見出し画像

POLARIS誕生に寄せて ―― RED LINE クリエイティブプロデューサー・プランナー 林健太郎

※この記事は、ゲームマーケット2021秋に発売した、「RED LINE OFFICIAL BOOK」内のコンテンツ「『RED LINE』制作秘話 - 1 : 企画視点」です。
記事単体でも購入できますが、マガジンでの購入がお買い得でおすすめです。

画像3

※記事内にはネタバレを含む部分がございます。
必ず、『POLARIS-01: RED LINE』をプレイしたうえでお読みください。

---------------

『RED LINE』制作秘話
ストーリーゲームレーベル POLARIS の記念すべき第一弾『RED LINE』。
今までゲームを作ったことのない彼らが、どうやって王道のマーダーミステリーを生み出したのか。
その知られざる制作秘話をお届けします。

企画・プロデューサーの林健太郎、企画・ディレクターの有賀歩美、ゲーム UXデザインの目黒水海、シナリオの鈴木禄之、の4名による、それぞれの視点で描かれる『RED LINE』誕生までをどうぞお楽しみください。


自己紹介

はじめまして。林健太郎と申します。普段は映画や演劇などを制作している27歳です。
この度は、POLARISの記念すべき第一弾作品『RED LINE』を購入いただき、ありがとうございます。

まだほぼ知名度も無い本作を手に取って頂いたことに、心の底から感謝と共に、ご購入していただいた貴方がいつか “POLARIS超初期からくると思ってたんだよね!” と周りに自慢できるレーベルになれるよう、邁進してまいります。

ここではPOLARISを始めた理由と、RED LINE に込めた想いを綴ります。
もしよろしければプレイ後にでも見ていただけますと幸いです。

POLARISをつくった理由は、人見知りだったから。

POLARISは、自分にとって初めてのゲーム製作となりました。ちなみに自分だけでなく、POLARISチーム全員がマーダーミステリーに出会ってから間も無い、ゲーム制作初心者です。よく完成できたな、、と今でも思っていますが、チームメンバー全員の努力とセンスのおかげでしかありません。
オフィシャルブックの他メンバーの記述も、是非見ていただけますと幸いです。

自分はこれまで、俗にいう“企画”を生業とし様々な作品を制作してきました。企画とは何か。人によって解釈は様々かと思いますが、自分の思う企画は “まだ証明されていないけれど、きっとできたら面白い仮説を立て、立証する挑戦” です。例えばコロナ禍になった時は、自宅からでもエンターテイメントは作れるはずという仮説の元、ノーミーツというチームでフルリモート演劇なるものを制作していました。

昨年、マーダーミステリーをプレイした際に生まれた仮説は“マダミスには、人見知り同士が仲良くなれる、コミュニケーションゲームとしての大きな可能性を秘めている”でした。

いきなりですが、自分はかなりの人見知りです。気を張らずに話せる限界人数は4人(ノーミーツを始めるまでは3人でした )、特に初対面の方が複数いる場に苦手意識があります。大人数の場での自己紹介で、苦手なことは大人数です!と話し微妙な空気になることも多数 (これはタダ滑っているだけ)。

ではそもそも何故、人見知りがコミュニケーションゲームを作りたいと思ったのか。
それは自分がコミュニケーションを好む人見知りだからです。
持論ですが、人見知りの大半の人はコミュニケーションが大好きです。何か内に秘めた趣味や、熱心な野望などを秘めています。なのに何故人見知りをするのか、それは他人の感情や動向を人一倍気にしているからです。本当は気軽に話した方がいいことは分かっている、でもきっかけが無いから踏み出せない。それだけなんです。
とまあ、分析するのは簡単なのですが、どうその壁を乗り越えるのか、となると難題になります。彼らは (そして私も)、同じ空間にポンと置かれてももちろん話せませんが、人狼ゲームのように自分から発言をして進めていくゲームを用意しても捻くれて発言をしません。受動と能動のバランスが繊細過ぎる生き物なのです。


ここから先は

1,672字 / 2画像
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?