「AIを使いこなす人」だけが得をする時代は終わらせよう
こうした言説は一部のアーリーアダプターにとっては正しく、大多数の人類にとって全く関係ない。のかもしれない。
2024年になって今もなお、生成AIは頑張っている人の前に現れる妖精である。頑張っている人が発見し、検証し、考察して、活用している。反対に頑張って生成AIを活用"しない"人もいる。彼らも極端なリスクヘッジをもってAIを活用しまいと頑張っている人の部類だ。好きも嫌いも紙一重。頑張っていることに変わりはない。
頑張っている人は既に生成AIを活用しており放っても生成AIを活用する。脊髄が新しい生成AIに反応するようにできている。AIが実用的でなくともAIがAIである"可能性"に価値を感じている。そして頑張っている人に発信される情報量は飽和しつつある。神ツールや神プロンプト、AIゴシップの喧伝はもうお腹いっぱい。
「頑張っている人、AIを使いこなしているアーリーアダプターに向けた情報」は頑張れない人や頑張りようがない人に届かないし理解されない。極めつけは人類の大多数は頑張れない人や頑張りようがない人である(多分)。
生成AIを使うために、頑張りたくても頑張れない人、諸事情で頑張れない人、頑張りようがない人が確かにいるのだ。最低限の情報を追い、生成AIの有効性や活用可能性を見聞きすることはできるかもしれない。しかし彼らは業務や生活の維持のため恒常的に忙しく、新しい技術を拾う暇がない。拾ったとてそれを検証し、考察して、活用する時間があるだろうか。ChatGPTに指示を出す時間があるだろうか。生成物を検証する労力が残されているだろうか。全人類がホワイトカラー/エンジニア/学生だと思ってはいけない。現代社会は彼らのおかげで成立しているのだ。
「AIを使いこなし、頑張っている人だけが利益を享受できれば良い」言説はAI格差のはじまりである。やや雑に言えばゆとり教育のそれと似ている。ゆとり教育の問題点は学力の全体的低下ではなく学力の2極化、成績上位層と下位層との分断であった(要出典…)。同様に、頑張る機会・学習機会の不均衡はアーリーアダプターであるAI開発者・AI提供者・一部のAI利用者と、その他大勢のAI利用者との分断を招きかねない。
私はこの格差を埋めたい。頑張れない人や頑張りようがない人がAIの恩恵を享受できる社会が良い。
頑張れない人のための生成AI活用
ここまで言っておいて何だが頑張れない人のための生成AI活用の答えを持ちわせているわけではない。アイデア出しレベルで必要そうなことを列挙する。
1. 専門家を頼る:
AI活用コンサルタント: 生成AI導入支援を専門とするコンサルタントに業務プロセス改善やAIツール導入を依頼する。
地域サポートセンター: 公的機関やNPOなどが運営するデジタル化支援拠点で、生成AI活用に関する相談やサポートを受ける。
2. ChatGPTと話す (間接的な活用):
AI搭載サービスの利用: 生成AIを組み込んだ翻訳ツール、文章校正ツール、画像編集ソフトなど、意識せずとも生成AIの恩恵を受けられるサービスを利用する。
AIアシスタント搭載家電: スマートスピーカーや掃除ロボットなど、AIアシスタント機能を搭載した家電を通して、生成AIによる音声対話や操作支援を体験する。
3. 普段使っているものに生成AIが活用される日を待つ:
業務システムへのAI組み込み: 企業が導入する業務システムに生成AIが組み込まれれば、特別な操作をせずとも業務効率化や自動化の恩恵を受けられる。
行政サービスへのAI導入: 行政手続きのオンライン化や自動化に生成AIが活用されれば、申請書類作成の簡略化や手続き時間の短縮などが期待できる。
4. AIリテラシー教育の普及:
初等教育からのAI教育: 若年層からAIの基本的な知識や倫理観を学ぶ機会を設けることで、将来的なAI活用への抵抗感を減らす。
地域住民向けのAI講座: 公民館や図書館などで、生成AIの基本的な使い方や活用事例を学ぶ講座を開催する。
5. 情報アクセシビリティの向上:
わかりやすいAI解説コンテンツ: 専門用語を避け、図解や事例を交えたわかりやすい解説記事や動画を作成・提供する。
多言語対応のAIツール: 多様な言語に対応した生成AIツールやサービスを提供することで、言語の壁を超えたAI活用を促進する。
これらのアプローチはあくまでも例であり、それぞれの状況やニーズに合わせて最適な方法を選択する必要がある。新規性も目新しさもない。重要なのは、「頑張れない人」を置き去りにせず、誰もが生成AIの恩恵を受けられる社会を目指していくことである。
まさに情報アクセシビリティの向上に寄与することが、P4Usを開発した目的の一つだ。職場に向けた研修もやる。細々と、自分ができることをやりたい。
AI技術は日々進化しており、近い将来、より直感的で使いやすい生成AIツールが登場する可能性も高い。AI格差を解消し、すべての人がAI技術を活用できる未来を目指し、継続的な努力と工夫が必要である。
もちろん今後来る技術革新が頑張れない人や頑張りようがない人の実用に直結する可能性はあるが、日々の利便を来るかも分からない技術革新に求めるよりは、今現在の手札で利便を追求したい。