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『RED LINE』ができるまで ―― RED LINE ディレクター・プランナー 有賀歩美

※この記事は、ゲームマーケット2021秋に発売した、「RED LINE OFFICIAL BOOK」内のコンテンツ「『RED LINE』制作秘話 - 2 : 企画視点②」です。
記事単体でも購入できますが、マガジンでの購入がお買い得でおすすめです。

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※記事内にはネタバレを含む部分がございます。
必ず、『POLARIS-01: RED LINE』をプレイしたうえでお読みください。

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『RED LINE』制作秘話
ストーリーゲームレーベル POLARIS の記念すべき第一弾『RED LINE』。
今までゲームを作ったことのない彼らが、どうやって王道のマーダーミステリーを生み出したのか。
その知られざる制作秘話をお届けします。

企画・プロデューサーの林健太郎、企画・ディレクターの有賀歩美、ゲーム UXデザインの目黒水海、シナリオの鈴木禄之、の4名による、それぞれの視点で描かれる『RED LINE』誕生までをどうぞお楽しみください。



春頃、現POLARISチームプロデューサーの林から突然メッセージが届いた。内容は、私の名前が入ったチーム体制図と、ゲームマーケット出展までのスケジュール叩き、作品の企画案。前段や補足等はほとんどなく、この情報だけが届いた。
思えばこの数日前に直接、「マダミスって興味あります?」と聞かれ、「ある」と回答したような記憶はある。こうやって突然結成されたこのチーム。もちろん当初は「POLARIS」なんて名前も無い。何よりも私はその時点で、マーダーミステリーをただの一度もプレイしたことが無かった。

それからプレイ経験を詰み、いとも簡単にハマり、情報収集もしていく中でわかったことがあった。2021年におもにSNSで話題になっていたマーダーミステリー作品達には共通点があった。それは「以下のいずれかの特徴に当てはまる」ということだ。

①世界観やトリックやテーマに、 “これまでに無かった斬新な発想” を取り入れている作品
②マーダーミステリー自体を知ってもらうのにふさわしいような、 “ライト層をターゲット” にしている作品
③プレイする場所や空間にこだわった、 “イマーシブ型” 作品

また、2021年になってから我々POLARISのようにマーダーミステリー制作に参入した人は非常に多く、作品数もプレイ人口も増えたことにより、王道テーマで、シンプルなトリックで、「ロールプレイングと謎解き」を素直に楽しむような作品はほかとの差別化がなかなか難しくなってきているということもわかった。(もちろん王道かつ 2021年に話題になっていた作品もあるが。)

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