パトリシア・ハイスミス「キャロル」


彼女は白黒の世界に生きていた

無味乾燥な毎日
婚約しているけど愛情のない関係

私はこの生活を
果たして自ら望んだのだろうか

彼女は日々自問自答する

やりたいことがある
夢がある でもそれは遥かに遠い

現実の先に夢が繋がっているとは考えられない

そんな日常で
彼女は色づいた一人の女性を見つけた

白黒の世界に色彩が訪れ
光と影が舞い降りる

喜びの分だけ悲しみを知った
温もりの分だけ寂しさを知った

彼女にとって その人は女神のように
映ったかもしれない

しかしその女神は
彼女のことは地上におりてきた天使だと言った

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