観光だけでなく地域を向いた店
クロアチア東部に位置するスラヴォニア地方の小さな街(人口3万6千人)に3日間滞在して思ったのは、街が地域住民を向いてるなあってこと。普通のことかもしれないけど、特殊な観光地コルチュラ島で暮らしてぼんやり感じたモヤッとが対比されて浮き彫りになってきた。なんとかお金を得るために観光客を向くのは仕方ないことだけど、地域住民は置いてけぼりというかないがしろというか。
ただでさえ小さな限られた島の土地が、レストランやホテルなど自分達地域住民の関わりの外のものに変わっていく(ほとんどのレストランが観光地価格だから外食もできない)。隣の島の小さな村で訪れた、地元の人から愛されているレストランをたまに思い出す。そこは観光地ではないんだけど、地元の人に向けた優しい価格で、開放的な雰囲気で、新鮮な魚やお肉などどれも美味しい炭火焼のレストラン。コルチュラにもあったらいいのになあって思ったんだよね。
マルコは「戦時中の方がよっぽど良かった。観光客は今よりずっと少なかった。小さい頃に遊んでた思い出の場所が今はレストランに変わった。」って言ってた。海が目の前に広がる旧市街の通りはずらっとレストランのテラス席が続くんだけど、きっとマルコが小さかったことは何もなくて、その眺めがもう見られないのはやりきれないだろうな。
旧市街こそ景観・街並みが保護されているけど、ちょっと離れると興ざめなラグジュアリーホテルがドンと無機質に建てられている。しかも最近どんどんと。喜んでるのは誰?島に暮らす人は?
島の観光シーズンは5月から10月、特に6月から8月がハイシーズンで、この限られた期間で一年分の収入を得なきゃ生活できないから効率的にガッツリ稼ぐ必要がある。朝から夜まで働いて(観光地の夜は長い)、休んだらその分収入が減るから週末や祭日の概念はない。
周りの人みんなこういう働き方をしていたからそういうものだと思っていたけど、そろそろ考えるときかもしれないね。ハイシーズンを均して、シーズンを長く、冬も細々と続けて、観光客だけでなく地域住民も向いてやっていかないと。そう、あれこれ言ってるわたしの店こそ観光客を向いている。じゃあどう変わる?自営業ならではの身軽さを生かして何ができる?地域住民に向けて外からの空気を持ってくるのはどうかな。映画上映、ポップアップストア、ワークショップ。小学校に出向くか。
冬に何もないと嘆く前に、ここでできること、ワクワクすること、地域を向いて自分で動いてみようって思った旅行でした。図書館行って司書さんとお話してこよっと。
観光と地域の二項対立みたいに書いちゃったけど、観光向けの商売が悪って言いたいわけじゃなくて、地域住民にも向いてもうちょっとうまいことバランス良くやってけたらいいよねって話で。まあクロアチアの本土から島に休暇に来た場合は大きな括りでいうと地域に返ってるか。
スラヴォニアで見つけた栗の木!
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