【おはなし】フシギドライバー ♯毎週ショートショート
若者は恋人作りをしなくなった。「フシギドライバー付きアンドロイド」が普及したからだ。
これがあれば、いつでも理想の恋人を作ることができる。
オレは毎朝目覚めたときの気分でその日一緒に過ごす恋人を決める。
今日はちょっと疲れが残っているから癒し系の彼女が良いな。
髪はフワフワほんのりカールしていて、頬の肉付きの良い丸顔の娘だ。少しぼんやりとしているけれど安心する笑顔で笑う。だけど身体はむっちりとして胸とお尻はたわわに熟れている。
そう。今日はそんな気分だ。昼間は笑顔で癒してもらって、夜は身体で癒してもらおう。
オレはアンドロイドを座らせている横で、おもむろに自分のこめかみにフシギドライバーを押し当てた。
頭のネジを二回転緩める。
先ほど想像した通りの彼女が椅子に座っている。
男は、のっぺらぼうの口に自分の口を当てキスをした。
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