倉橋由美子「交歓」

まるで山に生い茂る木々の中を行くような
言葉の森を 泳ぐようだった

酸素が濃厚で緑が漲り、豊かな色彩の中を泳ぐ
まるで海の様だった

そういう世界だから
登場人物たちはすべて

まるで詩と文学と芸術が
意識を持ったような人たちで

まるで現実的な感じがしなくて

長い長い 夢を見ているようだった

硬質で美しくて
けれどもなんだか読みづらい
分け入るのが難しい 甘美な
秘境の地のようで

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