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ウマ娘ステイゴールドについての考察

ドリームジャーニーの育成シナリオで遂にステイゴールドの実名が解禁されました。
ドリームジャーニーの育成シナリオはステイゴールド産駒ではじめてG1を勝利し種牡馬としてのステイゴールドの評価を一気に高めたという競走馬ドリームジャーニーの史実に基づきステイゴールドが辿っていった軌跡を追うようなものとなっているのですが、
グッドエンディングではなんとステイゴールド本人が登場(声と立ち絵は無し)するという正式発表前のメジロラモーヌレベルの待遇です。

そこでこの記事ではドリームジャーニーのシナリオから垣間見えたウマ娘ステイゴールドの走る目的について考察を行いたいと思います。

ドリトレのステイゴールドの印象

ドリームジャーニーのトレーナー(以下ドリトレ)の語るステイゴールドの印象とドリームジャーニー(以下ジャーニー)の語るステイゴールドのエピソードから見えてくるステイゴールドのキャラクターにはやや乖離があります。

ドリームジャーニーが“アネゴ”と呼ぶ存在。
……ステイゴールドは決して華やかな、
勝利に満ち溢れたウマ娘ではなかった。

むしろ勝ちきれないレースばかりで、
同じ時を走った才能あるウマ娘たちと比べて、
戦績だけ見ればずっと地味だったのだろう。

だけど、それでもーー

ステイゴールドは、長い長い旅をゆくように
レースを走り続けた。
どんな相手にも挑戦し続けた。

その不屈の姿に、多くのものをもらった。
いつしか彼女の惜敗を、
心から悔しがるようになった。

『がんばれ』と。『今日こそは』と。
応援せずにいられない。
愛さずにいられない。

ドリトレの印象は当時のステイゴールドのファンが抱いていたイメージを表現したものであると考えられます。

ドリームジャーニーの語るステイゴールド

またジャーニーが育成イベント「黄金色の憧れ」で語るステイゴールドのエピソードはドリトレが抱くステイゴールドのイメージとはだいぶ異なるものとなっています。
なお、ここで語られる「ある世紀のレース」とは99年の有馬記念であると考えられます。
(グラスワンダーとスペシャルウィークが出走しかつステイゴールドが大敗(10着)したレースであるため)

ある世紀のレース。
“嵐”が集い、覇を競った、
今も語り継がれる至高の一戦。

人々が皆、勝者の偉業を称え……
誰しもが輝きの余韻に浸る中ーー
ーー“アネゴ”は大敗した。

……きっと、“嵐”に対して今の己の
非力さを痛感させられたはずでしょう。
なのにーーー

…………あの方は、笑っていた。
出走ウマ娘の誰よりも高らかに。
勝利したウマ娘よりも楽しげに。
子どものような黄金(かがやき)を瞳に宿して。

…………まったく理解できませんでした。
負けたのにどうしてそんなに、
楽しそうに、嬉しそうに笑えるのか。

まるで理解できなかったからこそ、
私は一畏れ、憧れた。

……あの方の内には恐らく、
善戦も惜敗も、主役も脇役もない。

その戦績に愛着を、役目を見出すのはきっと、
我々見る側の都合なのでしょう。

“アネゴ”というウマ娘の在り方、本質は……
それらを超越した部分にあるとーー
ーー私は、そう思っています。

このことから少なくともドリトレのようなファンが抱いていたステイゴールドの印象(健気・ひたむきで不屈の善戦ウマ娘)とウマ娘ステイゴールドの実態はだいぶ異なり、
また一般的なウマ娘と違い勝利することが最大の目的でないように見えます。

ウマ娘ステイゴールドの“旅”について

実名が出る以前からステイゴールドの長い現役生活については“旅“と形容されているのですが、

ステイゴールドのトレーニングに協力したメジロマックイーンはジャーニーの育成イベント「縁と盟約」で協力した理由について以下のように話しています。

ただ、重要なのは……
あの方がカを求め、
私と共に研鑽をしたこと。

そして私は、
彼女の持つ、輝く黄金の如き信念ーー

『レースを走るウマ娘として、
できる限り長く“旅”を続けること』に、
個人的に感じ入るものがあったということーー

このことからウマ娘のステイゴールドは大きなレースで勝つことよりも長く現役生活を続けることを優先していることがわかります。
また史実と照らし合わせればただ漠然とレースを走るのではなく強豪が集うG1レースをできるだけ長く走り続けることがウマ娘ステイゴールドの“旅”だったのではないでしょうか。
(ただ走るだけなら中央のトゥインクル・シリーズでなく地方やアマチュアのフリースタイル・レースで走るという選択肢もあるので)

残された謎

仮に勝つことよりもG1を長く走ることがウマ娘のステイゴールドの目的であったのなら、なぜ現役を退いてしまったのか?という謎が残ります。
これまでの情報を総合すると衰えて満足な走りができなくなる、もしくはG1レースを出走できなくなるまで少しでも長く走り続けるのが自然なのですが、史実と照らし合わせるとそうはなっていません。むしろ競走能力のピークがまだ続いているのに現役を引退したことになってしまいます。

この謎を解くヒントは競走馬ステイゴールドの最後の一年の成績にあると自分は考えています。

史実では陣営がステイゴールドを種牡馬にするために奔走した結果

  • 前年出走したAJCCではなくより面子的に勝ちやすい日経新春杯を出走・勝利しドバイミーティングへの招待状を手に入れる

    • 2001年のAJCCは2000年の有馬でステイゴールドに先着しているアメリカンボスが出走・勝利しているため、勝てるかどうかなんとも言えないという事情がありました

  • 天皇賞春ではなく当時G2だったが強豪馬が多くまだ日本の競走馬が勝利していなかったドバイシーマクラシックに遠征し勝利

    • なお2001年の春天はテイエムオペラオーが勝利しています

  • ラストランを有馬記念でなくより勝ちやすい香港ヴァーズを選択し勝利

    • 2001年の有馬はオペラオーだけでなくマンハッタンカフェが出走・勝利しているため勝てるかどうかは微妙でしょう

という結果となっています。(特に香港ヴァーズへの出走は当時調教助手だった池江泰寿師によって進言されました)

 そもそもラストランに香港をチョイスしたこと自体、池江の進言もあったという。

「引退する時に、GⅠ未勝利か、勝ってからかでその価値は大きく違ってきます。だから何としても勝たせてあげたかった。
そう考えてメンバーを見渡すと、ドバイで勝った時よりもレベル的に落ちていると思えました」
 それは有馬記念よりも勝つチャンスがあると思えるメンバー構成だったと続けた。その上で進言し、実現した遠征だった。

史実での最後の一年は陣営が明確に「勝ち」を狙っており、また種牡馬となるための箔を付けるためのレース選択を積極的に行っていたということです。

この一連の流れをウマ娘として翻案する場合走り続けたいステイゴールド側の思惑と彼女を勝たせたいトレーナー側の思惑が交錯した結果ステイゴールド自身が勝ちにこだわるようになってしまい気持ち良く旅を続けられなくなった結果引退した、ということになるのかもしれません。
もしくは史実における種牡馬入りに相当するG1レースを勝利するモチベーションとなる何らかの理由が生まれるというパターンもあると思うのですが、それは今後何らかの形で追加される情報を待ちたいところです。

またステイゴールドドリームジャーニーの関係性についても一つ謎があり、ジャーニーがなぜステイゴールドのことを「アネゴ」と呼んでいるのか、というものがあります。
公式サイトの紹介文では以下のような説明があります。

 幼い頃に出会った“アネゴ”に強い影響を受けており、彼女の語る“旅の果て”を見るためにレースを走っている。

二人は幼い頃に出会っているのですがそのときに何があったのか、そしてどうして「アネゴ」と呼ぶようになったのかはジャーニーのシナリオからは一切わからないのです。
これは今後のイベントシナリオやオルフェーヴルの育成シナリオで明らかになっていくのでしょう。

備考

ジャーニーのシナリオにおいてステイゴールドが現役でないため育成ウマ娘として実装されないのではないか、またラークで名前のみが出たスピードシンボリのような名前だけの存在になるのではないかという予想をしている方をSNSで散見しますが、そんなことは無いのではないかと自分は考えています。

まずマルゼンスキー以前の年代で実装実績が無いスピードシンボリの世代(66世代)と違いステイゴールドの世代(97世代)はサイレンススズカをはじめにすでに6人も実装されているため、ステイゴールドも当然実装されるだろうということです。
特にステイゴールドが出走したG1レースで勝利したウマ娘の中で実装されていないのが沈黙の日曜日(98天皇賞秋)の勝ち馬であるオフサイドトラップのみであることを考えても、実装されない方が不自然であると思われます。

またドリームジャーニーの育成シナリオはメジロブライトのシナリオと地続きとなっています。
メジロブライトの育成シナリオやグッドエンディング「最長距離のレース」では史実に沿ったメジロ家の衰退が描かれており、「縁と盟約」でもそれに沿った内容がマックイーンから語られています。

つまりシナリオそのものに時間経過が存在しているため、ジャーニーのシナリオでステイゴールドが現役でなくても矛盾はありません。


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