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【おはなし】感想文部 #毎週ショートショートnote

これ、入れてあげてもいい?

綺麗にお化粧された母の顔を眺めていると姉が一冊のノートを持ってきた。
古い大学ノートの表紙には母の字で「感想文部」と書いてある。

*****

あ、幸子ったらノート忘れてるわ。
テーブルの上に「野球部」と書かれたノートが置かれていた。
姉は中学生になって、野球部のマネージャーになった。
私はまだ年長さんだった。
休みの日は私と遊んでくれたのに、休日も学校へ行って帰るのは夕方だ。

私も部活やる。
お母さん、ノートちょうだい。表紙に漢字で書いてね。

はい。どうぞ。なんて書くの?

んー…「感想文部」って書いて。
感想文は大変だって、さっちゃんが言ってたから。
部活に入って練習するの。

*****

お母さん、よくこのノート眺めてたんだよ。
パラリとノートを開いた。

〇がつ〇にち  おかあさんのごはんはおいしい
〇がつ〇にち  さっちゃんとうたうとたのしい
〇がつ〇にち  おとうさんのおならはくさい

二人は潤んだ目でしばらく笑っていた。

(411字)

『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』

今週もこちらの企画に参加です。
いつもありがとうございます。