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赤単ゴブリンデッキガイド【ヒストリック】

1.初めに

ヒストリックのゴブリンデッキがジャンプスタートで爆発的に強化されたのは誰の目から見ても明らかだった。筆者も実装日にさっそく回してみたところ、かなり即席で作ったデッキリストにも関わらず手ごたえは良かった。

その後は《死者の原野》デッキの研究に没頭していたのだが、そちらがひと段落したため改めてゴブリンデッキをプレイしてみることにした。BO3ランクマッチをプレイしたところ、2負したのみであっさりダイヤランクからミシックランクに到達。せっかくなのでこちらも解説記事を書くことにした。

前にも述べたが、私はこの手のデッキ解説記事は公開が早ければ早いほうが面白く読めると考えている。現段階ではリストを様々弄りながら合計25マッチ程度しかプレイしていないので解説やゲームプランには見当違いな部分もあるだろう。それでも多少なりともこのデッキに興味がある人に楽しんでもらえるように自分なりの考えを書き記したいと思う。

2020/7/31追記
この記事の公開から既に10日以上が経過しています。MTGアリーナの環境はたいへん移り変わりが早いため、現段階では既に当記事に書いてあることが当てはまらなくなっている場合も多くあるかと思います。その点ご容赦ください。

2.ゴブリンは赤単?タッチ黒?

死住まいの呼び声

結論から言うとゴブリンに黒を加えるべきではないし、そもそもその必要もない。

まずゴブリンデッキは様々な能力を持つゴブリンによって赤単色のみで十分な対応力を持ち、リスクを負って色を足す必要がない。

そしてタッチ黒をしようとすると想像以上にデッキの安定性が損なわれる。
まず《死住まいの呼び声》をキャストするための黒マナソースが最低でもデッキに10枚程度は必要なのに対し、《血の墓所》《髑髏山の山頂》の8枚以外に安全にデッキに投入できる黒マナソースは存在しない。

それに加えて《死住まいの呼び声》自体がキャストタイミングを選ぶ限定的なカードであり、二重の意味でデッキの安定性を損なう。

ここまでの内容を踏まえてもなお《死住まいの呼び声》+《狂信的扇動者》or《ゴブリンの鎖回し》の除去コンボが必要だと感じるのであれば、その時はもはやゴブリンではなく《波乱の悪魔》を中心に据えたサクリファイス系のデッキを使うべきだ。

婆のあばら家

こんなカードはヒストリックには存在しないんだよ。

3.デッキリストの解説

ゴブリン日本語版


これが僕がランクマッチで使用したリストになる。

MTGアリーナインポート用デッキリスト

 3.1 メインデッキに採用したカード

 ・《上流階級のゴブリン、マクサス》

1枚も引かない時より2枚以上引いた時のほうが勝率が明らかに高かったため4枚にした。《ゴブリンの女看守》から持ってこれるから3のほうがいんじゃ?と思うかもしれないが、女看守とマクサスが手札に揃ったなら探鉱者をサーチしておけばよい。

マクサス画像

出たら勝つんだからフル搭載じゃい!

・《狂信的扇動者》

単体ではお世辞にも強力なカードではないが、ミラーマッチで輝くこと、《ラノワールのエルフ》に強いことを加味して採用。あとはそもそも他に採用できる軽いカードがないという事情もある。
このカードが弱いマッチアップはデッキ全体としてはやや有利な場合が多いため許容範囲かと思う。


・《ずる賢いゴブリン》

4積みのマクサスへの布石として常に最低限の働きをする。《ゴブリンの廃墟飛ばし》をサイドインする場合もゲームメイクに貢献してくれる。
しかし2枚引くと破り捨てたくなる弱さの場合が多いので1。マクサスを3枚以下にするならデッキから抜くかも。

・《ゴブリンの戦長》

人によって枚数の差が大きいカード。よりマクサスにオールインするのを狙うなら枚数を増やしてもいいだろう。

・《ゴブリンの鎖回し》

枚数はメタ読み次第。今は最低限の1枚だが上ランク帯は同型が増えそうなのでどんどんメインの枚数が増えていきそうな気がしている。


・《群衆の親分、クレンコ》

生き残ったら勝つので少し多めの3枚。《人目を引く詮索者》でトップに見えるととんでもないことになるのも多く積みたい要因。

 3.2 マナベース

ほとんどのリストで土地は24枚だが、個人的には25枚の採用を強く勧めたい。なんなら土地26枚でもいいのではないかと感じることすらある。

このデッキは多少マナフラッドしてもカードアドバンテージを取るカードが多く困ることは少ない。《エンバレス城》もフラッド受けになる。

逆に土地が3~4枚で詰まって《スカークの探鉱者》が除去され手札が使い切れないのがこのデッキで一番多い負け方。それにそもそも探鉱者でゴブリンをマナに変換してカードをダンプするのはマッチアップやゲーム展開によっては肯定されるものの、やはりそれなりのリスクがあるし、《人目を引く詮索者》も土地が十分ないと真価を発揮できない。

当リストは25枚目の土地としてマクサスのプレイを1ターン早める可能性のある《ファイレクシアの塔》を採用しているが他の土地でもいいと思う。候補は《総動員地区》《幽霊街》《廃墟の地》《ザルファーの虚空》(詮索者とシナジー)など。安定を選んで山でもいい。ただしタップインする可能性があるカードはやめておこう。

ファイレクシアの塔

強力なゴブリンを抱えたまま土地が3枚で詰まって負けは寒すぎる。土地は多めがいい。

 3.3 サイドカード

・《レッドキャップの乱闘》

一番のターゲットは《波乱の悪魔》。次いで同型用。ここ数日で同型とサクリファイス系は明らかに増加傾向にあるので最終的には4枚になるかも。

・《丸焼き》

対ケシス。詳細はマッチアップ別ガイドで後述する。


・《溶岩コイル》

主に対悪魔兼対ケシス、あとは雑多な緑系のクリーチャーデッキにもサイドインする。上ランクのメタゲームでは《レッドキャップの乱闘》に統一してしまっても構わないのかもしれない。

・《軍勢の戦親分》

主に対コントロール。別にいなくても構わないが、ダイヤモンド帯はなぜかコントロールデッキとも比較的よくマッチングするので1枚残していた。

・《炬火の炎》

なかなかマニアックなカードかもしれない。主に同型対策。詳細はマッチアップ別ガイドにて。

 3.4 未採用カードについて

・《ゴブリンの首謀者》

メインサイド合わせて2枚程度採用するのが主流だろうか。
自分が採用していない理由を端的に言うと、重いからだ。

しばらくはメインに1枚サイドに1枚採用でプレイしていたが、ほとんどの場合このカードを経由せずにクレンコやマクサスを直接プレイするほうが
強いと感じるようになりメインからは抜けた。

消耗戦になるマッチのサイドカードとしては優秀。ただ対サクリファイス系やミラーマッチでは4マナをプレイしている猶予があまりないとも感じていた。そうなると対コントロールデッキ(全体除去を多用するデッキ)専用のサイドカードとなるわけだが、ここは元から首謀者なしでもやや有利が付くし、《ゴブリンの廃墟飛ばし》をとマナ域が被っていて使いづらさを感じることもあり《軍勢の戦親分》に1枚の枠を譲ることとなった。

画像4

強いんだけどね。マクサス4の上から入れるにはもっさり。もしこのカードを2枚以上採用するのなら《ゴブリンの戦長》増量を検討。

・《高山の月》

1枚だけなら採用してもよいと思う。軽い妨害+早いクロックは対コンボの基本。ただ、複数採用して2枚以上引いてしまうとそのぶんアタッカーが足りなくなり《空の粉砕》から《精霊龍、ウギン》で負けるのがオチだ。原野デッキにはそこまで相性は悪くないので過剰にサイドカードを用意する必要はない。

・《トーモッドの墓所》《魂標ランタン》

これらも1枚だけなら採用を検討する。
マッチアップ別ガイドの対4Cケシスのところで後述する。


・《ゴブリンのクレーター堀り》

汎用性があるのに加えゴロスとウギンを潰せるカードでもあり、1枚は採用したほうがよい気がしている。


4.マッチアップ別サイドボーディングガイド

■ミラーマッチ
IN
2《レッドキャップの乱闘》
3《ゴブリンの鎖回し》
1《炬火の炎》
OUT
4《ゴブリンの煽動者》
1《ゴブリンの女看守》
1《ゴブリンの女看守》(後手時)
/1《狂信的扇動者》(先手時のみこちらでもいい)

ミラーマッチの焦点は最終的にはどちらが先に《上流階級のゴブリン、マクサス》をプレイできるか。そしてそこに至るまでの過程として重要な役割を持つクリーチャーをいかに除去できるかが鍵となる。具体的には《スカークの探鉱者》《ゴブリンの酋長》《ゴブリンの戦長》《群衆の親分、クレンコ》である。

特に探鉱者は場に残ってしまうとかなり早いターンにマクサスがプレイできてしまうので全力で除去する。《炬火の炎》はミラー専用カードに近いが、
相手の探鉱者と酋長or戦長を同時に始末でき、時として《ゴブリンの鎖回し》以上の効果がある。

炬火の

注意点としては、基本的には自分の《スカークの探鉱者》はできるだけ手札に温存し、プレイしたターンに同時にマクサスまで一気にプレイできる盤面を作ることだ。逆に相手も同じことを狙ってくるため、場のゴブリンとマナの数のカウントには常に気を配る必要がある。

互いに鎖回しを出し合う展開では《ゴブリンの煽動者》はカード1枚分の働きをしない場合が多い。《ゴブリンの女看守》に関しては除去である《宝石の手の焼却者》やフィニッシュのマクセスをサーチできるのは良いのだが、このカードが強く働くのは探鉱者ありきの場合が多く、ミラーマッチでは重さが気になった。タフネス1も問題になる。

《溶岩コイル》のような2マナの単除去をサイドに採用している場合にミラーマッチでサイドインするかは微妙なところ。1対1交換のソーサリーに2マナは若干取り回しが不便だ。

■対ゴロス原野
IN
4《ゴブリンの廃墟飛ばし》
OUT
2~3《狂信的扇動者》(後手は全抜き)
0~1《ゴブリンの鎖回し》
1~2《宝石の手の焼却者》
0~1《群衆の親分、クレンコ》

相性は少し有利。先手は廃墟飛ばしで《空の粉砕》を撃たせずに勝ったり、
撃たれても1枚程度なら速攻生物の再展開で押し切れる場合が多い。後手は1~2回の全体除去を経たタイミングでマクサスを叩きつけてコンボ的な勝ち筋をたどりたい。

クレンコを何枚残すかは結論が出ていない。全体除去を恐れてキャストできないタイミングも多いがマクサスからの酋長+クレンコのコンボで勝つビジョンを描くと山札に眠っている枚数は多い方が嬉しい、といった感じ。

鎖回しはただの3/3と思いきや《エルフの再生》のチャンプブロックを防ぐ、パワー2をブロックした《樹上の草食獣》を落とす、バウンスを使用した後のテフェリーの抜け殻を効率よく落とす等、案外細かいところで役立ったりするので必ずしも抜かなくてもよいかもしれない。

■対ラクドス/ジャンドサクリファイス
IN
2《レッドキャップの乱闘》
2《溶岩コイル/Lava Coil(GRN)》
1《炬火の炎》
2《ゴブリンの鎖回し》
OUT
3《狂信的扇動者》
4《ゴブリンの煽動者》

相性は不利。「焼却者をうまく使えば意外と不利ではない」という話を聞いたことがあるが、かなり嘘くさい。

サクリファイス側がよほどマッチアップに不慣れでない限り焼却者で綺麗に《波乱の悪魔》を除去できることは少ない。そもそもある程度サクリファイスエンジンが場に揃うまで悪魔はプレイされず、もし除去できたとしても数体のゴブリンを持っていかれるので損は確定してしまう。

鎖回しも正直あまり強くはない。もしこのマッチアップを改善したいなら《焦熱の竜火》のようなインスタントで《忘れられた神々の僧侶》と《波乱の悪魔》の両方を除去できるカードを追加するべきだろうか。恐らくそれでもなお不利が付くと思うが…。

■対4Cケシス
IN
2《丸焼き》
2《溶岩コイル》
1《レッドキャップの乱闘》
OUT
3《狂信的扇動者》
1《ゴブリンの鎖回し》
1《上流階級のゴブリン、マクサス》

相性は五部~少しだけ不利。

個人的な考えではこのマッチアップのために《トーモッドの墓所》や《魂標ランタン》のような墓地対策は採用するのは好みではない。

なぜかというと《万面相、ラザーヴ》《精錬する発掘者》《隠された手、ケシス》という高タフネスのクリーチャーを展開されアタックが通らずもたついているうちに相手がサイドインした《ウルザの殲滅破》等でコントロールされてしまうからだ。

サイド後の墓地対策で墓地コンボデッキに対抗するには、墓地対策の処理に相手がもたついている間に素早くゲームを終わらせれることが必須条件である。しかし4Cケシスというデッキはこちらが墓地対策をサイドインする前提でその威力を軽減するために全力で身を守ってくる。結果ゴブリン側は中途半端な攻撃と中途半端な防御を両天秤で仕掛けた形になり相手のゲームプランに付き合う形になってしまう。

またトーモッドのような一時的な墓地対策は《精錬する発掘者》や《湖に潜む者、エムリー》が場に残っていると効果が激減するし、かといって《墓掘りの檻》のような恒久的な墓地対策もゆっくり場を整えてからの殲滅破なりテフェリーで突破されてしまう。(そもそも《檻》はゴブリン側にも被害があるんでは…というのは今は無視してくれ。)

そこでゴブリン側に勧めたい戦略は「ブロッカー兼コンボパーツとなる相手生物をできる限り排除し続けて殴り続ける」だ。理想としては、こちらのアタックがある程度通り続けている状況で焼却者かレッドキャップの乱闘を手札に抱えて相手の最後のコンボトライを妨害して勝ち、という展開を目指したい。
まあサイド後でもこちらのデッキに除去カードは8枚+数枚のサーチ手段しか入ってないのだからそう簡単なゲームプランでもないわけだが…。

一応もう一つのサブゲームプランとして「とにかく全力でマクサスを目指す」というのがある。マクサスが場に出たら相手は死ぬと信じろ!どうにもならん時はどうにもならん!理論もクソもないプランだがこれも現在のゴブリンの強みではある。苦手なデッキ相手でもドブンがまかり通れば勝つんや!

■対荒野の再生
IN
4《ゴブリンの廃墟飛ばし》
1《軍勢の戦親分》
OUT
3《狂信的扇動者》
1~2《宝石の手の焼却者》
0~1《ゴブリンの戦長》

基本相性は五分五分程度だと思うが相手のデッキ構成次第で有利にも不利にもなるという印象。基本的には殴りでプレッシャーをかけ続け、相手が大きく動きてきたところでマクサスでの一発を狙う。

原野デッキよりブロッカーが出てきずらいので戦親分をサイドイン。

《炎の一掃》と《溶岩震》が大量に採用されていると少し面倒臭い。特に酋長と戦長はまとめて持っていかれる危険が高いため少しサイドアウトすることもある。鎖回しは炎の一掃にひっかからず3ターン目に雑に置いておくのに便利だったりするので少しサイドインするのもアリかもしれない。


■対青系コントロールデッキ
IN
4《ゴブリンの廃墟飛ばし》
1《軍勢の戦親分》
OUT
2《宝石の手の焼却者》
3《狂信的扇動者》(先手時)
/1《ゴブリンの鎖回し》(後手時)
/1《ずる賢いゴブリン》(後手時)
/1《群衆の親分、クレンコ》(後手時)

相性は少し有利。ただしこちらも相手の意識次第では五分五分~少し不利程度まで変わる。

先手は単純にカードとして弱い狂信扇動者を抜いているがここは好みで残してもいいかと思う。

■対グルールアグロ
IN
0~2《溶岩コイル》
0~2《ゴブリンの鎖回し》(先手時)
OUT
1《ずる賢いゴブリン》
1《ゴブリンの戦長》

相性は有利。クレンコが起動するかマクサスが出ればおよそゲームセットで、それまで耐えるのが基本戦略。

基本的にあまりカードを入れ替える必要はなく、《砕骨の巨人》で効率よく除去されうるカードを少し減らす程度。(ほぼ全ての生物に当たるのでそこまで厳密にケアしようとしても無理だが)

先手でないと3ターン目の全体1点除去は効果が薄いが、3/3先制のサイズは役立つため鎖回しは後手でもそこまで悪くはない。

最も多い負けパターンは《探索する獣》に《エンバレスの宝剣》。
できるだけ焼却者を手札に抱えておけると安全だ。

■その他のマッチアップ

ここには挙げていないが生物を軸にしたデッキにはおよその場合かなり有利が付く。《死者の原野》を使用した亜種デッキにもだいたい有利。有象無象に強いのはトップメタデッキの風格。

5.最後に

自分で使っているゴブリンについて簡単に解説させてもらった。正直このデッキ構成やゲームプランが完成系とは全く思わないし今後まだまだ大きく変遷していくと思う。フレキシブルな構築が可能なのもデッキも魅力だ。

とにかく、今ヒストリックでランク上げをしたりイベントで稼ぎたいなら
ゴブリンは相当お勧めできるデッキだ。トップメタを通り越して少々強すぎるレベルにあるとまで思える。将来的に禁止カードが出る可能性も十分見え…おっとこれは小声にしておこう…。

それではここまで読んでくれてありがとう。少しでも楽しんでくれたのなら幸いだ。よかったら今後の記事にも目を通してくれたら嬉しい。それでは。

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