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弟子屈の星空がピンチです

なんとなくですが、毎日見ている弟子屈の夜空がだんだん明るくなってきて、星が見にくくなっているように思っていました。
その傾向が、数字で出てくると、相当な危機感を感じます。

デジカメ星空診断測定値の推移

毎年、夏と冬に環境省が取りまとめている、星空観察の結果を時系列で並べてみました。

これまで、逐次まとめをして、いろいろなところでPRしてきました。
その中で、前々回、2023年夏のデータが、先日公開になりました。
データは、星空公団のホームページからアップロードすると、速報値として知ることができますが、速報ではないデータは、環境省の発表を待たないとわかりません。
速報値よりも良いデータになることも悪いデータになることもあります。
2023年夏のデータの速報値が21.76だったのが、検証された値では21.56として発表されました。
その変化を時系列のデータとともに示したのが、次の図です。
(これまでプロットしていた2018年夏のデータは、測定期間外だったので、削除しました。)

デジカメ星空診断測定値の推移

2023年夏の速報値を見て、「落ちているとはいえまだまだ大丈夫」と思っていたのですが、どうやらそういうわけでは無さそうです(泣)

夏の数字で比較すると、
2018年の21.75 → 2023年の21.56と、0.2ほど落ちています。

星がこれだけ見えなくなっている

これを、H. Spoelstraの比較図と照らし合わせてみます。

H. Spoelstraの比較ノモグラム

図のあっちとこっちなので、見にくくて申し訳ありません。
背景の明るさ(オレンジ色の枠の中)で0.2違うと、一番右の見える星の数が、約1000個減ることがわかります。
6000個→5000個なので、ざっくり2割近くの星が見えなくなる計算です。

まんなかちょっと右寄りのグレースケールは天の川の見え方のチャートです。
天の川の濃淡が詳しく見えるような空から、そうでもない空へと劣化しているともいうことができるかもしれません。

これは、とても残念なことです。
なんらか対策を講じられるように、今後もこの現状を、できるだけ多くの町の皆さんや行政にも理解してもらえるように、活動をつづけてゆきたいと思います。

ひとつ、難しいと思うのは、対策といっても、原因が明確ではないことです。
街灯など多くの野外照明にLEDが採用され、その前についていた白熱電灯や蛍光灯よりも消費電力は少ないものの、明るさとしては明るいものが付けられる例が多いのではないかと考えています。
また、LED照明の光の特性として、青白く、空への影響が大きいものに置き換わるようなこともあるのかもしれません。
なかなかそういった、過去の電灯の仕様などにさかのぼることも難しいと思われ、また他にもなにか原因があるかもしれないので、原因から対策というのは進めにくいのかもしれません。

星空を守るために、無理のない範囲で、できることを継続するような考えを浸透させてゆければと思います。

今回はここまでです。

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