抗がん剤治療スタート
大腸がんステージ3の申告を受け、母の抗がん剤治療が始まった。
抗がん剤治療というのは飲んでみないことには効く効かない、合う合わないがわからない。
合わないときにはかなり具合が悪くなったりするから厄介なものだ。
薬が合わないときはあまり動けず、家で休むことが増えた。
髪も抜け落ちる期間があり、ウィッグのお世話にもなった。
それでも調子が良い時も多かったので、相変わらず孫の行事には顔を出してくれたし、車を飛ばして遊びにきてくれたりした。
1年が過ぎた。
大変なことは多々あったであろうが、泣き言も言わず淡々とやるべきことをやり、母は日常を過ごしていた。
ある時、腕の痛みを訴え始めた。
病院でレントゲンをとると、左腕の上腕部の骨がずいぶんとなくなっていた。
恐れていた転移だ。
骨がなくなった部分にボルトを入れる手術をすることになった。
ボルトは母の骨の代わりとなり、母の腕を支えた。
この時も母は淡々としていた。泣き言ひとつ言わずに。
娘の私にはあまりしんどいところを見せないので、大変ながらもこの時がずっと続くように思った。
それでも不調で入退院を繰り返すことが増えた。
入院の度にお見舞いに行ったが、社交的で人気者の母の病室には大抵誰かが面会にきていた。
娘といえど特別に時間を取れるわけではないので、なかなか2人でゆっくり話す時間が取れない。
嬉しいような残念なような、複雑な気持ちだ。
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