4 39 おまけトーク(誕生日)



月が眩く光る
闇に捧げた祈りのように

雑踏と喧噪は濁流のようで
願いは届かない

彼女は自嘲気味に思う
自分は彷徨い人だと

海原で漂流し
行き先も分からない

徘徊するような足が止まったのは
歌声が聞こえたから

空を見上げて 影を見下ろし
果てを見通して 心の中の風景を詠うように

彼女は歌声に眼を閉じて
心が感じる風景に耳を澄ませてみる

安らかな風のように 心をささやかに通り
煌めく星が満天の光を放つように 優しく降り注ぐ

彼の歌声が胸を満たしていく
温かくて心を抱き留める

景色が見えた気がして
彼女は眼を開いた

唄は彼女が夜の闇に捧げた祈りの言葉と同じだった
朝陽の恐怖に抱き見た夢と同じだった

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