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《不思議な出来事》西山沙希

武蔵野美術大学の修了制作展、大学院の版画コース西山沙希さんの木版画の作品は、サイズ感を自由自在にとった日常風景を切り取った作品だった。

木版画の柔らかな輪郭と色あいが、サイズ感を変えた光景の違和感をほのぼのとした雰囲気に変える。

《不思議な出来事》©西山沙希

サイズが様々な作品を多数展示していることも、サイズ感の凸凹を印象付けているだろう。

《不思議な出来事》©西山沙希

キャプションはひとつのみだったので、これらの作品を総称してか、シリーズ名なのかは判然としないが《不思議な出来事》というのは、それぞれのモチーフの誤用なのかもしれない。大きな作品の緑色の公衆電話などはレトロな雰囲気を感じさせるし、それと並置される文房具と町の景色、境界の曖昧さは木版画の色の柔らかさによって緊張感というよりも大らかな心持ちにさせる。

グレゴール・シュナイダーの見せる異化効果とは違った異物感。平和な感じもいいな、と思う。


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