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聞き上手になるには?

こんにちは、Kです。
福祉の相談員をしています。

私の仕事は、話を聴くことから始まります。

悩みを持った人が相談に来られるのですが、中には、コミュニケーションが苦手な人もおられます。

そういった人も、「聴く」うちに、だんだん話をしてくださって、内容がわかってくることもあります。

カウンセリングでは、
誰かに「聴いて」もらうことで、
心のモヤモヤが晴れるだけでなく、自分の思いや考えが整理され、
自然と「こうしたらいいのじゃないか」という答えがみつかることもあります。

今日は、長年人の話を聴いてきた経験から、「聞き上手になるには?」という記事を書きます。

よかったら、参考にしてみてくださいね。

実は、人の話を聴くのは苦手だった私


今でこそ、毎日毎日、面談を行って、障害のある人の話を聴き、福祉サービスを利用してもらう仕事をしていますが、実は私は「聴く」のはとっても苦手だったのです。

悩みや愚痴を話されると、どうしていいかわからない、自分も感情が巻き込まれてしんどくなってしまいそうで、「自分で解決したらいいのに」と思うタイプでした。

わりと他人と距離を置くタイプで、友達はいましたが、深く付き合うことが苦手だったのかもしれません。

よく言えば「クール」。

悪く言えば「冷たい」。

そんな印象の人間でした。

トレーナーは思春期時のわが子


そんな「他人と距離を取る」私も結婚をし、子どもが二人できました。
女の子と男の子で、4歳違いです。

下の男の子は、出産後のトラブルで、重複重度障害児になり、普通ではない子育てをすることになりました。
(結果的には、山あり谷あり、おもしろかったです)

上の女の子もなかなか育てづらく、思春期は相当しんどかった!

反抗的、何も言わない、かと思ったら、泣いたり・・・。
いったい、学校で何があったか、きいても「ブスッ」と部屋に閉じこもる。


しかし、そのうち話してくれるようになりました。
そのとき気がついたのは、
「思春期の子どもにとって、抱っこの代わりが話を聴いてくれること」なんだということです。

「話を聴く」=愛情
だということです。

私は、子どもにさえ、「大きくなってきたのだから、ある程度は自分で解決すべき」などと思っていたので、子どもの話を毎日毎日聴くのは、非常に疲れました。

娘は、小さい頃からよくしゃべる子で、「聞く」より、「話す」のが好き。
おまけに繊細さんなので、いろんな感情が湧き出てきて、どうしたらいいかわからなくなってしまうタイプです。


「ママ、きいて」
と毎日のように部屋に呼ばれ、1時間くらいしゃべります。

学校に行けないときもあり、そんな日は昼、夜、何度も話をしてきます。

眠れない夜も、私を呼びに来て、
「眠れない。話をきいて」と言ってきます。


眠い目をこすりつつ、布団から出て、できるだけ話をきいてやりたいとは思いますが、
こちらも仕事や息子の世話もあり、そんな日が続くとイヤイヤきいてしまい、喧嘩になることも何度もありました。


こういうことを繰り返しながら、知らないうちに私は、「聴く」トレーニングをしていたのです。



聞き上手になるには、まず慣れること


よく「聞き上手になりたいです」と言う方がいて、どうしたら人の話がうまく聞けるようになるか? ときかれることがあります。


まあ、人の話をきくことに、テクニックがあるとすれば、それは「まずは慣れること」ではないかと思い、そう返事をしています。


よく「傾聴トレーニング」といった講座が開催されていたことがあるのですが、まずやるのが、二人一組になって、一人ずつ一方の話を10分くらい黙って聞くトレーニングです。

初めてやってみると、この10分がなかなかしんどい。

相手が言ったことについて、自分も話したくてたまらなくなります。
でも、何も言ってはならないのですから、我慢する。

そして、

「人の話を黙って聞くって、しんどいことなんだ!」と初めて知るわけです。

まずは、「聞くことに慣れること」。
この一言につきます。


家族でも、友人でもいいので、一度相手の言うことをじっと黙ってきいてみてください。

何か言いたくて、ウズウズするかもしれませんが、
我慢して聞いてあげると、ものすごく相手は喜びますよ。

大人でも子どもでも、話を聞いてくれる=認めてもらっていると思い、うれしくなるようです。



「聴く」と「アドバイスする」はまったく違う


悩み相談や愚痴を話して来られると、ついつい「アドバイス」を求めているのかと思い、自分の経験談などを話してしまいがちです。

しかし、相手は「アドバイス」を求めているのでしょうか?

ただ、聞いて欲しい、それだけの場合もあります。

悩みの内容によって違うと思いますが、
「アドバイス」を求められているのか、いないのか、ちょっときいてみるのもおすすめ。
「アドバイス、いる?」というふうに。


というのも、子育ての悩みでも友人関係の悩みでも、的確な「アドバイス」ができる人は、めったにいないからです。

かえって参考にならない「アドバイス」をしてしまったり、アドバイスが自慢話に発展してしまったり・・・。



「アドバイス」をした方は、役に立った!と思いがちですが、本当のところ、相手はどう思っているかわかりません。


ただ「聴いてくれる」ことの心地よさを誰も知らない


「ただ聴く」。
気の済むまで聴いてもらったら、相手はわりと頭の整理もでき、心のゴミも捨て、すっきりすることでしょう。

30分なり、40分なり、
「うんうん、ふ~ん。それで? なるほど・・・」
と相づちを打ってくれて、興味を持ってくれて、ちゃんと話を聴いてくれる・・・。

いらぬお説教も、否定もなし。

ただ聴いてくれる心地よさ、嬉しさは、思う以上です。


悲しいことには
「辛かったね。」と言葉をかけ、

頑張ったことには
「すごいやん! えらい!」とエールを送る。

否定はしない。

頑張ってほしいときには、良くなりそうな未来の提案をちょっと、する。

「ちょっと」と、
「提案」
がミソ。

頭ごなしに「こうしたらいいねん!」と言ってしまったり、(親が子どもに言いがちです)感情的になるのは、関係をぶち壊します。

じれったいようですが、
「ちょっと」と、
「提案」
にすると、わりと相手も受け入れてくれるようです。

つまりは、言いたいことの10/1
しかも
「〇〇という方法もあるみたいやで」に留めておく。

ただ、中には、度を超すほどおしゃべりな人もいます。


あるいは、「うつ」っぽい、暗い気持ちばかりを訴えてくる人もいるかもしれません。


そういうときは、要注意!

人にもよりますが、たぶん、こちらのしんどさを理解できない
(またはできない状態)
ではないかと思いますから、
だらだら聞かず、時間を決めて、(20分とか30分とか)話を聞くこと。

それが自分だけでなく、相手にも良いことが多いです。


そういった人は、話せば話すほど頭が混乱し、よけいにしんどくなってしまうので、本来はカウンセラーなど専門家に聴いてもらった方がいいのです。

また、精神的なしんどさの話は、こちらの感情も揺さぶられます。
巻き込まれてしまうこともあります。

私の母は、母の姉が認知症になっていたことを知らずに、毎日電話で妄想の話を聞かされ、半ばうつ状態になってしまったことがありました。

認知症も、ただ物忘れをするだけでなく、人格が変わってしまったり、妄想があったり、と様々な症状があり、経験がないと、見極めるのが難しいです。

優しい気持ちで聞いてあげても、それが人により、時と場合により、よくないこともあるのです。


つい話をきいてしまう職業病。このおかげで、初対面でも好印象


最後に、「聞く力」があると、わりに人に好かれるという話をします。

人は誰でも、「自分のことを知ってほしい、認めてほしい」
という気持ちがあるので、話を聞いてもらうと、
肯定されてうれしくなります。

私は、職業病で、ついつい初対面の人には質問してしまい、いろいろと話しを聞くことになってしまいます。

質問して、失礼かとも思うのですが、
たいていは嫌な顔をせず、
それどころかどんどん話して自分のことを教えてくれます。


そして気がついたら、わりと人に好かれ、今のところ人間関係であまり嫌な出来事はありません。


昔の私とは大違いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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