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独立系書店が「ネットワーク」事件の判決に反対し、ストライキを表明

以下は、ロシアの文化情報ポータル「Colta.ru」に掲載された以下の記事の全文です→“Независимые книжные магазины объявили забастовку против приговора по делу «Сети»”(https://www.colta.ru/news/23603-nezavisimye-knizhnye-magaziny-ob-yavili-zabastovku-protiv-prigovora-po-delu-seti)。ここで述べられている「ネットワーク事件(delo “Seti”)」については詳しく解説する暇がありませんが、概要のみ。ロシア・ペンザで「テロ行為を企てた」科で7人の少年たちが拘束され、直接的証拠はないままに(自供のみ)、最長で18年もの禁固刑が言い渡されたものです。取り調べ過程では、拷問が行われたとの報道もあります。この事件に対し、ロシアの文化人たちは危機感を持って抗議しています。ここに訳したのは、ロシア全国の独立系書店が抗議の意味で、連帯して1日休業した行動に対する、当事者の声明文です。将来、私も書店をやるかもしれませんが、このような感度と使命感は持っていたいと心から思う。尊敬しています。(工藤)

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今日、2月17日、ロシアの様々な都市にある15の独立系書店が営業を中止した。「ネットワーク」事件で有罪となった人びとへの連帯を示すためである。

このアクションのイニシエーターたちの声明文を、モスクワの書店「ファランステル」の共同創立者ボリス・クプリヤーノフがフェイスブックに投稿した。Colta.ruは、声明文の全文を掲載する。(以上Colta)

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文字が発明された時代から、読者は本の英雄たちとともに生きてきました。ずっと昔から、読者はともに英雄と恋に落ち、ともに幾多の山々を征服し、海の深みへ潜り、暴君を打ち倒し、そして月へ飛び立ってゆきました。

私たちは本の商人です。私たちは本を売り、本を出版社に注文し、本を棚に並べ、本のうちいくつかは自分で読み、時には本を自分で出版することだってあります。私たちは、読書を愛する人たちと付き合い、本をひたすらじっと見つめる人たちの興味を惹こうと努力しています。私たちはSNSで本について書きますし、ヴィデオブログや雑誌で本について話します。こうしたことは、私たちの普通の生活です。啓蒙に精を出しながら、ほんのちょっと、少しだけ、性格を柔和にさせたり、人間の成長の助けになれば、と願っているわけです。しかし、こんにち、私たちが普通に生きることは可能でしょうか?

2020年2月10日、ペンザで7人の若者があり得ない期間の判決を言い渡されました──6年から18年の禁固、というものです。しかしこの事件において、この7人の若者たちは文字通り何もやっていないのです。

私たちの国の市民の眼前に、こういう問いが浮上しました──「それで、私たちの生き方は正しいのだろうか?」。もちろん、責任ある人間なら誰でも似たような問いを絶えず自らに投げかけるものです。しかし今日、この問いは露骨に残酷な明白さで問いかけられています。しかしもしも、直接的な証拠がなく、自白のみに基づき、拷問によって文字通り「叩き壊され」た、暴力的行為を何一つ犯していない人たちに対して、収容所での18年の禁固刑を科すことができるとすれば、その時はおそらくどこかで私たち全員が誤ちを犯したのです。

「私たちの啓蒙」、私たちが自らの生業の存在意義として考えているところのものがまったく必要ないと、そしてその言葉の後ろに怠惰と無関心を隠しているだけなのだと、そんなことがあり得るでしょうか? 人が拷問を受けているときに、どうして明るく、永遠なる、善良な書物を売ることができるでしょうか? ファンタジーを言い表した考えのために、ほとんど生涯にわたるような莫大な期間の刑を受けるかもしれないときに、愛する書物の英雄たちとともに生きようと誰かに呼びかけることがどうしてできるでしょうか? 学校や地域のどんな図書館にもあるような書物を根絶せよと裁判所で判決が言い渡されるときに、どうして古典を尊重しようと呼びかけることができるでしょう?

私たちは沈黙を続けていることはできません。そして市民として、専門家として、私たちは、私たちが奉じる私たちの国・文化の宿命に不安を抱いています。判決の一週間後、2月17日の月曜日、私たち書店は営業しません。私たちはいわゆる「ネットワーク事件」で有罪を宣告された人びとを支援するために、それぞれ単独で抗議に立ちます。

友人たちやお客さんたちが不便を許してくださるよう願っています。しかし私たちに他のやり方はできないのです。

参加者:
「ピオトロフスキー」(ペルミ)
「ピオトロフスキー」(エカテリンブルグ)
「ファランステル」(モスクワ)
「マルシャーク」(モスクワ)
「フセ・スヴォボドヌィ」(ペテルブルグ)
「チャルリ」(クラスノダール)
「スヴィヂェーチェリ」(トゥーラ)
「パリャーダク・スロフ」(ペテルブルグ)
「バーケン」(クラスノヤルスク)
「Dig」(モスクワ)
「フ・パリャートケ」(ロストフ・ナ・ダヌー)
「Benzine」(モスクワ)
「ムィシキン公爵」(スタヴローポリ)

© Boris Kupriyanov / Facebook。画像はColta.ruより。

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工藤順。ロシア語翻訳など。プラトーノフ『不死』(未知谷、2018)、『ゆめみるけんり』。 noteには、比較的長いインタヴューや記事の翻訳を掲載します。 HP:https://junkdough.wordpress.com/ (illust. by misato fujita)
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