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武蔵野美術大学 卒業制作展 永原直輝の展示

永原直輝さんの展示は、壁面と展示台の上にスケッチブックが並べられていた。大きな作品から小さな作品に向かい、小さな作品はグリッド状に配置されている。

展示風景, ©永原直輝

これは有機体の特徴を捉えようとするもの、人工生命への探求に近いだろうか。

永原さんの展示は、彼の研究「家畜化症候群における自己家畜化とその影響、及び芸術における創造性と精神疾患に関する考察と制作」と関連するものである。

絵画から感じる生命らしきもの。神秘性のようにも取れるが、それは現代人が人体の内部の構造や映像を写真やコンピューターグラフィックモデルで知っているからであろう。すると、絵画の中に生命らしきものを見出しているのだろうか、もしくは知識を引き出すトリガーとなっているのだろうか。ここで研究のタイトル、精神疾患にも目が行く。曖昧なようで説得力のある接続である。

スケッチブックは、ロールシャッハテストの模様のようなものも並ぶ。壁面が身体で、スケッチブックが精神を表しているのかもしれない。

展示風景, ©永原直輝

イラストがあるのは、生成AIの実験も行っているためだろう。展示することに迷いがあるようだけれども、生成AIが生成する女の子の顔が、どのように変遷するのか類例的にリサーチしているという。

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