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飯山由貴『生きている百の物語』展 @ WAITINGROOM 鑑賞メモ

江戸川橋のギャラリー、WAITINGROOM で開催されていた『生きている百の物語』の展覧会を見てきた。横浜トリエンナーレの連動企画として展示されており、瀬戸内芸術祭で展示されていた映像インスタレーションを再構成したということ。入り口のガラス戸は遮光用に黒いシートが貼られ、いつもとは違った雰囲気のギャラリーだった。

入り口を入って右手側の壁は映像作品を投影するスクリーンになっている。プロジェクターは2台配置されており、壁に投影しているプロジェクターからそっぽを向くように、もう1台は斜めに投影している。その先は合板であり、そこに言葉を投影している。反対側の壁には、合板に英語と日本語で言葉をプリントしていて、それで三角を作り、頂点がこちらを向いている。真正面から見れば、二つの面を見ることができ、それぞれの面を集中してみることもできる。あるいは片側が無かったり、上下に角度がつけられたり、そうした合板が壁にいくつも設置されている。この言葉をプリントした合板は、プロジェクターで言葉を投影している合板と思考の接続を促すかのよう。その空間にインタビューをしている音声が流れる。字幕が壁に投影された映像に入り、この映像とインタビューが連動しているということを思わせるが、画面に映されているのは豊島に関する新聞記事のスクラップである。ギリシャ生まれという男性の声、声の感じからそれなりに年齢がいっていると思わせる。

もう一つのスクリーンになっている合板の奥は机が用意されており、ノートが一冊置かれていた。パラパラとめくると横浜トリエンナーレからの接続として見に来た人が多いように思えた。

横浜トリエンナーレは9月に入ってから見に行こう。

ノートに書き残された物語は、それを書いた人、それぞれの人生があった。そうした人生、自分自身の感覚で形づくられている物語。飯山由紀の作品は、否が応でも、それに向き合わされる。そうした誘導があるのだと解釈した。

ギャラリーに置かれていたノート、これはアーティストにとって、とても貴重なリサーチ・ノートになるに違いない。



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