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サマーバケーション

夏休みが始まってはや4日目、この3日間はちょっと勉強して、そこそこ昼寝して、くだらない動画をだらだら見て過ごしたが、今日は母にほとんど追い出される形で図書館に来た。
まあ、追い出してもらえて本当によかった。あのまま暮らしてたら、次の春にゃわたしどこにも行くところがなくなる。

昼ごはんは近くのスーパーで買うつもりで、意気揚々と自習用の机に座り勉強を始めた。でも12時ごろはちょうどキリが悪くて、もう少しやってから買いに行こうと思い、気づいたら15時を過ぎていた。
べつに忘れていたわけではない、なんか全くお腹が空かなくて。けどいきなり吐くほど腹が減ってきた。わたしは抗えない。

スーパーにやってきた。腹は減ってるのに何も美味そうに思えず、ぶどう蒸しパンの前で少し立ち止まり、また歩き出すと今度は4本入りの三色だんごを見とめた。
頭に浮かんだ、無心で三色だんごを喰んでいる自分の映像があまりにも滑稽で、ついにだんごをレジに通した。

スーパーに併設されている飲食ブースに入った。橙色の明かりが包む小さな部屋は、飲食するおばあさんとおじいさんとおばさんでいっぱいだった。アウェイすぎて逆に居心地が良かった。誰もわたしのことなんか見ていない。

彼らの話し声に蓋をするように、イヤホンを付けた。リュックサックをお腹に抱いて、プラスチックの容器に入っただんごを取り出した。
カネコアヤノの『サマーバケーション』を初めて聴いた。
『サマーバケーション』はこんなにいい曲なのに、それにしたがってだんごも美味しくあるべきなのに、全然美味しく思えなかった。途中から粘土食べてるみたいだった。
くつくつとかなしかった。


そして、美味しくないと思えば思うほど、『サマーバケーション』はいい曲になった。


どうかそのまま
サンセットビーチの眩しさよ
夏が終わる頃には全部がよくなる

君がそのまま
そのままそばにいてくれたら
いつか終わる頃には全部がよくなる

カネコアヤノ-『サマーバケーション』


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