雑記 (2023年4月2日)

@onefiveは常に変化してきたグループだ。彼女たちはデビューしてからの3年半、楽曲ごとにビジュアルのコンセプトを変え、髪型やメイクもがらりとチェンジしてフィフたち(公式アプリの名称決定に伴って決まった@onefiveのファンの愛称である)を驚かせてきたが、その変遷は各楽曲のキービジュアルを見るだけでも簡単に分かるだろう。そんな彼女たちが新曲「Chance」において過去最大の大胆な変化を見せた。4月9日に開催されるライブのタイトルが『Chance×Change』であったり、最近のSNSの投稿での匂わせであったり、グループから複数の「変わるよ」というメッセージが分かり易い形で発信されていたのだが、思った以上に大きく変えてきたというのが正直な印象だ。

そもそも@onefiveのビジュアルコンセプトは楽曲の世界観を補完するものであると同時に、もう一つの意味を持っていると思われる。それを端的に表すのは、『装苑』に掲載されたグループの衣装に関する短い記事である。

彼女たちの衣装は独特のデザインというよりも、まるでファッション誌のコーディネートのように、トレンドを意識したスタイルで構成される。 ~中略~ アイドルというカテゴライズにされた枠にとらわれず、「私たちから」「今この場所から」をテーマに、彼女たちの「今」を発信する。

『装苑』2020年11月号 47頁より

このようにグループコンセプト自体が「トレンドを発信する」であるというのは他にはなかなか見られない特徴だし、どんな衣装でも着こなせるモデルとしての資質、それも、4人とも個性が異なり一つのテーマで多彩なコーディネートを表現できることは@onefiveの強みの一つだと思っている。とにかく、初期からこういった明確なコンセプトがあり、積極的にビジュアルを変化させて来たのは、@onefiveが見せてきたグループとしてのアイデンティティの一部なのである。

ビジュアルが変化するたびに同世代・同性の(時には世代の離れた異性も)フィフたちはその刺激に反応し、コスプレを楽しむ人の数も増えてきた。そんなこのグループならではの文化も含めて、@onefiveのファッションに関してはいつか有識者の言葉をまじえながらnoteにまとめられたらと考えているが、この短い記事で取り急ぎ書いておきたいのは、あまり心配しなくてもいいんじゃないかということだ。このメッセージは僕と同年代で、特に「彼女たちのことを良く知っている」という自覚がある人に向けている。

今回の"Change"は、メンバー本人たちからもたびたび匂わせがあった通り変化の振り幅が大きく、受け手の好みによってはショックを伴うものだったかも知れない。ただ、これまでもそうだったように、恐らくこのビジュアルチェンジは今後のグループの方向性を決定づけるものではない。「Underground」で見せたエキサイティングな変化は、アルバム『1518』で再びあっさりと上書きされた。そしてそこからライブ・フェス仕様の衣装を経て「未来図」のビジュアルがあり、今。なのである。@onefiveは常に変化している。

最初期から@onefiveに携わり、もはやチームの一員といっても良いスタイリスト、ヘアメイクの皆さんは今回もビジュアルスタッフを担当している。コンセプトの共有やメンバーとのコミュニケーションがしっかりとおこなわれていることは明らかだし、見た目が変化しても彼女たちの中身は変わらないというのは、僕などが言葉にするまでもないくらい、動かしようのないことだ。そして彼女たちの変わらなさとはつまり、「Undergroud」のドキュメンタリーでSOYOが語っていたような、長い時間をかけて築いてきた彼女たちの関係、絆、4人が4人でいるということ、それ自体に他ならない。逆に言えば、変わらない芯が確固としてあるという自信こそが、積極的で軽やかな変化を可能にするのだ。

見た目の好みは理性でどうにかしづらい部分もあるとは思うが、答えを急いだり決めつけてしまうのは勿体ない、とも思う。小・中学生の頃は与えられたコンセプトを守る事に全力を注ぎ、高校生になって少しずつ自分たちの色を発信することにチャレンジをし、そしてようやく "生徒" という長年の軛を解かれた彼女たちが何を考え、何を発信するのか。どんな変化を起こしていくのか。それを楽しむことができるのは、フィフの特権だと思うのである。きっと、彼女たちは今までよりもっと、@onefiveを「楽しもうとしている」。だから、僕たちも目一杯楽しまなければ損だ。そう思っている。

(2023年4月2日)





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