12月9日。

昨日まで幸せだったからといって
今日も幸せだとは限らないのだな。

今朝AM5時。いつもとおりに起床した。
隣ではききのお腹に顔を突っ込んで、ららが眠っていた。
ように見えた。
いつものように。

私が目を覚ますと、すぐに後ろをついてきて
ごはんをせかす、ららが起きてこない。
ききにくっついて幸せそうに眠っているとばかり。

いつものように、お湯を沸かす間
顔を洗い歯を磨き、コーヒーをいれて
やっと異変に気が付いた。ららが呼吸をしていない。

見た目は、すやすやと眠っているよう。
身体もまだ、温かかった。
手足を投げ出し、安心しきって眠っているいつものらら。命だけが、すっぽりと何処かに行ってしまった。
目を覚ましたききにはその理由なんてわかるはずもなく、遊ぼうよ、と誘うように
ららの顔をぺろぺろと舐めている。
私は寝起きの頭で必死に考えようとするけど
完全に思考が停止してしまう。
ふと見ると、ららの下半身が尿で濡れていた。
死んでしまうと、排泄物や体液が漏れてくることがある。
可哀想に、冷たかったね、と、もう二度と動かないららに、に思わず話しかけてから
濡らしたタオルでキレイに拭いてあげた。
そして、また濡れたら可哀想なので、ペットシーツを敷いた
清潔なバスタオルにくるんだららを
ずっと膝に乗せて、抱っこしていた。
悲しいというより、放心状態。
なにがなんだかわからない。
ききがららの亡骸に
無邪気にちょっかいを出す。

昨夜は、いつもより早く帰れたので
スーパーに寄り、ササミを買って
茹でてあげた。
ききとららの大好物なんだ。
小さな鍋で茹でている間も、流水で冷ましている間も、小さく刻んでいる間も
みゃーお、みゃーお
と、ららは元気に催促していた。
ききを押し退けて一番先におなかいっぱいになって
食べ終わったらちゃんと私に
ごちそうさまの挨拶をしにきていた。
いつもと変わらなかった。
もう、ほんまにお前さんはくいしんぼうやなぁ。
顔を拭いてやりながら笑った。

夜遅くまで、ききとじゃれ合い、こてん、と眠っていた。私もそのタイミングで眠った。
私の隣でくっついて眠るききとらら。
2匹を撫でながら眠りに落ちて。

ららの身体は、まだほんのり、温かい。
生体の死後硬直は、死後30分~2時間の間に始まると考えると、ベットに入って直ぐに
なんらかの原因で息を引き取ったのだろう。
懇意にしている獣医に電話することも考えたが
目の前のららの心臓は、もう鼓動をやめている。
呼吸もない。こんな寒い朝に、動かすのは可哀想だな、と考えるのをやめた。
原因を調べたからといって、ららは帰ってはこないもんな。
死後硬直が始まる前に、ららの手足を、軽く折り曲げてやる。丸まって眠っているようにしか見えない。
タオルにくるまって、喉を鳴らしながら眠っているようにしか見えなかった。
気が付くと、10時前だった。
私は膝に乗せたららを抱っこして、時折撫でたりして、5時間近くも呆けていたのだ。
不思議と涙は出なかった。
ききは、構っても反応しないららの異変に
気が付いたのか構うのをやめ
代わりに大きな声で鳴くようになった。

私は我に返り、社に電話をし、休むことを伝え
とにかくららを箱に入れなければと焦った。
何故だかわからないけど、焦った。
ちょうど先日、友だちにプレゼントしたものの
空き箱があり、ららが気に入って、その空き箱に入って遊んでいたので、その空き箱を棺にすることに決め、ららのお気に入りのベッドに敷いてあった(写真参照)フリースの毛布を敷いて、ららを納めた。

画像1

空き箱はららの身体には大き過ぎたけど、ききが入り込んで身体を寄せていた。

お前ら、仲良しやなぁ。

いつもききとららに口癖のようにかけていた言葉をかけて、思わず、あまりの微笑ましさに
笑った。そして、次の瞬間、一気にきた。慟哭。
息が出来なくなった。

ららを知っている何人かの友人にLINEやメールやtweetで報告し、途方に暮れていたが、いつまでもこうしている訳にはいかない。愛犬たちがお世話になったペット霊園に電話をする。本当はもっと傍にいたい。でも、いつまでも悲しみに暮れている時間は、私には無いのだ。冷徹になり切る覚悟を決め、ペット霊園のスタッフさんのご厚意で、お昼から火葬してもらうことを決め、予約をし、部屋を出るまで、ららに寄り添うききをぼんやりと眺めて過ごした。

棺には、あまり物を入れると迷惑になるので、ちゅーると、大好きだったモケケを入れた。私のバッグインバッグにつけていたモケケ。猫用のおもちゃより気に入っていて、根負けして外して、ららにくれてやった、お気に入りのおもちゃ。

玄関でききは最後のお別れ。最後までららの顔を愛おしそうにぺろぺろと舐めるきき。ごめんね、連れていくよ、と声をかけてドアを閉めた。

箱を抱いてタクシーに乗る。行き先を告げると、運転手さんがポツンと
辛いですよねぇ。うちにもいるから、わかりますよ。
なんていうからまた泣いてしまう。

霊園に着いて、受付を済ませ、書類に署名捺印し、代金を払う。愛犬たちも、ここの共同墓地に眠っている。毎年4月に、慰霊祭をしてくださるので、それに合わせて手を合わせにくる。
私がお金持ちなら、もっとやりようがあるのだろうが残念ながら現実は厳しい。
火葬した後は、その他大勢と共同で納骨される、そんな形のさよならを選ぶしかなかった。

受付の初老の男性が、
ここにはね、みんないてますから。
大丈夫。寂しくないんですよ。
僕達がね、お墓を守りますから。
住職さんもいますから。だから安心して
僕達に任せてくださいよ。
と、私に言ってくれた。
はい、よろしくおねがいします、
というのが精一杯だった。
では、お預かりします、と深く一礼されて
これが帰れという合図なのだな、と私もららに最後のお別れをする。
可哀想ならら。可愛いらら。
誰よりもいとおしかったピンクの鼻先に
いつもしていたように軽くキスをして
らら、ありがとね。と声をかけてから
箱の蓋を閉めた。

建物から出て、通りに出る時振り返ると
受付の男性が、両手でららの入っている箱を抱え、お見送りをしてくれていた。
私は、建物が見えなくなるまで何度振り向いただろう。寒くてたまらなくて
身体が震えて、歯がカチカチと鳴った。
やがて建物と、ららを抱いた男性も見えなくなった。

タクシーをつかまえる気力も無く、ぼーっと歩きながら帰ってきた。定期的にマンションの共有部分をお掃除にきてくれる顔見知りの業者のおじいちゃんに
お?今日は休みかい?ちっちゃいの、大きくなったかい?
と話しかけられ、適当に返事をし、やり過ごし、エレベーターに乗り、また泣いてしまう。
鍵を開けて部屋に入ると、ききを押し退けて飛び出してくるららがいないことに気が付き、また、泣いてしまう。猫たちのトイレが、汚れていることに気付く。片付けながら、そこにもちっちゃくて可愛らしいららの排泄物があり、それをシャベルで掬いながら、また、泣いてしまう。
確かに生きていたんだ。それなのに。

ききは、お風呂場に行ったり、ららが隠れていたテレビの後ろや、クッションの下を落ち着きなく探しては、鳴いている。

私は、先週、ららの片目から目やにが出ていたので、受診したことを思い出してる。
ついでに検診もしてもらい、健康優良児だね、と言われ、近い将来の去勢手術の時期なども決めて、キャリーの中で大騒ぎするららに、大笑いしながら帰ってきた。あれが一週間前。それなのに。

泣き過ぎて頭が痛いので、鎮痛剤を探していたら娘からLINEがきた。ららの癒し画像送ってー、と。娘にはまだ言えない。きっと悲しませてしまう。既読はつけずにおいた。

らら。

ここにららだけがいない。

あんな小さな身体で、中央分離帯の植込みで
大きな声で助けを求めていたらら。
この小さな生命、絶対守ってやると決めたのに。
神様は、ららに3か月という
短い時間しか、与えてくれなかったみたいだ。
残酷だな。
ごめんね。なにもしてやれなくて。
でも、きっと、ききにとても愛されて
最期も、ききに寄り添ったままで
幸せだったと思いたいよ。

私には、たくさんの癒しと、幸せな時間をくれたよ。天使って実在するんだって思ったよ。

ありがとう、らら。
今度生まれ変わってくる時は
長生き猫になるんだよ。


ららを気にかけてくださった友人、フォロワーの皆さま、ご報告かたがた駄文ですみません。
ららに代わってお礼申し上げます。

本当にありがとうございました。

画像2

ありがとう。

pokoとききと、そしてららより。

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