20代の覚悟

 アンケートなどに答えるとき、20代に〇をつけることに最近ようやく慣れてきました。2019年の1年間を一言で表すならば「モラトリアム」でした。春休みは念願だった自身のイベントを大成功させ、大学3年生になり県外に旅行へ行く余裕もできました。誕生日も祝ってもらい、全国規模のコンベンションを地元に招致することにも成功して、幸せな日々でした。大学はじめのジャグリングの同年代の仲間も増えて楽しくって、多分気が抜けていたんだと思います。

 先日、地元の警察署にお世話になりました。ある日突然、でした。男友達と旅行先で揉めた数日後、数百㎞は離れた地に住んでいるはずの彼が福井駅にまで来て待ち伏せしていました。直接話をつけるという手もあったのですが、怖くて行けませんでした。近くの交番に駆け込み、暫くすると警察署の方々が来て、実際にストーカー被害届を提出する運びになりました。未だにあの日から生きた心地がしない日々を過ごしています。年末年始に帰省している同郷の友人たちと会って気を紛らわせているものの、何を目指して生きていけばいいのか五里霧中の状態です。

 「辛い話かもしれないが、金輪際ジャグリングとは関わるな」と警察の方々に言われました。母にも「これ以上フラフラするのなら、もうジャグリングは辞めて」と頭を下げられました。覚悟を決めてポイは全て捨てました。でもこの6年間の思い出と楽しかったこととか学んだこととか、そういうのは消えないと思います。月並みなことしか言えなくてごめんなさい。

 基本的にジャグリング業界の人たちは皆優しくて、いい人がいっぱいです。でも、何かの拍子にこんなことも起きるから、やっぱりおばけより人間の方がこわいなって思います。今まではフラフラ色んなところに行っても「女子高生」「未成年」というラベリングが守ってくれていました。そういうラベルもなくなったのに、うまく自立できていなかった、「20代の覚悟」が私になかったことが今回の1件を招いたのかなと思っています。貴方は怖い思いをしたんだから自分を責めなくていい、そう言ってくれる人もいます。しかし「思わせぶりなわりに、わがままなお前の態度がストーカー化させたんだろ」とか言うあまりに無神経な人がいるのも事実です。

 我が故郷の偉人、橋本左内先生は「交友を撰ぶ」とおっしゃいました。現代を生き抜くために我々に求められるのは、人にも界隈にも依存することなく、お互いに高めあえる人間を見極め、ともに生きていくことなのかもしれません。それがきっと「20代の覚悟」なのだと私は思います。

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