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韓国鉄道趣味のススメ

 さて、今まではラブライブ!に関する投稿をメインにしてきましたが、今回は鉄道、それも私が愛してやまない韓国の鉄道について書こうと思います。鉄道ファン向けの投稿ですから、鉄道に一切興味のない方は回れ右、日本の鉄道にしか興味ないよっていう方は食わず嫌いももったいないですから読んでみてください。

 日本は世界的に見ても鉄道大国でして、鉄道ファンには有名なネタだとは思いますが、世界の鉄道駅の利用者数ランキングは1位の新宿駅を筆頭に、トップ10はおろか20前後まで日本の駅が占めています。近年は路線の廃止なども増えていますが、それでも日本の鉄道網は大都市部だけでなく地方部まで行き渡っています。そんな日本で鉄道の趣味を持てば様々な興味が止むことはないでしょうが、やはりある程度のところで新鮮な体験が欲しくなるものではないでしょうか。そんな贅沢を望むあなたにオススメなのが、日本からもっとも近い外国のひとつである、大韓民国の鉄道なのです。
 同じ鉄道とはいえど海外のは日本とは全く異なるもの…というか鉄道大国日本は結構ガラパゴスでして、日本以外の国ではある程度似通っているのではないかなと思います。個人的に大陸式の鉄道と呼称しているのですが、都市同士を幹線で結びつつ、都市内輸送は地下鉄等の別の鉄道で担うスタイルが多いのではないかと思います。日本のような幹線が都市内まで入り込み、さらに近郊輸送も担うなんていうことは海外では多くないように感じます。
 では韓国の鉄道の特徴は何か。それは大陸式の鉄道と日本式の鉄道が入り混じっていることだと思います。私がいつも好例として挙げているこの動画をご覧ください(私が撮影したものではありませんが)。

 通勤型の電車と長距離輸送を担う客車列車が同じ線路を駆け抜ける、これこそが韓国の鉄道の最大の魅力だと私は思っています。しかし、この動画に出ている客車列車であるセマウル号は既に廃止されるなど、韓国の鉄道は現在過渡期であり、面白みが減っていく可能性も十分にありますから、この投稿を読んで興味を持たれた方は早めに韓国を訪問することをオススメします。

韓国の鉄道の概要

 さて、韓国の鉄道の大まかな概要から見ていきましょう。日本で言えばJRグループに相当するような、国鉄からの流れを組んでいる鉄道会社は韓国鉄道公社(通称KORAIL)といいます。韓国は日本の面積の4分の1強と意外と小さな国なのですが、KORAILは全国に路線を持っており、日本のような分社化はされていません。そして都市内輸送を担う地下鉄はソウル特別市および釜山(プサン)・仁川(インチョン)・大邱(テグ)・大田(テジョン)・光州(クァンジュ)の5つの広域市に存在しており、運営会社はそれぞれ異なります。一方、それ以外の私鉄についてはほとんどありません。
 運賃体系から見ていくと分かりやすいので、ここからはそれに基づいて話を進めましょう。鉄道における日本と韓国の運賃計算は大きく異なります。日本の場合としてJRを例に挙げますが、特急列車のグリーン車に乗る場合、運賃+特急料金+特別料金といった計算になっていますね。特急列車に限らずライナー列車等の他の有料列車でも同じですが、運賃をベースに加算していく形です。しかし韓国の場合、乗る列車の種別によって全く異なる運賃が設定されており、乗り継ぎ時には計算が途切れることとなります。高速鉄道には高速鉄道独自の運賃があり、そこから都市内鉄道に乗り換えた場合、日本と異なり運賃含め初乗りからの計算になるのです。以下でどのような運賃体系の列車種別があるのか、というポイントから列車の紹介をしましょう。

1.韓国高速鉄道(KTX)・SRT

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 Korea Train Expressの略であるKTXと呼ばれる高速鉄道です。開業は2004年とかなり最近でして、フランスの高速鉄道・TGVの技術をほぼ輸入したもの。最高速度は300km/hほどとなっています。日本の高速鉄道といえば新幹線ですが、KTXの運行体系は新幹線とは大きく異なります。ソウルをはじめ都市部では専用の線路を設けず在来線に直通し、都市間は新設の高速線で高速走行をするというものです。韓国の鉄道はほとんどが1,435mmの標準軌で統一されており、KORAILの電化路線は都市内輸送の電車含め交流25,000Vで動いているため、在来線に直通する高速鉄道を運行することができます。日本の新幹線のように完全に専用線を設けているわけではないため安定運行が少々弱点にはなりますが、建設における費用を抑えることができ、既存の駅を利用することができるというメリットがありますね。
 写真は100000系のKTX-Ⅰという車両で、フランスのTGVを韓国仕様にしたもの。両方の先頭車両が動力車で間の18両は客車という長編成ですが、客車部分の1両の長さは短くなっています。車内はヨーロッパでは一般的な集団お見合い式で固定クロスシートゆえに、進行方向と逆向きの席が存在するのがネックですが、JRでいうグリーン車に相当する特室(トゥクシル)は1列+2列の回転式リクライニングシートとなっています。

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 こちらは110000系のKTX-山川(サンチョン)という車両で、韓国国産のKTX用新型車両です。顔が山川魚(韓国語でヤマメ)に似ていることからこの名前がついています。両先頭車が動力車なのは変わりませんが間の客車が8両の10両編成になっており、重連で運用に就くことができます。20両固定編成のKTX-Ⅰはソウル駅〜釜山駅間等の輸送力が求められる運用が多いですが、こちらは途中で増解結を行うなど柔軟な運用がされています。車内は一般室(イルバンシル)が2列+2列の回転式リクライニングシートになり、コンセントもついたのが大きな変化で、快適性がかなり向上しています。

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 こちらはKTX-山川と同じ見た目をしていますが、SRTといってソウル特別市の水西(スソ)駅を発着する系統に入る車両です。ソウル市街に入った在来線はKTXとその他の列車が混在する過密路線となっていましたが、高速鉄道の一部をソウル南西部の水西駅へ向かう新線に逃がすことで解決を図りました。こちらはKORAILではなくSRが運行している私鉄なのですが、KORAIL直通区間内でもKTXとSRTは別運賃が適用される競争相手となっています。

2.ITX-セマウル・セマウル号

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 最初にセマウル号が既に廃止されたことを書きましたが、セマウル号と同クラスの電車型特急が210000系ITX-セマウルです。ITXとはIntercity Train Expressの略。こちらは高速線には入らず全区間在来線を走る列車ですが速度は十分で、ソウル駅〜釜山駅間は東海道本線に例えると東京駅〜米原駅くらいの距離があるのですが、それを約4時間40分で結ぶという俊足っぷりです。KTXは通らない主要な駅をカバーできるというメリットもあり、一部の電化路線でしか走っていないものの便利な存在で、6両編成と短いながら混み合う区間も見られます。ちなみに「セマウル」とは新しい(セ)村(マウル)という意味で、朴正煕大統領時代に推し進められた地域開発運動である「セマウル運動」に由来します。
  車内は2列+2列の回転式リクライニングシートとなっていますが、座席は幅が広い上にリクライニングの角度も大きく、快適な在来線の旅を演出します。車両が新しい分清潔感もあるので、後述するムグンファ号より運賃は高いですが乗りやすい列車かなとも思います。

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 こちらは既に廃止された客車列車のセマウル号。末期は長項(チャンハン)線という路線でのみ運行されていました。KTX開業以前は最速達の種別として活躍しており、その際には両先頭車が動力車の編成でしたが、時代の変化とともに中間の客車部分だけ使われるようになりました。ちなみに動力車については運転台部分をぶった切って電源車(写真2両目の赤い車両)に魔改造なんていうこともやってます。
 かなり老朽化が進んでいた客車ではあったのですが、座席がとんでもなく豪華なことで有名な列車でもあり、どんなのか見たい方はこちらのpostをご覧ください。一般室でも特室でもはっきり言ってほとんど差がなかったのですが、おそろしいまでのリクライニング角度とフットレストで非常に快適に過ごすことができたものでした。

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 さて、セマウル号が廃止されたとはいえ長項線の新昌(シンチャン)駅から先は非電化なのは相変わらずです。これではITX-セマウルに置き換えることはできませんから、そこで登場したのが客車だけ新しいものに変えたこちらの改造セマウル号。客車がITX-セマウルと同じような見た目をしていますが、なんとムグンファ号の客車を改造したもので、座席などの車内設備もITX-セマウルに準ずるものになっています。

3.ムグンファ号・ヌリロ

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 韓国の鉄道のなかでも最大勢力を誇るのがムグンファ号で、KORAILのほとんど全路線で走っています。「ムグンファ」とは韓国の国花であるムクゲの花のことを指します。近郊電車を除けば最も運賃が安い種別であり、ソウル駅〜釜山駅間を乗っても30,000ウォン(約3,000円)弱しかかかりません。その運賃のおかげか最も混む列車でもあり、指定席がとれなかった立席客で通路やデッキまで混雑することもあります。セマウルクラスの列車よりも停車駅も増えますが、それでも同区間を約5時間半で結びますから、それなりに速い列車といえますね。
 客車は長大型と呼ばれる23m級車両と、リミット型という20m級の新型車両がありますが、どちらも設備は共通で、回転式リクライニングシートながらテーブルがありません。座席の座り心地自体は悪くないですし、標準軌だけあって車両の幅も広いため2列+2列のシートでも狭く感じないので、案外快適に過ごすことができます。ちなみに先述した改造セマウル号はリミット型客車を改造したものです。
 このムグンファ号、2020年をメドに廃止するというKORAILからの発表もあった種別なのですが、未だに全国をくまなく走る主力種別であるうえに、代替車両の登場も進んでいないため、まだ残るのではないかなと思います。ただ、客車列車という最大の魅力も近いうちなくなってしまう可能性は高いわけですから、乗りたい撮りたいという方は早めにどうぞ。寝台車の連結はありませんが、減光なしの遅い終電として定期運転の夜行ムグンファ号も設定されているので、そちらも良いでしょう。

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 ちなみに中央線系統の列車に限りセマウル号の一般室と同じ客車を使用した特室の設定もあったのですが、そちらは廃止されてしまいました。ただ、外見は(窓が違いますが)長大型の客車なのに座席がセマウル号のものになっている特殊な客車があり、これは特室廃止後も一般室として使用されている乗り得車両です。しかしながら券売機では乗車券購入時に車両が指定できず、窓口でもできるか不明ですから、偶然当たったら相当ラッキーですね。

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 ムグンファ号の中には客車ではなく、気動車で運行されているものもあります。韓国南部の大邱・浦項(ポハン)・馬山(マサン)といった地域で運行されているこのタイプは、後述する通勤列車(トングンヨルチャ)で使われていた9501系気動車をムグンファ号用に改造したもの(RDC)で、2ドアから1ドアへ、そして内装をムグンファ号の客車と同じ仕様にしています。

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 こちらはムグンファ号と同じ運賃で運行されている200000系のヌリロという種別です。日本の日立製作所が製造した電車であり、単独の4両や重連の8両で使用されます。「ヌリロ」とは世界への道という意味です。特徴はなんと言ってもドアでしょう。上のRDCの写真が分かりやすいと思うのですが、韓国は鉄道のプラットホームの高さが低くなっています。しかし近郊電車ではホームの高さが日本と同じ程度と高くなっており、両方が停車する駅ではどちらのホームも必要です。しかしこのヌリロは、ドア部分にあるステップを可動式にすることで、低いホームと高いホーム両方で使えるような車両になっています。しかしながら、近年韓国の鉄道では急速にホームドアの設置が進んでおり、近郊電車が使う高いホームはほとんど設置が完了している状態なのですが、台車と可動式ステップの関係でヌリロのドアとホームドアの位置を合わせることができません。結果、あまり導入が進まず運用も少ない車両となってしまっています。

4.ITX-青春(チョンチュン)

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 368000系車両を使用して運行されるITX-青春は、ソウル特別市の龍山(ヨンサン)駅と清涼里(チョンニャンニ)駅から、京春(キョンチュン)線の終点である春川(チュンチョン)駅を結ぶ列車です。名前は清涼里駅と春川駅の頭文字をとって、清春から青春と転じたものです。他の列車と異なり、近郊電車用の高いホームを使用して運転されており、ドア位置はホームドアに合わせたものとなっています。韓国で唯一ダブルデッカー車が組み込まれた列車であることが特徴です。近郊電車しか停車しない主要駅にも停車できることから、一時は京釜(キョンブ)線の龍山駅〜大田駅間でも運行されていましたがそちらは廃止され、京春線のみで運転されています。

5.観光列車

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 KORAILでもいくつかの観光列車を運行しており、残念ながら乗ったことがないためある程度しかご紹介できませんが、少し書いていきます。上の写真は釜山駅で見かけた南道海洋列車(S-train)といって、釜山駅から慶全(キョンジョン)線の宝城(ポソン)駅のルートと、ソウル駅から全羅(チョルラ)線の終点である麗水(ヨス)EXPO駅を結ぶルートで運行されています。各列車ごとにテーマがあり、エクステリアとインテリアともに趣向を凝らしたものとなっています。ただし、機関車や電源車は専用のものではないため、ムグンファ号等の別の列車で使用されていることもあります。韓国で走っている観光列車には他に以下のものがあります。
・中部内陸循環列車(O-train)
 ソウル駅から嶺東(ヨンドン)線の鉄岩(チョラム)駅を結ぶ列車で、ヌリロの車両を改造したものを使っています。白頭大幹(ペッドゥテガン)峡谷をメインに韓国の内陸部を走る列車です。
・白頭大幹峡谷列車(V-train)
 O-trainと同じく白頭大幹渓谷を走る列車ですが、こちらは嶺東線の汾川(プンチョン)駅から鉄岩駅を結びます(一部列車は汾川駅より先の榮州(ヨンジュ)駅発着)。開放的な客車が特徴のトロッコ列車といったような存在です。
・旌善アリラン列車(A-train)
 清涼里駅から旌善(チョンソン)線の終点であるアウラジ駅を結ぶ客車列車で、客車はムグンファ号のものを改造して使用しています。ミンドゥンサン駅〜アウラジ駅を結ぶ旌善線はA-trainのみが走っており、長距離列車のほか旌善線内のみを往復する短区間の便も設定されています。
・西海金光列車(G-train)
 龍山駅から長項線の終点である益山(イクサン)駅を結ぶ列車で、停車駅は異なりますが他の長項線の列車と同じ経路を走っています。こちらもムグンファ号を改造した車両が使用されています。
・平和列車(DMZ-train)
 龍山駅から京義(キョンイ)線の都羅山(トラサン)駅を結ぶルートと、ソウル駅から京元(キョンウォン)線の白馬高地(ペンマゴチ)駅を結ぶルートで運行されているもので、RDCと同じく9501系気動車を改造した車両が使われています。DMZとは非武装地帯のことで、北朝鮮との境界エリアのことを指します。朝鮮戦争の休戦協定の舞台となった板門店等の軍事関係施設は観光利用もされており、そのようなエリアの観光を目的とした列車です。
・海列車
 韓国東部の江陵(カンヌン)から三陟(サムチョク)を結ぶ列車で、ルートのほとんどが海沿いです。9501系気動車を改造した車両は海の方向に固定された座席を備えるなど、海を楽しむための設備となっています。
・教育列車(E-train)
 教育のための団体利用を目的とした列車で、観光列車とは異なり一般の利用はできません。カラフルなデザインのポップな客車が特徴なため、見ることができたらラッキーかもしれません。
・国楽ワイン列車
 国楽とワインをテーマにした多目的観光列車で、こちらも団体利用が対象であるため一般の利用はできません。
・レイルクルーズヘラン
 日本でもクルーズ列車は数を増やしつつありますが、韓国にもそんな列車があります。韓国で唯一寝台車を使用して運行されている高級クルーズ列車で、韓国内をいくつかのルートで周遊することができます。日本からも旅行会社を通して申し込むことができ、日本のクルーズ列車に比べると手の届きやすい価格かもしれません。

6.通勤列車(トングンヨルチャ)

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 かつて韓国では統一(トンイル)号という種別が活躍していましたが、ムグンファ号に格上げする形で廃止されました。しかしムグンファ号は停車駅が少なく、各駅停車タイプを残すために設定されたのがこの通勤列車です。通勤列車という名前が種別名であるため、日本で俗に言う通勤列車とはかなり異なります。CDCと呼ばれる9501系気動車は通勤列車を中心にかつて活躍していましたが、通勤列車の運行範囲も縮小し、最終的に残ったのが京元線の末端区間である東豆川(トンドゥチョン)駅と白馬高地駅の間です。他の列車とは異なり全車自由席で、転換クロスシートの車内など趣がある車両が個人的に最も好きな部分です。しかしながら京元線も電鉄化(複線電化)工事に伴い現在通勤列車が運休中で、工事完了後は電鉄での運行が予想されるため、通勤列車の運転が再開されるかは不透明な状況です。

7.電鉄(ジョンチョル)

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 写真はKORAILの電鉄車両ですが、KORAILの近郊電車や都市内の地下鉄はまとめて電鉄と呼ばれており、日本の都市部で走っている電車とほぼ同じです。一般的な電鉄は4ドアロングシートの編成となっており、座席は日本のような快適なものでなくかなり硬く、モケットすら張っていないような車両も多いです。これは車両の不燃化の目的からされているものであり、2003年に大邱の地下鉄放火事件で多くの死傷者を出した経験から推進されたものです。そもそも日本ほど電車の快適性が高い国は珍しく、多くの国ではだいたい座席は硬いと思います。中国の地下鉄なんかもそうでした。
 さて、ここではKORAILの近郊電車(現在はソウルと釜山の都市圏のみ)と各都市の地下鉄をまとめて紹介していますが、というのもこれらは統一的な運賃計算が行われているからです。日本では事業者ごとに運賃計算をやり直すことがほとんどですが、例えばソウル都市圏では首都圏電鉄というものを構成しており、電鉄であれば事業者をまたいでも初乗り運賃はかかりません(ただし一部の事業者では中間改札を設けて上乗せ運賃を計算している場合もあります)。電鉄はもともと運賃が非常に安いのですが、このシステムのおかげで都市圏では電鉄を利用してかなり安価に移動ができます。ただし長距離の移動は結構キツイですから、区間に応じてはムグンファ号等の列車を利用することをオススメします。

8.貨物列車

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 鉄道は物資の輸送手段としてももちろん重要ですから、韓国でも多くの貨物列車が走っています。日本ではコンテナ貨車がほとんどを占めますが、韓国ではコンテナ貨車はもちろん、上の写真のセメント貨車、有蓋車、無蓋車、車運車等の多くの種類の貨車が存在しています。
 日本に住む私たちからすると少し考えづらい話ではありますが、高速で大量輸送が可能な鉄道による貨物輸送は軍事的にも大きな意味を持ちます。朝鮮戦争は終戦ではなく休戦中である以上、今ではかなり平和に見える韓国も戦争中の国でありますから、貨物列車による軍事物資の輸送も行われており、戦車を積載している姿も見かけます。そのような関係からか一般の貨物列車すら詳細な時刻表は明かされておらず、韓国語で調べても民間事業者向けに書かれた発着駅のみの時刻表くらいしか出てきませんでした。軍事貨物列車については時刻表は非公開と思われます。したがって趣味の対象とするにもやや難しく、また軍事貨物列車などは撮影するとトラブルになる可能性も否定はしきれないため(後述)、見かけたら目に焼き付けておくくらいが良いのかもしれません。

主要な路線の紹介

 さて、主な列車を紹介してきましたが、続いて路線の紹介をしていきましょう。韓国の国土は先述したように日本より狭いのですが、その山がちな地形から可住域も多くなく、そのせいか鉄道路線の密度は日本よりかなり低いです。そもそも鉄道の利用者数もそこまで多くなく、基本的にバス社会だからという理由もありますが。というわけで鉄道路線の紹介もそこまで長くはなりませんから、主要な路線だけでも見ていきましょう。申し訳ないことに文章だけの説明ですから、長文が苦手な方は飛ばしたほうが良いかもしれません。興味のある方は、路線図を調べながら読んでいただければさらに分かりやすいですよ。それぞれの路線の区間については分かりやすさを重視するため、正確な起点・終点と異なる場合があります。

韓国鉄道公社(KORAIL)

・京釜(キョンブ)線
 ソウルと釜山を結ぶ韓国最大の幹線で、ソウル駅から忠清南道(チュンチョンナムド)の天安(チョナン)駅の間は電鉄も走っており複々線化され、そこから釜山駅までの全区間も複線電化されています。路線全体を通しての利用者が多いことはもちろん、途中で大田や大邱といった大都市も通るため、区間利用の乗客も多い路線です。ちなみに「京」とはソウルのことで、日本が統治していた時代にソウルは京城(キョンソン)という都市名にされていた名残です。
 京畿道(キョンギド)の道庁所在地である水原(スウォン)市近郊までは10分に1本、以南も20分に1本の頻度で電鉄が走っており、一部の列車は急行運転も行っています。韓国では電鉄が急行運転をする区間が非常に少なく、狙って乗ってみても楽しいですね。
 電鉄のない区間でも、ムグンファ号をはじめITX-セマウルや在来線経由のKTXが多く走る華やかな路線です。ムグンファ号以上の列車については路線単位ではなく都市間単位で運行するため、途中で別の路線に分岐する列車も多く走っています。しかしこのような路線ですら都市圏外の途中駅では利用者が少なく、一部のムグンファ号しか停車しない駅では、1日に1桁しか乗降客がいない場合もあるようです。また、この路線に並行する形でKTX専用の京釜高速線があります。
・京仁(キョンイン)線
 こちらはソウル特別市の九老(クロ)駅から仁川駅を結ぶ比較的短い路線で、電鉄のみの運行です。ムグンファ号等が走っていない分、電鉄急行とさらに停車駅をしぼった電鉄特急が数多く運行されており、仁川駅のひとつ手前である東仁川(トンインチョン)駅までの全線が複々線化されています。
・湖南(ホナム)線
 京釜線の大田操車場から分岐し、旅客駅としては西大田(ソデジョン)駅を起点として南西部の港町である木浦(モッポ)駅までを結ぶ路線です。京釜線に比べれば本数は減りますが、途中に大都市である光州を経由するためある程度の本数がある路線です。湖南線は光州の街の西はずれを通っていたため、以前は街中の光州駅に直接乗り入れるために途中で分岐していたのですが(この支線は光州線といいます)、湖南高速線開業後はKTXのターミナルとして光州松汀(クァンジュソンジョン)駅が整備され、今では光州駅を発着する列車はわずかとなってしまいました。湖南線はいまのところ電鉄の運行はありません。
・全羅(チョルラ)線
 湖南線の益山駅からさらに分岐した路線で、全羅北道(プクド)と全羅南道(ナムド)の内陸部を走り、半島の南海岸に位置する麗水EXPO駅までを結びます。高速線はないため全羅線に直通するKTXは湖南高速線から先はすべて在来線に入ることになりますが、全羅線自体が高速化されており、本数はあまり多くないですが飛ばすことのできる幹線です。終点の麗水EXPOは万国博覧会が開催された街であるため、このような駅名になっています。湖南線と全羅線で併結運転をすることも多く、益山駅ではKTX-山川やヌリロの増解結も見ることができます。
・長項(チャンハン)線
 京釜線の天安駅から分岐し、西海岸側を経由して益山駅に至る路線です。天安駅から引き続きで新昌(シンチャン)駅までが複線電化されており、ソウル方面からロングランの電鉄が乗り入れますが、全区間電鉄で乗るのはかなりの苦行であることが想定されますね…。新昌駅から先は非電化単線のローカル線ながら、高速道路が少ないエリアを走るせいか本数もムグンファ号・セマウル号併せて1時間1本と多く、乗客も多い路線です。上述しましたが、現在唯一セマウル号が走る路線でもあります。
・慶全(キョンジョン)線
 京釜線の密陽(ミリャン)駅および三浪津(サムナンジン)駅から光州松汀駅を結ぶ、半島の最も南側を東西に走る路線ですが、海が見える区間はほとんどありません。慶尚南道(キョンサンナムド)と全羅南道を結ぶためこの路線名になっています。晋州駅までは電化されており、ソウルからのKTXも乗り入れるなど比較的便利ですが、晋州駅以西はムグンファ号が1日数往復のみ運行されているローカル線です。
・中央線(チュンアン)線
 ソウル特別市の清涼里駅から、半島内陸部の原州(ウォンジュ)・堤川(チェチョン)・榮州(ヨンジュ)といった都市を経由し、東部の慶州(キョンジュ)駅を結ぶ路線。途中の砥平(チピョン)駅までは電鉄も運行され、原州市の万鍾(マンジョン)駅までは江陵(カンヌン)方面へのKTXも走っており比較的にぎやかです。しかしながら京釜線とは異なり本数はかなり少なく、後述の東海南部線に直通して釜山方面へ向かう列車もいますが、榮州駅より先の非電化区間はローカル線の雰囲気になります。また、他路線を経由して韓国東部方面へ向かう路線でもあり、貨物列車が多く運転されているのもこの路線の特徴です。
・東海南部(トンヘナンブ)線
 東部の盈徳(ヨンドク)駅から浦項(ポハン)を通り、釜山広域市の釜田(プジョン)駅方面を結ぶ路線です。京釜高速線の新慶州駅から浦項駅までKTXが直通しているほか、韓国を代表する自動車メーカーである現代自動車のお膝元である蔚山(ウルサン)広域市を通るため、不定期で自動車輸送のため車運車を連結した貨物列車が運行されています。また、釜田駅〜日光(イルグァン)駅までは電鉄化され、将来的に慶州までの延伸が予定されています。かつては海雲台(ヘウンデ)駅付近が海沿いを走ることで有名でしたが、電鉄化に伴い新線への切り替えが進んでいるため、海が見える区間は減っています。
・嶺東(ヨンドン)線、太白(テベク)線、三陟(サムチョク)線
 嶺東線と太白線は韓国でもっとも険しい山岳地帯を越えて中央線から日本海沿いを結ぶ路線で、急勾配に対応するため早くから電化され、三段スイッチバックを行っていた区間もありました(現在は廃止済み)。また、嶺東線の終点である江陵駅の南にある正東津(チョンドンジン)駅は世界一海に近い駅として知られ、駅構内からそのまま海に行くことができます。三陟線は東海(トンヘ)駅から海沿いに南下し三陟駅までを結ぶ路線で、江陵〜東海〜三陟間で先述した海列車が運行されています。
 嶺東線江陵駅〜東海駅および三陟線、そして東海南部線は本来東海線というひとつの路線で開業する予定でしたが、朝鮮戦争など情勢の悪化で計画が止まって以降分断されたままでした。現在三陟駅〜盈徳駅間および江陵駅以北の建設も計画されており、北朝鮮の金剛山青年(クムガンサンチョンニョン)線と接続することも計画に含まれています。
・忠北(チュンブク)線、慶北(キョンブク)線、大邱(テグ)線
 京釜線と中央線の間を東西に結ぶ路線で、それぞれ鳥致院(チョチウォン)駅から堤川駅の隣の鳳陽(ポンヤン)駅、金泉(キムチョン)駅から榮州駅、東大邱(トンテグ)駅から永川(ヨンチョン)駅を結んでいます。忠北線のみ複線電化されていますが、他の路線も主に貨物輸送の面で重要な役割を担っています。
・京江(キョンガン)線
 原州市の万鍾駅から平昌(ピョンチャン)郡を通って江陵駅までを結ぶ路線で、2018年の平昌冬季オリンピック開催の際に開業しました。高速線ではありませんが高速に準ずる規格で作られていて、ソウル方面発着のKTXのみが運行されています(車両はすべて10両編成のKTX-山川)。以前はソウル〜江陵間の移動は中央線・太白線経由のムグンファ号で時間がかかっていましたが、京江線の開業により所要時間が大幅に短縮されました。
 また、電鉄運行のみの板橋(パンギョ)駅〜驪州(ヨジュ)駅間が独立した形で先行開業しており、こちらと前述した区間を京江線としてつなぐ工事も進められています。
・京春(キョンチュン)線
 ソウル特別市の忘憂(マンウ)駅で中央線と分かれ、江原道(カンウォンド)の春川(チュンチョン)駅を結ぶ路線です。全線が電鉄化され、電鉄およびITX-青春のみが運行されています。忘憂駅を出ると建設中の地下鉄を除き乗換駅がなく、春川から先の接続路線もいまのところありません。風光明媚な観光地である春川市は、かつて大ヒットした韓国ドラマ「冬のソナタ」のロケ地として知られています。
・京義(キョンイ)線、京元(キョンウォン)線
 ソウルから北へ伸びる路線で、京義線はソウル駅を起点に都羅山駅まで、京元線は龍山駅を起点に白馬高地駅へ向かっています。京義線は北朝鮮と中国の国境にある新義州(シニジュ)駅へ、京元線は北朝鮮東部の元山(ウォンサン)駅へ向かう路線だったためこの名前がついていますが、朝鮮戦争以来南北で路線が分断されたままになっています。京義線は現在韓国と北朝鮮で線路が繋がり、直通列車の試運転を行った実績もあります。ちなみに、北朝鮮では、京義線は平壌を起点に釜山を目指す平釜(ピョンブ)線および新義州を結ぶ平義(ピョンイ)線、京元線は江原道を走る江原線という名称になっています。

首都圏電鉄

 ここまでKORAILのほとんどの路線を見てきました。これでほとんどです。路線数が少ないため、覚えるのはそう難しくはないのではないでしょうか。以下ではソウル特別市周辺の首都圏電鉄から、特徴的な電鉄路線を少しだけ挙げていきます。正直ソウル以外はあまり分かっていないので勘弁してください(
・1号線
 ラインカラーは青で、KORAIL路線に合わせて進行方向左側の線路を走ります。1号線といっても、厳密な意味での1号線はソウル交通公社1号線であり、ソウル駅〜清涼里駅間のことを指します。首都圏電鉄の系統としての1号線は複雑です。分かりづらいので箇条書きにしましょう。
 長項線:新昌〜天安
 餅店(ピョンジョム)基地線:西東灘(ソドンタン)〜餅店
 京仁線:仁川〜九老
 京釜高速線:光明(クァンミョン)〜衿川区庁(クムチョンクチョン)
 京釜線:天安〜餅店〜衿川区庁〜九老〜ソウル駅
 ソウル交通公社1号線:ソウル駅〜清涼里
 京元線:清涼里〜逍遥山(ソヨサン)
 以上の区間で構成されています。九老駅〜清涼里駅間の都市区間は5分に1本運行されており、遠くなるほどだんだんと本数が減少する形で運行されています。京仁線では急行運転が多く行われていますが、京釜線方面ではムグンファ号等があるため電鉄急行の本数は少なく、京元線方面はさらに少ないです。また、京釜高速線のうち光明駅までは4両編成の光明シャトルと呼ばれる電鉄が直通運転をしています。
・2号線
 ラインカラーが緑の環状運転を行っている地下鉄で、都心部だけでなく江南エリアも通るため、ソウルに滞在すれば最も利用する機会の多い路線でしょう。ここまではKORAILやそれに準ずる路線だったため左側通行でしたが、2号線をはじめ地下鉄のみで構成されている路線は基本的に右側通行となっています。実際に行くと慣れるまで時間がかかるかもしれません。
 メインの乙支路(ウルチロ)循環線のほかに、君子(クンジャ)車両基地へ接続する聖水(ソンス)支線と、新亭(シンジョン)車両基地のある新亭支線がありますが、直通運転は行わずそれぞれ聖水駅と新道林(シンドリム)駅で乗り換えとなります。
・3号線
 KORAIL一山(イルサン)線(大化(テファ)駅〜紙杻(チチュク)駅)およびソウル交通公社3号線(紙杻駅〜梧琴(オグム)駅)から構成されている路線で、ラインカラーはオレンジ。KORAILに直通しているから左側通行…と思いきやこの路線は全線右側通行です。というのも一山線は他のKORAIL路線から独立しているため、地下鉄に合わせてKORAIL唯一の右側通行となっているからです。
・4号線
 構成路線はKORAIL安山(アンサン)線(烏耳島(オイド)駅〜衿井(クムジョン)駅)、KORAIL果川(クァチョン)線(衿井駅〜南泰嶺(ナムテリョン)駅)、ソウル交通公社4号線(南泰嶺駅〜タンゴゲ駅)で、ラインカラーは水色。繁華街の明洞(ミョンドン)を通るほか、ソウル駅から江南エリアまでほぼまっすぐ結ぶ路線のため、観光目的だと結構便利な路線です。
 この路線は非常に特徴的で、KORAIL区間は交流電化の左側通行ですが、ソンパウィ駅〜南泰嶺駅間で電化方式と進行方向が変わり、地下鉄線内は直流電化の右側通行の路線に変わります。南泰嶺駅の北隣で2号線乗り換えの舎堂(サダン)駅以南はなかなか使わないと思いますが、鉄道好きな方は体験してみてもいいかもしれませんね。
・9号線
 5〜8号線はすっとばしていきなり9号線。開花(ケファ)駅から金浦国際空港と江南エリアを通って中央報勲病院(チュンアンボフンビョンウォン)駅を結ぶ路線で、ラインカラーはゴールドです。この路線は韓国の鉄道では珍しく急行運転が高頻度で行われており、日中運行されているうちの半分が急行です。利便性が高い分熾烈な混雑でも有名な路線で、ラッシュ時の混雑は相当のもの。地下鉄(チハチョル)をもじって地獄鉄(チオッチョル)と呼ばれており、当初の4両編成から6両編成化する対応が進められています。
・京義中央(キョンイチュンアン)線
 京義線と中央線で運行されている電鉄は一体の運行形態をとっており、電鉄の名称は京義中央線となっております。こちらも運行形態がやや複雑なため、以下に箇条書きで記します。
 京義線:汶山(ムンサン)〜加佐(カジャ)〜ソウル駅
 龍山線:加佐〜龍山
 京元線:龍山〜回基(フェギ)
 中央線:回基〜砥平
 多くの列車は汶山〜加佐〜龍山〜回基〜龍門(ヨンムン)駅間で運転されています。加佐駅〜ソウル駅間は1時間に1本程度、龍門〜砥平の1駅間は通勤通学時間帯に数往復が運転されているのみです。京義線の途中にはムグンファ号などの整備を行っているソウル客車事務所・機関車事務所やKTXの車両基地である高陽(コヤン)車両事務所があり、電鉄だけでなく多くの回送列車が行き交います。
・空港鉄道(A'REX)
 ソウルに着いた多くの人が乗るであろう鉄道で、仁川国際空港から金浦国際空港を通りソウル駅を結ぶ路線です。仁川国際空港はソウル市街地から離れており、各駅停車である一般だと1時間ほど、ノンストップ運転を行う直通列車でも40分強を要します。直通列車の利用には追加料金が必要で、集団お見合い式のクロスシート(リクライニングは簡易)に机もなしとパッとしない設備ながら料金も高めなのですが、それ以上に一般を利用すると結構辛いので、必要に応じて使うと良いですね。ただし直通列車は本数が40分に1本程度と少なめです。
 一時期はソウル駅・龍山駅に着いてから京義線を経由して空港鉄道に直通するKTXの運行もされていましたが、現在は運行が中止されています。

韓国の鉄道を楽しむ際のポイント

 さて、ここまで韓国の鉄道の大まかな紹介をしてきましたが、ここからは実際に韓国の鉄道を趣味とする際の留意点について、いくつか説明していこうと思います。

 韓国の鉄道に乗る際のポイントとして、まずはICカードが挙げられます。日本ではICカードに対応したエリアでも通常の切符とICカードの両方が使えますが、韓国の電鉄では基本的にT-moneyカードというICカードしか利用できません。電鉄や地下鉄、バス等で使えるほか、買い物でも利用できるなど日本の交通系ICカードと似たものになっていますが、最大の特徴は全国で使えることです。少なくとも空港のある駅では販売されているはずですから、入国したらまずはICカードを手に入れるのが先決ですね。
 T-moneyカードなしで電鉄に乗る場合、1回用交通カードを駅の券売機で購入し乗車、到着駅で専用の保証金払い戻し機があるので、1回用交通カードを返してデポジットを受け取ります。基本的に利用する機会はないと思いますが、自身の持っている画像でT-moneyカードを作れる販売機があるので、それを目的とするなら空港から設置された駅まで使うと良いでしょう。
 電鉄に乗ると気づくと思いますが、韓国の鉄道の運賃は非常に安いのが特徴的です。ソウルの電鉄の初乗り運賃は1,250ウォンほどなのですが(日本円に直す際は10分の1にしてください)、長い区間ほどこの安さは顕著に出ます。例えば東海道本線の東京駅〜真鶴駅間(95.8km)を利用した場合の運賃は1,660円ですが、1号線でソウル駅〜天安駅間(96.6km)を利用するとなんと2,950ウォンしかかかりません。前述したように長距離の電鉄利用はかなりしんどいのですが、ムグンファ号クラスの運賃であれば相当に安いですし、ITX-セマウルやKTXでも費用対効果はかなり高いと思いますから、乗り鉄が趣味の皆さんはかなり楽しめるのではないでしょうか。

 電鉄以外の列車に乗る際にはICカードは使えませんので、券売機または窓口で乗車券の購入が必要です。窓口で購入した場合は1つめのpostにあるようなレシートタイプの乗車券で、区間や時間、座席が記入されています。券売機では2つめのpostのようにややしっかりした切符が出てきます。また、KORAILの列車は海外からのweb予約にも対応していますが、その場合は自身で紙にプリントしたものを持参することとなります。記念になるのは切符タイプのものかと思いますが、券売機は韓国内のクレジットカードにのみ対応したものがほとんどです。ソウル駅等の大きな駅には現金対応の券売機もあるため、設置されていたらそれでの購入をオススメします(窓口はコミュニケーションとるのも大変ですし)。なお、海外旅行者向けフリーパスとしてKRパスというものが設定されていますが、KRパスを利用して券売機で乗車券を買うことはできません。
 また、券売機では入場券も購入することができます。入場券は無料なので国内カード専用の券売機でも発券することができますから、地方の駅でも乗り換えなどの際には記念に発券するのも良いですね。なお電鉄以外のホームでは改札がありませんので、そのままホームに入ることもできますが、トラブルを回避するためにも入場券は持っておくべきですね。

 韓国の鉄道を撮影したい方もいると思いますが、撮影は注意が必要です。韓国は海外鉄道クラスタの中では有名でして、というのも鉄道の撮影が非常にやりづらいのです。そもそもソウルを中心にホーム端まで覆うスクリーンタイプのホームドアの設置が進んでおり、物理的に撮影が難しいというのもあります。しかしそれだけでなく、撮影が禁止されていたり、禁止されていないのに退去させられたりする場合があるのです。
 例えば上のpost、京釜線の永登浦(ヨンドゥンポ)駅のホーム先で撮影していたのですが、しばらくすると駅員が来て「危険だからやめて」と言われたときのものです。撮影禁止等の案内は一切なかったのですが、このような場合にも現場判断で止められることが往々にしてあります。明文化されてない以上基準もありませんから、何か言われたら指示通り撤収するくらいの心づもりでやる方が良さそうです(もちろん禁止行為や危険行為をするのは日本でも韓国でも論外です)。また、先述した軍事貨物列車等もありますから、撮影対象にもある程度気を払う必要があるでしょう。沿線での撮影ならマシかもしれませんが、海外故に撮影地探しが難しいという問題もありますから、情報収集には苦労すると思います。

 さて、長々と韓国の鉄道について説明をしてきましたが、この辺にしておきましょう。鉄道含め韓国での私の行動を見たい方は、以下のURLから見てみると参考になるかもしれません。
https://twitter.com/search?f=tweets&vertical=default&q=%23かきたま冬の韓国鉄道旅行2017&src=typd
https://twitter.com/i/moments/1015398467139584005
https://note.mu/poketc_meganest/n/n4154e9d9de4e
 鉄道以外にも食や市場など様々な魅力のある韓国へ、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。このnoteが皆様の興味を引き立てるものとなれば幸いです。それでは。

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