永田カビ「一人交換日記」


――思った

これは もう一人の 自分だ

その寂しさも 孤独の辛さも 分かってもらえない痛みも
寒さも――全部

全部――知っている

放ったらかしの自分自身
誰がいつ 手を伸べるの
自分が抱きしめてあげられなくて 誰がしてくれるの

愛がほしいなんて みんなそうじゃない
分かってほしいなんて みんな そうじゃない

だから 苦しいんじゃない
自分が 自分に与えていないんだから 苦しくて 当たり前

すればいいって やり方が分からない
誰にもしてもらってない もらってないから 分からない

ずっと無視をしてきた自分の声を聴くのは とても苦しいこと
過去に埋もれた自分をわざわざ掘り出して

手を血と泥だらけにして 汚れた石を取り出して
自分の血と涙で 洗うような

ただ生きているというだけで
普通という服を着て 町に出ているだけで

あなたは ちゃんと 戦っている
だから傷だらけになって 眠る

――みんながみんな 傷つけたわけじゃないでしょう?
ちゃんと 優しい人も いたでしょう?
気づかなかった?
きっと 知らなかっただけ

優しい場所で 眠って 優しい人に 出会って
優しい自分に きっと 出会うのでしょう

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