詩集2 9 返答詩集2 9 日記詩集2 9 おまけトーク(人という枝葉末節 世界という本質)




詩集
「その手を掴んで」

何も言わなくていい
でも見ていてほしい

言葉なんていらない
傍にいてくれるだけでいい

だめならだめって教えて
いけないことならそう言って

分かっているけど
見えていない時だってあるから

何て言えばいいのか
分からないことだってあるから

教えてほしい
ここにいても大丈夫だということを

知らないことばかりだから
自分の心に聞いても よく分からなくて

少しずつこの手を取って
何度も確かめて

知らなかった心に
触れられるまで

返答詩集
「冬の時代」

体は時の揺り籠に眠っている
悠久の時を 目覚め 生きて
命は光と闇の狭間に夢を見る

春 命の目覚めの時
生きる喜びに震え 日常の全てが陽の光に煌めき出す

夏 滾る大地と風
苦しみに溢れ 世界が裏切って見えた日

秋 枯れた残り香に漂う夢の跡
取り戻せないという 絶望を歩む日々

冬 失ったあらゆるものたちが
星座の如く紡ぎ 導き出した 光の筋

時は巡り 周り 進んで
心の中で ふとした瞬間に 遙かに巻き戻り
灰色の何か 欠けた何かが 一瞬の間に鮮やかに息を吹き返す

もう一度春が来る
哀しみと喜びに 不審と信頼で揺らぐ日溜まり
差し込む一条の光 新たに紡がれる命の芽

春が踊り 夏に焼かれ 秋が去る 何度目だろうかの冬が来る
取り戻せないならそれでいい 失ったのなら構わない

再び訪れる春を
願い続けている

日記詩集
「世界の愛しさ」

生きることは特別でなくていい

懸命に生きる背中  地の彼方の愛しい人
心にしまった宝物 忘れ去られていく瞳
朝陽に微睡む片手のコーヒー 枕に敷く星空

どれもありふれて 日常に埋もれるもの
生きることは普遍的な 奇跡

心は詠い 祈り
笑い 泣き 踊っている
生きている 息づいている

触れるのは温かいことを知りたいから
宿る想いが暖かいことを知りたいから

感じたくて
触れたくなる

心に差し込む光は時に強く 淡く 闇にもなる
紡がれる言葉は山の水のように流れ 濾過され
草木と語らいながら天空から溢れた雫の数々が
荒涼の大地に清々しい風を呼び寄せる

すべて命の煌めきの火の粉だとしたら

叶わずに 星のように散ってしまったとしても
光の余韻と 瞬きの残像たちが 世界を美しく彩る

詩人です。出版もしております。マガジンで書籍のご案内もいたしております。頂いたサポートは出版の費用にさせていただきます。