13頁「まえをあるいてね、うしろにいるからね」



持て余した手を繋いで
どこに行くのも一緒 

言葉がなくても大丈夫
体温ですべて伝わるよ

前を歩くからついてきてね
と思ったらいつだって私の前を歩くのは君たちだった

いつも先を行くから私の方が聞いてばかり

仕方ないかな?
仕方ないね。

「これがいいと思ってるけど、どれがいい?」
「え?こっちじゃないの?」
「あっちかなー」
「あ、やっぱりこっちでいいかな?」
「どっちに行くのー?」
「右だよー!」
「あ、やっぱり左かも!」

道はたくさんあるね
君たちの一番好きな道を選ぶといいよ

好きな歩き方で進んでいくといいよ
もう手を繋がなくても大丈夫だね

どこに行くのも一緒でなくても きっと
言葉なんてなくても大丈夫

ここにいるだけですべて伝わるよ

前を歩いてね
後ろにいるからね

ちょっとだけ見えない距離で
走っていく君たちを
のんびり歩きながら追いかけながら

立ち止まって振り返って待っていたり走って戻ってきたと思ったらまた走って先に行ったり
ちょっとずつちょっとずつこうして距離を長く取りながらやがては
いつかきっと姿が見えなくなってそれでもやっぱり

後ろに にいるからね


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