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ファイアーエムブレムキャラ考察もどき①

―何故シルヴァンは金鹿(だけじゃない)女子と支援Aにならないのか考えてみた―


はじめに

ファイアーエムブレムシリーズには支援会話があり、最高レベルに到達するとペアの後日談を見ることが出来る作品が複数ある。
最新作(2021年4月1日時点)の「ファイアーエムブレム風花雪月」もその一つ。
最近の作品は総当たりでやそれに準ずる程の幅広い相手とのペアエンドが組めるようになった。

そんな中、ペアエンドが異様に少ないキャラクターもいる。
「風花雪月」においては第二部から本格登場するお助けキャラクターに多いが、生徒キャラクターの一人で女好きという個人スキルを持つシルヴァンもそこに該当する。
その個人スキルの通り女性キャラクターとの支援が多いが、そのうち半数を超える8人とは支援がB(ペアエンド無し)で止まってしまう。
金鹿の学級相手では女子全員と支援会話があるのにB止まりである。セイロス聖教会関係者ともペアエンドはなく、灰狼の学級に至っては支援会話もない。
特に一周目に金鹿の学級を選び、彼をスカウトしたプレイヤーはB止まりの羅列に恐怖を覚えたことだろう。

という訳で本記事では「なぜ支援Bで止まってしまったのか?」という疑問をちょっと斜めに構えながら紐解いていきたい。
(B止まりの良さと言うものについてピンときていないし、オブラートの包み方もわからないような筆者なので悪しからず。)


分析の結果、B止まりの女性8人は大きく3つのグループに分かれるのではないかという仮説に至ったので3グループに分けて見ていこうと思う。


注:五年後の姿の映っている画像が一枚あります。


敵でも主人公でもないけだもの枠って珍しいよね。


グループ①-やっちまった人達

(レオニー、リシテア)
という訳で最初に挙げるのはこの二人。この二人はシルヴァンに口説かれることについては肯定的なのが特徴。

果たしてシルヴァンが本当に女好きなのか?と言われると、実際はご覧の通りである。
「ひとりの女として見て欲しい」はシルヴァン最大の地雷であり、「口説く」という行為は好感度の低い女性を引っ掛けて捨てることで満足する自傷行為というとても面倒…複雑な構造をしている。


・レオニーの場合

やっちまいましたねえ…
ボーイッシュ女子を女の子扱いしていく一見王道に見える会話。
支援B会話では、レオニーを褒めようとして口調がおかしくなり、「もっと普通に喋れないわけ?」と窘められる場面も見られる
(フルボイスなので普通じゃない喋り方が声つきだと更にはっきりする。)

この支援、支援C、Bと進むにつれ逆に状況が悪化しているのだ。
シルヴァンからすれば女扱いせずにいられるのは、それだけ気を許せる雰囲気相手であったということ。レオニーを除けばこの位気を許していたのは幼馴染のイングリットのみ。なので、レオニーの行動は逆効果になっている。
わかると怖い会話とはこのことである。
ちなみに、向日葵の話をしている時は自然な喋り方をしている。

◎言いたかったこと


レオニー本人も気付いていなさそうだが、彼女が怒っていたのは女扱いされたかったから、というより、周りと違いレオニーにだけ雑で失礼な態度をとっていたから、というのが正しいのではないだろうか。
それに、「シルヴァンは女好きを装ってはいるが女扱いして欲しい女が嫌」だと周りがわかる訳ないのである。



・リシテアの場合

やっちまいましたねえ…(二回目)
子供扱いを嫌がるリシテア。だからこそ自分も一人前の女性だと扱って言い寄ってきたことに対しては悪く思っていなかったようだ。
リシテアは、支援Cで子供な対応を取ってしまったことを反省しており、支援Bでは大人の対応を取っていることも伺える。

支援Cでは支援Aまであるドロテアと同様に、女性を嫌悪し見下していることを見抜き、それをシルヴァンに指摘していたリシテア。
この時のシルヴァンは「口説く相手を間違えたか…?」という好感度の高い旨の言葉(わかりづらい)を呟いていた。
リシテアはシルヴァン相手ではかえって支援Cの強硬な態度のままで良く、支援Bでの大人の対応がかえって逆効果になってしまったのである。


(ちなみに、「わたしが何を言ってもあんたの性格は直らない」については後述)
シルヴァンの方はリシテアへの対応がC、Bで変わってはいない。

見下している範囲


リシテアの「シルヴァンは女性というものを下に見ている」という発言。
これ自体は実際正しいのだが、果たして彼が無意識に下に見ているのは女性だけなのだろうか?
リシテア支援は、いきなり4歳年下のリシテアにシルヴァンが兄貴風を吹かせる形で会話が始まっている。
幼馴染達の前で振る舞うのと同じように、兄貴分として振る舞おうとしてしっかり者の歳下達に逆に注意されている。
シルヴァン、女性と同様に歳下や人生経験が浅そうな相手も無意識に見下してないか…?

おまけ
シルヴァン唯一の他学級B止まりの同性であるローレンツとの支援会話は、ナンパに失敗していたローレンツにシルヴァンがちょっかいをかけに行く形で支援Cが始まっている。
この二人の会話がBで止まったのはローレンツが五年を経てナンパをやめたことで二人が関わる場がなくなったのが原因だと筆者は見ている。



グループ②-惜しかったかもしれない人達

(ベルナデッタ、アネット、フレン)

という最大の地雷を踏んでしまった為にこれ以上の進展はありえないと強制終了を食らったグループ①の2人と違い女性関係の話は関係なく、
次のグループ③の人々よりはまだ可能性はあっただろうとも思われる人達。そこに該当する3人をグループ②に分類しています。
シルヴァンまたは相手側の事情に踏み込むか踏み込まないかという部分や、どの一面かの差異はあっても「そのままでいい」所は共通しているかもしれない。
当記事では書いていないが、自学級男子生徒のB止まりの支援もここに該当する組合せが多いと思われる。

・ベルナデッタの場合


一見公平な目線を持っているようで女性と紋章の悩みの有無に対する偏見でがんじがらめになっているシルヴァン、このベルナデッタのことは身分や性別に関係なく、単に「面白い小説を書く奴」として認識している模様。
普段女の子を口説いてるあの感じで喋っていないのだ。(声付きだと尚わかりやすい)

難所を突破している。


ただシルヴァン側の第一関門は突破出来てもベルナデッタの人見知りを突破することは出来ず。
手紙では感想を上手く伝えられても直接話している場面ではCの時よりもBの時の方が会話のキャッチボールが上手くいかなくなっているようにも見える。
危害を加えられたと感じると自己防衛を行う所もこの二人は似ているのかもしれない。
以降は小説の話をすることも無かったのか、支援会話は結局ここで終わってしまった。
勿体ない。


・アネットの場合

同じ学級の男女はAに行くのが普通とされる中、唯一B止まりなのがこのシルヴァンとアネットの支援。

「羨ましい」という女の子扱いされて喜ぶよりはましなもののシルヴァンの地雷を踏んでしまうアネット。しかし彼女はシルヴァンが自分への態度がおかしいことに気付き、本音をぶつけたのだ。
アネットはシルヴァンが昔ずっと欲しかった言葉をくれた人間であり、ここで距離が定まらなければ闇から引っ張りあげてくれただろう。この続きは見たかった。
勿体ない。

◎ガキの頃に会えていたら
シルヴァンとペアエンドがある相手のうち、士官学校入学後から築かれた関係なのはたったの2人(主人公含めても3人)しかいない。
つまるところ士官学校での出会いがとにかく将来につながらない人間なのだ。
これに匹敵するのは既婚者2人と死神騎士くらいである。スカウト不可な級長や従者達だってもっと多い。

(イングリットとの支援A+にて、彼女の相手の候補として名前付きで挙げられるのが自分と他の幼馴染だけな辺りも彼の閉じた人間関係が見てとれるかもしれない。青獅子を男主人公にしたプレイヤーなら確認できるが主人公すら挙がらない。)

確かに士官学校入学前に、幼馴染になれる年齢で10年前に出会っていれば、シルヴァンの価値観が変わった可能性は否定できない。
しかし、たとえ10年前に出会っていても同じような結末に至り変化がなかった可能性もまた否定は出来ないのだ。

・フレンの場合

シルヴァンに完全勝利したフレンちゃんUC。
シルヴァンお得意の口説き文句も言われ慣れているフレンにはさっぱり通用せず。天然キャラらしい見事な躱し方でまさにシルヴァン打つ手なし。

恐ろしい噂から避けられていたマイナスの状況から始まり、ようやく一人の仲間として接してもらえるようになった程度の踏み込みで終了。

この支援、フレン(とセテス)の他支援を見てみるとかなり勿体無い。

(画像2×2で並べたいなあ…)

シルヴァンの幼馴染達とセテス、フレンとの会話ではそれぞれの迷いに対する忠告があり、ペアエンドまでいかないものもあれど、3人にとって貴重な助言になっている。フレンは青獅子の学級の生徒相手だと、相手の傷を包み込んで癒すような支援が多い。
シルヴァンの場合は本人の素行不良もあって二人の方が避けていたことが災いし、そこまで事情に踏み込むことなく終わってしまった。
フレンが近付かなかったのは士官学校内での噂とセテスの言い付けからでもあるので、この組合せこそ「出会い方さえ違えばペアエンドがあった」と言えるものなのかもしれない。

ちなみに、ここまでの5人(と支援Aありの面々)は全員フェリクスとペアエンドがある。恐らくただの偶然
但し、彼女達は2人でいることに安定性を失っている場合でも本人達の損得抜きに共にいようとする姿が見られるので、そこが後述の3名との分かれ目であると考えることも出来るかもしれない。




グループ③-ほぼ無理ゲーな人達

(マリアンヌ、ヒルダ、マヌエラ)
事実上の足切りを食らわせてきた人達。
この3人とのペアエンドに到達する為には「そのままのシルヴァン」では駄目な人達。
精神的な脱皮が本編終了時までの期間に必須であり、その分難易度が上がっていると言えそう。

・ヒルダの場合

明るい会話に見えてどこか終始ヒリついたものも感じなくもないこの支援。
最初の方はヒルダの演技を見抜いてきたシルヴァンのことを評価しているようにも見えるものの、最終的にはバッサリ。試し行動の伴う仮面を被っての演技対決、どうやらヒルダの方が一枚上手だった模様。

問題のシーン。
「小言なんて適当に頷いときゃ終わる」発言から、シルヴァンの素行に常日頃から悩まされる幼馴染達の小言はほぼ聞き流され、耳に入っていないと推測される。これでは多少の忠告にもびくともしない。てごわい。

小言(更に言うと他人の話)は聞き流すけど自分の損はきっちり覚えている所も闇深ゴーティエ。


そんなヒルダは、シルヴァンが他学級選択時の序盤の散策にて名前を出す3人(ドロテア、ヒルダ、メルセデス)のうち唯一支援Aにならない相手。
ヒルダとメルセデスの支援で二人の違いが見てとれる。
あらゆる願いに応えようとして、更に頼んだ以上のことをやるメルセデスと、明らかに損に見える案件は引き受けたくないヒルダのやり取りは彼女らの対人関係にも通じるところがある。
忠告も聞き流されるのであればするだけ無駄に終わってしまうなら、当たり障りない距離でいた方がいいのだ。だって無駄なのに向き合うなんてコスパ悪いし。

逆にメルセデス(やドロテア)は多少の損は承知でシルヴァンを救ってくれる人と言えるのかもしれない。良かったよね。

おまけ
ヒルダとペアエンドのある人物は中身までかっこいい、メンタルが安定した頼りがいのある男性が多いのが特徴。
そのうちの1人、フェルディナント=フォン=エーギルとの支援Aでは書庫の話があるので比較できるところがあるかも。

ここの「みんなに迷惑がかかった」発言、当の本人が幼馴染(特にイングリット)達の気苦労の種になっていることを考えるとなかなかのブーメランである。


・マリアンヌの場合

C~Bまでのマリアンヌの対応にはどこもおかしい所のない支援。助言を経て前を向いていく完璧な流れ。しかしこの支援にも続きはない。
問題はシルヴァンの方にある
本人の言動と本心に解離があることは他の支援会話でも触れられているが、この支援でも「外の世界には楽しいものが転がっている」という発言は本心から言ったものではない訳である。(関係が外に向かずに閉じた話はアネットの項でした通り。)

街に行くことを楽しんでいないという新たな闇が見つかってしまったシルヴァンであった。
(余談だが、Nintendo DREAM 2020年4月号にて、この支援会話へのニンドリ編集からの見解を見ることが出来たりする。)

◎紋章の話

紋章に振り回されたと一口に言っても自分と同じ理由とは限らないんだぞゴーティエ。

マリアンヌの紋章の悩みは彼女の外伝で語られますが、彼女の紋章は厄ネタ――持っているだけで忌まれるような(政略結婚には使えないだろう)ものなので、求められるものを持つからこその苦しみに遭っているシルヴァンとはまた別物なのだ。
尤も、それがわかっているのはマリアンヌ側だけなのだが。

マリアンヌが「紋章持ち」という地雷を踏まれて嫌な顔をしているのを聞いてから「俺は君の味方だ」紋章被害者の会として同じ傷を持つ(ように見える)積極的に距離を縮めようとするシルヴァンの問題点はメルセデスがだいたい指摘してくれている。
シルヴァンのペアエンド相手は幼馴染を除けば、異性に嫌悪がある、紋章主義に振り回されている等の共通点があり、それが無い相手との距離はやや遠め。
同様に(シルヴァンからすれば同じ)傷を舐め合える相手である(ように見える)マリアンヌとの距離を縮めようとしたものの、マリアンヌは言葉通りに強くなることを選んでしまった。

シルヴァンはこの支援で「間違ってマリアンヌの背中を押してしまった」説を推していきたい。


マリアンヌの方はというと、他者への接し方はある意味平等。相手の紋章あるなしに関係なく皆を避けている。
マリアンヌはペアエンド相手、まず支援相手に、幼馴染等の「士官学校入学以前からの知己」が一人もいないのも特徴。各支援は知らない人だらけの環境で、彼女が自力で構築していった人間関係の賜物とも言えるだろう。


皆の助言を聞いて立ち上がり、前に進んでいくマリアンヌは、言い換えると後ろを振り返ってはくれない。
シルヴァンが自力で外のものに目を向け、彼女に追い付かない限り進展はないのだ。
そのため、アネット相手よりも更に支援A成立が難しい関係であると判定してみた。

"笑顔"とは

先程話に出したメルセデス支援だが、シルヴァンがこのマリアンヌ支援で説いていた"笑顔"の本質について語られるのもメルセデス支援A。 (突然の五年後画像、どうかお許し頂きたい。)
マリアンヌ側でもアッシュとの支援Aでシルヴァンとの笑顔の話をした件に振れる差分存在するが、これとは全く違う意味に変化している。

シルヴァンの持つ視点の偏りを柔らかめに指摘したり、包み込んで救いを与えるメルセデスはどこまでも優しい。

おまけ
支援Cで義父の話になるのは、シルヴァン以外はローレンツとフェルディナント=フォン=エーギル。
三者のC会話を比較してみると、シルヴァンだけがマリアンヌのことではなく、自分が義父に相応しいかの話をしてしまった。

フェルディナントも貴族という括りで話しはじめているので、ローレンツが一番核心の内容から始まったと言ええるかもしれない。



・マヌエラの場合

おい、会話しろよ。
恐らく今回見ていった8人の中では支援Aから最も遠いであろう支援相手。
これC止まりの間違いじゃね?と言いたくなる一切面と向かって会話しないB会話。

同じこと言ってる。

各支援で聞かれる悪評によって、「もっとまともな男性にしよう」シルヴァンに近づこうとしない女性も少なくはないだろう。危うきには近寄らず。
一連のシルヴァンの素行不良は、(少し言い方が悪くなるが)質の良い方をふるい落として質の悪い相手の比率を上げてしまってもいるのかもしれない。

シルヴァンからしてもマヌエラ先生みたいなだらしない一面を持つ相手への好感度は性別にかかわらず低い様子。酔い潰れてるとかマジないわー…。
互いにこの様子なままだと何も変わることはない。勿論これ以上の進展も見込めない。残当。


おわりに

改めて、ものすごい問題児だなと思う。
(いやそんな解釈してるの風花雪月著者だけだよって?やめて…石投げないで…。)

この書き方だとただのろくでなしにしか見えないかもしれない(こっちのまとめ方も悪い)抱えている様々な問題が、本編のあらゆる問題とも繋がってる部分もある。シルヴァンは何かと面白い奴でもあるのだ。

本まとめの8人と将来を歩む可能性はありえないのだが、支援不成立の彼女らもシルヴァンのためを思った忠告を残してくれていたりするのである。
直接その忠告が届くこともなくとも、彼女らの疑問点を解決してくれている終わり方が出来ていればそれでいいとも思う。

その辺はシルヴァンが耳を傾けるような幼馴染や、同じ傷を持つ相手に任せるしかないのだが。
まあペアエンドが組めたら問題ないようなので、金鹿の学級にスカウトしてしまった場合はAまで組める相手を必ずスカウトした方が良いだろう。

他の(各学級同性同士に多い)B止まり支援も、それぞれにBで止まってしまった要因があるのだろうと考えられるだろう。
それを分析して見るのも良いかもしれない。



長ったらしい怪文書にお付き合い頂きありがとうございました。また次のまとめの機会があればそちらでお会いしましょう。

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