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コーカサスから中東へのバイク旅行 (その68)

2023/10/3

さて、ついに重い腰を上げる時が来たようだ
一応の宣言通り8時か9時に出発できるように準備を整える
雨雲がちらほら西の方から見え隠れするがまずまずの天気
少しずつ皆が集まり始める
パッキングを終えて最後のシャワーを浴びる
シャワーから戻るとサルダールが来ていた
見るからに夜遊びが好きそうなサルダールが起きてこられたとはえらいえらい
出発前に会いたかったリジャルとシダルは残念ながらこ来ないようだ
この街で一族をまとめながら商売をしていくのはいろいろ大変なのだろう

出発までに200リラ分ガソリンを補給してから行くかと思ったがやはり予想通りお金は受け取ってもらえなかった
マフメットが強制的にタンク満タンに入れてくれる
最後の別れの挨拶と握手を終えて出発
ほんとにここの人たちは温かく迎えてくれた
また近いうちに機会を作って訪れたい

ちょこちょこ道端から手を振ってくれる人たちに挨拶を回しながらのんびりとしたペースでŞemdinliに向かう
少し雨雲が多くなってきたけどこのペースなら多分何とか雨が降る前にŞemdinli に到着できそうだ
Derecik側の前半がアップダウンがきつく後半はなだらかになる最初の峠越えで2回休憩
自分のバイクにはちょっときつめの傾斜でサードセカンドを使って少し高めの回転数でご飯を長く続けるためにすぐエンジンがタレてきてしまう
オーバーヒートに気をつけながら何とか峠を登りきったところで軍のチェックポイント
この辺のアーミーはのんびりした感じでここは素通りでできるなと思った瞬間呼び止められた
OK、OK
なるたけご機嫌を損ねないように丁寧に対応すると兵隊さんとてもフレンドリーでチャイを飲んでけと誘われた
断ることもできないのでとりあえず詰所へ

やはりIDチェックなどどこへやら、彼らの興味はこんな所に来た珍しい旅行者に色々と日本のことを聞きたかったようだ
最初は無難な会話をしていたがそのうち悪い癖が出てきわどいジョークを連発したが彼らは受けているようで大丈夫な様だ
1人日本の永住権が欲しいと言う軍人がいて日本人のリッチな女性と結婚すれば日本国籍取れるよと言ってあげた
しかしここにリッチな日本人女性が来る事はまずないだろう

チャイを頂きながら30分以上彼らと雑談してお土産にクッキーやチョコバーなどのお菓子を貰い、出発しようと外に出るとポツポツと雨が降り始めた
もう周りはほぼ雨雲で覆われている
おっと、これはまずい
急いで出発する
何とか止んでくれと祈りながら走るが残念ながら雨が止む事はなく、峠の麓にあるチャイハネで雨宿りすることにする

チャイハネには乗り合いミニバスを待つ客が
4人ほどいて挨拶を交わして少し好奇心の強いおじさんなどの相手をしたりして時間を潰す
そのうち雨足が強くなり風も吹き出してまるで台風が来たみたいになる
この辺でも結構まとまった量の雨が降る事も有るとわかった
しばらく雨がやむの松尾一高に雨が止む気配は無い
途中客が来たところで、チャイハネの店主が腹減ってないか?飯を食べようと言ってパンとチーズジャムの簡単な昼食を振る舞ってくれた
ありがとうございます

途中このチャイハネに左前輪がパンクした車が到着してパンク修理をしていたがそのうち自分のところにやってきて電動ポンプを貸してくれと言う
さっき電動ポンプで空気を入れている音がしていたけどそれはどこ行ったのかな?
まぁ困った時はお互い様で仕方なくメタルボックスをバイクから外してバイク用のコンパクトな電動ポンプを出してタイヤに空気を入れてやる
コンパクトな中華製電動ポンプは持ち運びには便利だが耐久性にいささか難があって、前回使っていたポンプはそれほど使用頻度は多くなかったはずだが途中で壊れてしまった
できるだけ車のタイヤなどの長時間連続使用とかしたくないのだがまぁ仕方がない
無事空気を入れてやって2人組の男たちは何度も御礼を言いながら出発していった

2時半まで待って少し雲に切れ目が出てきたところでこれ以上待てないので出発することにする
その時チャイハネに居た客たちも見送りをしてくれる
出発する時は止んでいた雨が走り出すとすぐに雨が降りはじめた
結構強めの雨に強い雨は降らないだろうとたかをくくってブーツカバーを履かずに出発したが、もうすでにブーツはびしょびしょ
後は小雨が降る位だろうと思っていたが思いのほか雨足が強くもうやけになってŞemdinliを目指す
Derecikのぬくぬくした生活から一転して過酷な環境で走る羽目になった
あまりにもメリハリが効きすぎているというか、うんやっぱり何か持ってるね俺
に昼ごろに到着してイスラム世界から少し距離を置いてビールなどをたしなもうと企んでいたのに今はもうそれどころではない
寒い
寒さが身体の芯に届きそうな感覚がする
これは風邪をひくんじゃないかと嫌な予感がした
つい3日前ぐらいまでは暑かったのに

Şemdinli から雨足の強くなった中をひたすら南に走る
もう目的地もクソもない
どこか、テントが張れそうなそうなところを見つけたらそこで泊まろう
可能なら屋根のある場所が見つかるといいんだが、、、
道から川沿いに緑が茂っていてフラットそうな場所があった
どこから川沿いに降りていくことができるか入口を探しながら走るとそれらしい入り口を発見
入っていくと広い敷地にポツポツと建物がある場所に出る
ここは農家か何かのようにも見えないけどとりあえず駐車場を確認してみたが先ほど見かけた川沿いに繋がりそうな道は見つからなかった
仕方なくその敷地から出ようとUターンしているときに現地人から声をかけられる
その人物のそばにバイクをつけて、事情を説明する
とりあえずお茶を飲んでいけと言う話になってこれは期待大だ
中には4人のクルド人がいて皆にまた最初から自分の状況を説明して1番だけでいいからここのどこか空いてるスペースに泊まらせてくれるように頼む
そうすると快く了解してくれた
ありがたい
と言うわけで今日は1泊ここで泊まらせてもらうことにする
ぬくぬく生活と決別したはずがまた今晩も食人の人に助けてもらうことになってしまった
まずいなぁと言う思いはあるもののホント助かった
話を聞くとここは道路工事をしている職人さん達の宿舎のようだ
すいません今日も一晩好意に甘えます

自分は今日までDerecik に数日滞在していたことを言うと、あーあの1族だけで暮らしている村だねみたいな反応
やっぱり本当だったんだ
皮肉なことに彼らと話をしている間に雨は上がっていた

昨日の夜、夕食を食べさせてもらいその後に彼らとコミニケーションを取ろうとも思ったが、どうにも眠い
今日は疲れたから先に休ませて貰う
あてがわれた部屋で寝ようとしても、どうにも暑くて寝られない
毛布をかぶると暑くて寝られない、毛布をかぶらないと寒い
少し熱もあるようで、これはもう完璧に風邪をひいてしまったようだ
朝まで浅い睡眠と暑さで起きるを繰り返し、朝4時ごろ少し落ち着いて毛布をかぶったまま寝られるようになった

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