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へとへと

ここのところ妙に疲れが溜りまくってしまい、歩く姿勢もいつも以上によろしくない。もともとシャキッと歩けない性質ではあるのだけれど。

そんな気分で歩いていて脳裏に浮かんだ言葉は「へとへと」

特に死語ではないと思う。使う時には使う言葉だろう。老若男女に関わらず。否「老若男女」の方が使わない言葉かも知れないし。

疲労回復効果を謳ったサプリメントか何かだったと思うけれど、少し前に新聞広告で見たフォントがツボだったことを思い出す。実物の画像を捜したけれど見つけられず、是非そのフォントをお見せしたかった。本当に文字自体が疲れ切っている風で、実に「へとへと」な文字だったのだ。

その効果だろうか、しばらく使っていなかった「へとへと」が最近はちょくちょく頭に浮かぶようになった。すっかり刷り込まれたようだ。

そう考えると件の新聞広告の広告力にはスゴイものがあるように思える。生半可なサブリミナル効果以上の直球勝負の効果だ。

いや、たまたま自分がツボにハマったからってそんなに褒め称えてもいけないかもしれない。

「へとへと」はどうやらオノマトペに属するようだ。確かに、擬音語でも擬声語でもないだろうけれど擬態語に思える。

語源は音ではないだろう。どんなに疲れてたって、へとへとへとへとと音を出しながら歩いたり寝転んだりしている人がいたとしたら変だ。もし遭遇したら、救急なり警察なりに通報モノのような気がする。

どうやら古い言葉に「へとる」という動詞があるらしい。疲れ切るという様な意味だ。「へたる」なら自分でも使うけれど、「へとる」については使いもしないし使っているのを聞いたことも読んだこともない。それこそ今や死語なのかも知れない。

元の「へとる」は忘れられても、意味を保ちつつ「へと」へと形を変えて残ったということなのだろう。こういう例があるから日本語は面白い。

ちなみにGoogle先生に翻訳してもらうと、「へとへと」は「tired」とか「exhausted」とか「worn out」になる。

どう考えても日本語の勝ちに思えるのは単なる贔屓だろうか?