映画「ゴジラ-1.0」視聴後感想

 最近はアマプラで何でも観れるようになって捗る。ネタバレ有り。

 ユアストーリーで名高い山崎貴監督(半分冗談)が、終戦直後の日本を襲うゴジラに挑むという、脚本の出来に評価が全部乗っかってきそうな意欲作。

 まず、ゴジラの造形は割と好みが分かれそう。生物的でグロテスクな側面を強調した「シン・ゴジラ」、神と等しい描かれ方がなされたハリウッドゴジラと比べて、山崎ゴジラはストレートな怪獣……である一方、熱線の吐き方は妙に機械的。ただ、一部に原爆を彷彿とさせるシーンはあるものの、全体を通して見れば原点に立ち返って怪獣ゴジラをやりたいんだな、と思って大丈夫そうではあった。ラストカットは一本の映画として見れば明らかに蛇足だけれど、この映画が「ゴジラ」だから入れたんだろうし。
 日本のCGのトップランナーなだけあって、チープな感じはしないし、セットであろう昭和の街並みを蹂躙するシーン、戦艦を破壊するシーンともに絶望感はあった。

 して、脚本だが、怪獣映画のフォーマットを忠実に守りつつ、特攻とヒーローは何が違うのか、「命を捨てること」と「命を懸けること」はトートロジーに過ぎないのか、という戦後80年を迎えようという今だからこそ問えるテーマに一定の答えを出し、甘いハッピーエンドで優し~く包んだ良作。オチは予測可能だが泣かせに来るし、全員生存ENDはやや緩さを感じ、大オチに至っては完全にご都合主義の領域だが、邦画なんてそんなもんでいいんだよ、とも思う。下手に後味が悪くならないというのは、大衆映画としては百点満点でいいと思う。最初はよもや特攻賛美ではあるまいな、と冷や冷やしたが、日本映画に良識が残っていてよかった。
 ゴジラが銀座を襲うシーンのマスコミや電車のあたりは流石に脚本のガバさや違和感を感じざるを得なかったが、全体的に引き締まった、詰め込み気味の映画な分、他はそれほど首を傾げずに観れたのもよい。

 俳優陣に軽く触れると、まぁ邦画特有のややオーバーな演技は気になる人は気になるかも、という感じではあるが、極端に棒の人はいなかった。怪しいと言われがちな浜辺美波の台詞がそんなにないからかもしれない。

 総じて、内容もあり、怪獣映画としてのインパクトもあり、エンタメ性もあり、と、自信をもって人に勧められる「ゴジラ」。アニメを除けば年一クラスの邦画の良作と言っていいと思う。ドラ泣き以後どうも軽く見られがちだった山崎監督の評価も大きく転換しそう。

 

 


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