アルジャーノンに花束を

「おれの光りがおまえの暗闇よりいいなんて誰に言えるかい?」
といったチャーリイの言葉にこの小説の全てが要約されているような気がした。


暗闇に光を当てるという表現に啓蒙思想を感じた。洞窟の中や窓の中にいるチャーリイと、それを外か
ら見ているチャーリイの比較。啓蒙思想は、無知の状態(暗闇)から、勉強することや知識をつけること(光を当てること)で世界がより見えるようになる、といった思想だが、チャーリイの場合は違う。

彼は手術を受けたことで、光の中にいる利口な自分と、暗闇の中にいるうすのろな自分との2つの人格を形成してしまった。

光の中に出たことで彼の世界は広がった。広がりすぎたために、大切にするべきものの優先順位の処理を見失ったように見えた。

手術前は、小さな世界で友達に好かれていれば良いという、愛情を求め愛情を与えるということが1番に優先されていたように思う。

だが、手術後に友達の本性や、実際はどんな対応をされていたのかを客観視して知ってしまい、そのことを上手く処理する時間が足りないまま、タイムリミットを迎えてしまった。

そして暗闇に戻った彼は、人に愛される事が第一だと考えるように戻っていた。彼の母親が第一に世間体を気にするように。

まだ上手くこの話が消化できないまま書いているため、この話が持つ色々な視点をこれから考えていきたい。





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