影響して起こるのがタイムラグ問題。
しかし、戸田さんの裏解説でも推奨しているように、録画して追っかけ再生することでタイムラグを解消することが可能である。
タイムラグの秒数は、配信方式や視聴環境により異なるが、数秒~20秒程度と思われる。
タイムラグによる違和感の大きさは人それぞれであるが、個人的には、解説スタイルにもよると思う。
実況がいるスタイルや1つ1つのプレーを細かく解説するスタイルであれば影響が大きくなるが、試合の全体観や特徴的なシーンを解説するようなスタイルであれば、それほど聞いていて違和感は無いように思える。
また、今後の中継・解説の発展に対してのいろいろな意見も出てきている。
現状のように”オモテ”と”ウラ”が別々であるからこそ実現できることもあるだろうし、中継の配信スタイルが変わらないと実現しないこともあるだろう。
5. サッカー中継・解説の今後の可能性
裏解説は、現在は主に代表戦を対象として行われているが、今後はクラブチームの試合を対象にしたものが出てきてもおかしくないだろう。
また、配信することのハードルが下がっているため、著名人ではなく、いちサッカーファンが裏解説を発信するようなことも増えてくるかもしれない。
そして、裏解説にニーズがあるのは確かであるが、これまでの解説にニーズが無くなったわけではないだろう。それぞれが、好み・視聴環境・気分などに合った解説を選べばいい。
テレビ中継も、変わっていく部分、変わらない部分があるだろうし、テレビ局によっても差が出てくるかもしれない。
”ウラ”・”オモテ”問わず、より多くの特徴的なコンテンツの中から選べるようになっていくことで、多くの人がサッカーを今まで以上に深く楽しめようになっていくことを期待したい。
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