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多文化と普遍

2009/03/09 No.22の便りを改変

★多文化間カウンセリング


 昨年(2008年)10月に環太平洋集団精神療法学会がくにびきメッセでありました。
 私は英語がものすご~く苦手で、外国人を見ただけで緊張して固まってしまうタイプです。せめて萎縮しないように準備しとこうと、何か月前から英語教室に通っていましたが、そんな準備にも関わらず、かなり疲れてしまいました。すごく勉強と刺激にはなったんですけどね。
 参加者の方たちで、カッコ良く英語を操る方たちを見ていると、とてもかっこいいです。でもこうやって活躍している人たちなりの苦労とかあるんだろうしな~と、(やっかみもあったのかもしれないけど)考えていました。

 多文化間カウンセリングというのに、この頃興味を持っています。
 もともとは、帰国子女などの悩みについての分野だったようなのですが、国際化や人の交流が多くなるに従って、臨床心理学の中でも、少しづつ重要な視点になってきているようです。何冊か関連の本を読んで、勉強中です。
 なぜ、外国苦手な私が「多文化」というものに興味を持ったのかというと、引っ越しが多かったことや、いろいろな職場の方と話をするようになってから、文化という視点はすごく重要なんじゃないかと感じ始めたからです。
 例えば、仕事に関る話を聞かせていただくと、それぞれの仕事には独特な決まりや考え方というものがあることに気づきます。傍から見ると妙な慣習に見えたり、あまり重要でないように感じられたり・・・。しかし、その仕事の歴史や役目を考えていくと、それに至る「それなりの物語」があったりするのですよね。
 その職が作り上げた文化ともいえるでしょう。
 職場が変わったりすることで、人はその文化を受け入れなければならなかったり、自分の持っている価値観を揺さぶられたりします。お互いの文化の差が激しいときは職場がつらいものに感じられるでしょうし、そういう相談ももちろんあります。
 文化の差というものを人はどう受け入れていくのか、多文化間という視点が役に立つと思えたのです。

 文化ということを考えていくと、まず価値観、感情の表わし方、集団に対する意識の仕方などなど・・・人は気付かないようなとこで、それに基づいて動いていることに気づきます。

 九州にいた時、人間関係の中で「なんで聞かなかったの?」と言われて、あれ?と思ったことがあります。
 あまり理由を聞かず受け入れてしまう・・・出雲人っぽい特徴が他県の人との感覚と違っていて、その人にとっては不思議だったようなのです。
 こういうときって、ここでは聞くのが普通なのか?
 自分が当たり前と思うことと違う考えがあるとき、ちょっと不安に感じるものです。いろいろな相談で、「自分の感覚と違う、合わせなければいけないと思うけれど苦しい」という相談はよくあります。文化が違うとわからないことが沢山あることを分かっておくことも重要なのでしょうね。

 相談の中で、この「文化の違い」について語ってもらうと、人はさまざまな文化によって彩られた個性的な人間性を持っていることを、しみじみと教えてもらえます。わかったうえで納得して、それぞれがオリジナルな解決策を創っていくことができる、と思うのです。
 今まで自分の家族という文化しか知らなかった子どもが集団保育に入ることも文化の違いです。転校、転職、結婚も文化の違いが影響しますよね。人と言うのは文化をどう受け入れるのかというのから、離れられない存在なのかもしれません。

 文化の違いに敬意をもち、柔軟性を持って関わっていくことが、当たり前だけど重要なもの。そのうち「所詮人間以外の何物でもない」というような、共通で普遍的なものも見えてくるかもしれません。
 相談の中で、いろいろな職場文化を教えてもらえることは私にとっては、かなり楽しみになっています。

                     ゆかり
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 本当に学会参加のために英語教室に通いました。なんだか思考回路が英語に向いていないんだな私、としみじみ理解できましたけど。

 多文化カウンセリングはこの頃勉強していないけれど、考え方としてはナラティブに近いのかな?文化の違いは相変わらず楽しんで学んでいます。


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