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武蔵野美術大学 修了制作展 おひの にほの展示

武蔵美の卒業・修了展を見たのは2日前、最初に回ったのは2号館、その早い段階で、おひの にほさんの展示を見た。圧倒的な作品点数、オイルペインティングと大きな作品を展示する小部屋からなる。

作品点数からも感じるが、小部屋の中の大作品、圧倒的な没入感を放っていた。

巨大な顔に見つめられるからだろうか。

展示風景, ©おひのにほ

どうやら、この作品のモチーフは母と父のよう。母の顔色が青いのはゾンビだからだろうか。そして、右側の父は透けて見える。中央の作品から幽霊だろうかと想像する。そして、これらの作品に対面するように縛られた人物のようなモチーフが立ち現れる。

展示風景, ©おひのにほ

先ほどの女性と男性を父と母と書いたのは、この袋を被せ、しばられた人物(と思われる)は、子だろうと捉えたから。それを暗喩させるステートメントがあった。ただ、ステートメントはフィクションの様相を纏っており、何がファクトで、何がフェイクなのかが判然としない。そもそもが絵画は作家が生み出した表象でもある。


展示風景, ©おひのにほ
©おひのにほ

フェイクなのか、ストーリーテリングなのか、混乱するのは多数のオイルペインティングの展示が、そう示唆させるように思えた。

恐らく画面の精緻さから、絵画を見るということから超越した認識へと接続するためではないだろうか。ここに居てはいけないという居心地の悪さを感じるが、いつまでも見ていたい。そうした身のすくむような体験だった。

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