全部守るよ。



るるちゃんの自殺配信。フルアニメーションのMVが昨日の夜公開された。

色々な解釈があると思うが、ぼくの解釈というか空想を聞いて欲しい。



「あたし、卒業したらアニメーターになるの。」

「強くてかわいい女の子が、世界と戦うアニメ作るよ。」


屋根の上で猫達と人間を見下しながらノートに描いた女の子の絵を従えた猫達に見せるるるちゃん。


「人間どもはバカだから、あたしには勝てないの。」

「あたしはただの人間じゃないもん。」



「これは、未来のあたし。あんた達だって救ってあげる。」

「全部守るよ。だから、ばいばい。」



彼女は世界を救う女の子の絵を沢山描いた。

あたしがヒロインになるために。あんた達が幸せになるために。

そんなのどうでもいい。世界はあたしを殺そうとするから、あたしがその前にやってやる。


そんな思いを込めて、絵の中の世界に爆弾をぶん投げた。

吹っ飛ぶ学校、谷間に落ちていきながら、主人公はお友達のねずみくんのしっぽを握りしめて、魔法少女に大変身。

必殺技は自殺未遂。

線路の間に立って、流れる電車を見つめる。


彼女は少し幸せそうな顔をして、「死ね」を唱える。


「あたしのお気に入りはこの絵。あんた達も好きでしょ?」


積み上げられた椅子と机の上に、女の子がぽつりと胡座をかく絵。

まるで世界の支配者。


「あたしがいなくなったら、あんた達頑張ってこれ表に出してよ。ね?」

「こんな女の子がいたよって、みんなに伝えてね。」

「猫は長生きすると立って歩けるようになるんだよ。あんた達は人間になるの。お願い。」


優しく微笑んで猫達の頭を撫でながら、彼女は時刻表を一瞥すると屋根から飛び降りる。


「そのノート、あんた達に託したからね!」


ドン。ぐしゃ。




中央線快速。オレンジ色が素早く流れていく。

るるちゃんは立派な魔女になるためにオレンジ色に飛び込んだ。



るるちゃんがいなくなって、猫達はまたそれぞれ一人ぼっち。

新しい「るるちゃん」が来るまでまた屋根の上で待つしかない。



ノートの中の絵はきっと、るるちゃんの理想の女の子。

そんな女の子に光を当てたのが神聖かまってちゃん。

教室の隅で泣いている、屋根の上で微睡んでいる、踏切の前で立ち尽くしている、そんな可愛らしい、寂しい女の子を救ったのが、

神聖かまってちゃん。

るるちゃんの自殺配信 フルアニメーションver.はそんな女の子がいたことの証拠だと思っている。




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